第9話

 学校に行く準備が終わった私達一同は、三人でそれぞれ朝食を取っていた。

 私はなおくんと一切目を合わせずに黙々と朝食を取っていた。

 それを不思議に思った達也が余計な一言を良い放った。


「姉さんどうしたの?尚輝さんとなんかあったでしょ?」


「な、ななな、何でもないよ?!うん!達也の気にしすぎなんじゃないの?!」


「……絶対なんかあったな」


 うぐっ……そんな目で見ないで!


「尚輝さん?なんかやった?」


「普通に起こしただけなんだけどな……はぁ」


 その後も普段と変わらない朝を送りながら、学校へ向かっていた。

 ただ違うとすると、弟の達也が高校生になったことぐらい。





 ☆





 学校に着いて、それぞれのクラスに向かう私となおくんだけど、今日はやけに騒がしい。

 それも私の真後ろから、理由は分かってる。


「ふーじさーきせーんぱーい!」


「……おはよ、お前も来てたのか」


「あったり前じゃないですか!芝崎先輩もいらっしゃるんですから!!」


 名前は高梨桃花(たかなしとうか)、私の一つ下で中学時代からの唯一の後輩。

 弟の達也とは犬猿の仲で、顔が合えばいつも喧嘩している。

 現に今も……


「朝っぱらからうるさい高梨」


「……あらごめんなさい?貴方もいたのね?」


「……尚輝さん、姉さん、こんな奴ほっといて――」


「こんな奴って何よ!?前々から思ってたけど――」


 またこれだ、この二人本当は幼馴染なのに何処で間違ったのやら……。


「ふ、二人とも落ち着いて……」


「「藤崎先輩(尚輝さん)は黙ってて!」」


「……はい」


 なおくんですらお手上げ状態、私は無視してクラスへと向かう。


「おい、良いのか?」


「いいの、あの二人は……それに」


 なおくんと二人っきりになれる……し。


「ほ、ほりゃ……い、いこっ?」


 うぅ~!ほりゃって何よ!ほりゃって!


「お、おう……ぷっ」


「~~~っ!!ふんっ!」


「ちょ!?置いてくな!悪かったってば!」



 一方その頃

「ホントにもう……どうしてこうなるのよ……」


 こっちもこっちで素直になれないのであった。





 ☆





 昼休み、勉強が苦手な私にとっては至福な時間。

 クラスメイトで友人の遥香と一緒に昼食を取っていた時だった。


「そういや結希聞いた?昨日誰かが襲われかけたって話」


「えっ?!そ、そうなんだ……だ、誰なんだろなぁ……」


 もう噂になってる……。


「……結希貴女でしょ?昨日以上にチラチラと藤崎君見てるし、なんかあったの?」


「うん、と言っても遥香が聞いた通りだよ?襲われそうになった時にたまたまなおくんがいて、助けてくれただけだから」


「でも、無事でよかった」


 ホントだよ、後少しで一生残る傷を負いそうだったんだから……。


「まあこの話は終わり!お昼休み終わっちゃうし」


「だね……ってあれ、達也となおくんと桃花ちゃん?」


「なんか凄く言い合ってる……何があったんだろ?」


 私は大方予想は出来る、朝の事と今までの鬱憤だろう。

 にしてもあの二人の間に何があったんだろ?少なくともここまで悪化なんてしてなかった。


 また前みたいな関係に戻って欲しいのに……。

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