第7話聖典の管理者による嘆き日誌

「箱庭」に「檻」に「知恵の実」…?

二千年もの二次創作の末に組みあがった世界は神代の昔をファンタジーそのものに変えてしまったように思える。

しかしその物語が生み出したであろう術式や異能はこの現世に生まれたことで「現実」を構成し、自らの存在意義を主張している。

それについて議論する気はない…する意味も無いだろう。

この現世に情報技術が無くてはならないものになったように、その物語や物語から生まれた様々な要素もまた「現実」を語る上で不可欠なものとなっているのだ。

様々な点で憂慮は尽きないが、今私が成すべきことは管理でも撲滅でもない…そう”調整”なはずだ。

そしてこの現世をあるべき姿に。

彼女はそれを自らの祈りとすることに定めた。

「善性」を己が従僕としたままで。


「で、その聖女様は自らの祈りとやらを遂げる為に神代の力を振るいまくった…と?」

「まあそういうことでしょうね。少なくとも残された資料の記述どおりだとすれば、ですが。」

アインズは補佐官の事実確認のセリフを聞いて改めてげんなりした。

やはり神の力とか不老不死とか不死身の肉体やそれらを得ることができる術式や異能など人間にとって害悪以外の何物でもないな…と感じることが多くなっていた今日この頃だ。

そもそもその類の能力が本人を幸せにしたとか何かを得る助けになったという話を聞いたことが無い。

生まれついて持ったものなら尚更だ。

生まれる際に本人が選んで獲得するという説もあるようだが、納得できるものではない。

勝手に授けられ、何の了承もなく代償を払わされて逃れられない宿命までセットで持たされる。

どういう権限でそれを許されるのかぜひ教えてほしいものであった。

そうだまた説法バトルでも挑みに行くか…? 


アインズがまた不遜な疑問を抱き始めたのを察した補佐官は、そっと閉鎖空間の鍵を開けて今後の未来に対処することにした。

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