第119話 リュース公の話と諫言 2

一人娘アルテイシア

未来のリュース女侯爵は 利発で活発

多くの大人相手に 物おじもせずに会話を楽しんでいる


宴のご馳走は 湖畔でとれた魚やこの地 地元の果実に 鴨などの肉料理

それに白の国の食材を使った白の国の料理


リュース公が少し離れた場所に一人立っていたエリンシアに近づき話しかけてきた


「どうぞ 楽しんで下さい エリンシア姫

そうそう・・ちょっとした昔話などでもよいですか?」リュース公


「あの‥」エリンシア姫

「今後は私の名 リジャイアヌスでもいいですよ」リュース公の微笑


「はい」エリンシアは 美丈夫で金の髪のリュース公に微笑と共に答える


「実のところ 私は白の国の血が濃くでて、子供の頃は両生体だったのですよ」


「そうなんですの?リュース公様」驚くエリンシア


確かに 白の国の者は 2人に1人が両生体で生まれる・・この方も‥とは!


「20歳上の兄がいたので、私は女性になるように勧められて よくドレスも纏ったものです」


この美しい顔立ち 美しい金の髪に青の瞳、すらっとした身体

さぞや 美しい少女の姿だったのだろう。


「一時は 当時まだ王子だった 黒の王に乞われて 側室候補にもなった事もありましたね」


「彼とは 一時 恋人同士だったことも」


含み笑い・・それから

肩をすくめて 続けて話を続ける


「なにせ 大貴族とはいえ 多くの白の国の血を引くリュース家・・

この黒の国では 微妙な立場でね・流石に黒の王妃候補にはなれませんでした」


「残念ながら10歳年上の兄が先の戦いで死んでしまったので 

私は男性の性を選び、このリュース家を継ぎました。」。


戦の間も白の国と親交もある 

間を取り持ち 最初の使節の役目はリュース家の者が

選ばれるが


よくよく 黒の国には使い捨てにされて 

その上 時の白の宗主が気の荒い者だった時に 使節の者が処刑された事も」


「・・初代の頃の御話 

数百年前のヴァルーダ王と

ヴァルジニテ女王の頃の話も有名ですね


ヴァルーダ王と当時のリュース公、双子の兄弟が最初の平和条約を結びましたが

条約は破れ 白の国に人質としていた弟のワイア伯爵は処刑されました」


「第二回目の条約は300年前 水の女王エルテアと火焔の王アジェンダ王の時代

あれも悲劇に終わりましたね 母親の水の女王エルテアと息子のアジェンダ王」


「・・・・・」

「当時の白の宗主シューツオンは人質の姫を惨殺 当時の火焔の王、黒の王アジェンダ王は激怒

黒の国だけでなく 自国の白の国も大変な被害を与えました

無数のケンタウロスや貴族達の処刑 街の幾つかが滅び去りました


白の国の始まりの地

美しい始まりの地は灰燼に還りました とても悲しい出来事です」


「その後 幾たびも条約は結ばれ また破られて

ようやく こうして長きに渡る結びつきが出来ました


ずっと平和が続く事 先達たちの努力の為にも 未来の為にもと思いますわ」

しばしの沈黙の跡 思い切っての発言をするエリンシア



「そうですね・・ですが 私は 今は別の事を心配してますよ」

金髪のリュース公リジャイアヌス


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