実験体の話

 せんせいはすごいひと。「ぼくたち」をつくったひと。みんなはせんせいを――――だっていう。「ぼくたち」がいたいのをなくしてくれたのはせんせいだ。くるしいのもつらいのもぜんぶなくしてくれたのはせんせいだけだ。だから「ぼくたち」はせんせいがだいすきだ。


 せんせいがしんでからたくさんのひとにたくさんのいたいことをされた。だからたくさんいたいことをしかえしたらもっとくるしいことをされた。



 きがついたらここにいた。「ぼくたち」のだれもしらないばしょだ。せんせいがよんでくれたほんにあったばしょかもしれない。


 ぼうれいのみやこ。


 いっぱいあしをふやしてはしったらたてものがあった。ぼろぼろでいまにもたおれてしまいそうだ。

めをつくりかえたらなかにだれかいるのがみえた。あしもとにあったいしをなげたらまっかになってひろがった。こまったな。すこしききたいことがあっただけなのに。


 こんどはのどをおおきくしておおきなこえでよんでみた。へらしたあしのうらからたくさんのおとがきこえてくる。でもだれも「ぼくたち」にちかづいてくることはないらしい。

 だから「ぼくたち」からそっちにいくことにした。てとあしをふやしてちからいっぱいまげてのばしたらすぐにつく。あぁ「ぼくたち」はきみがもっているもののなまえをしっているよ。


 すれっじはんまー!!


 とてもいたい。おんなのこがこんならんぼうなことをするなんてしんじられない。あたまがふたつこわれてしまった。

 せんせいにおこられる。はやくなおさなきゃはやくなおさなきゃセンセイニオコラレル……











 ――実験体第 繧シ繝ュ繧、繝√う繝√ル 号。

××博士の『最高傑作』。その再生能力、延いては増殖能力によって人間を遥かに超える出力を誇る。その代償として  が低い。再生医療を進化させ  めの    し 利用    定 っ  が、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る