第12話現状定義の物差し探し
空を見上げればいつも満天の星があった。
煌く星、まばゆい星、流れていく星。
それがはるか昔から届けられたものであろうと構わない…むしろより感慨深い。
アンネリースはその瞳に映る星々の姿を愛おしいかつての日々に重ね合わせて涙をこらえていた。
今となってはもう届かない切なさを胸に秘めて。
「…というのが今日の打ち合わせに遅刻した言い訳用シナリオということで相違ないかな?被告人。」
いやあそこまでは誇張してなかったと思うけどな…
アンネリースはいつもどおりの力強さでツッコミを入れられて困っていた。
こんなときでも平常運転なのはいいことだが、急ぎの案件じゃなかったっけ。
改めて不満顔で彼女を見つめるが反撃の余地は無さそうだ。そもそも遅刻した時点で主導権は一切無い。
当然の帰結である。
しかし今回はこれで終わりではないぞ…アンネリースは確保してあったリソースを出し切って仕掛けることにする。
「そう、今回の任務は”ボーダーライン”の運用体制チェックだったっけ?異質点途上にある能力者が「S級」になる際の周囲への影響がどうとかっていう…」
「それだけじゃないわ。伝説上の神格並みの異能を発現させた者達の監視とデータ把握、その他様々な対処用フロー作成…やることは山積みよ?」
彼女はそれこそ水を得た魚のごとき勢いでマシンガントークを浴びせてくる。今回の作戦は逆効果だったらしい。
どうやら今回もイニシアチブは彼女のものか…アンネリースは両手を上げて降参の意思を示した。
それを見た彼女は慈愛をたたえた女神のごとき満面の笑みを向けてきた。
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