第120話 金の髪をしたリュース公リジャイアヌスの忠告

「エリンシア姫・・貴方も よく気をつけられる事です

貴方は優しい大変良い方だ」リュース公 彼は言葉を続ける


「黒の王にも黒の王妃達にも 彼らは貴方を気にいっている

黒の王女テインタル姫も貴方を慕ってると聞いてます ですが・・」


金の髪をした黒の大貴族 リュース公リジャイアヌス

彼はエリンシアの瞳をじっと見つめて声をひそめて話をする


「エリンシア姫 黒の王と深い関係を持ちましたね

黒の王 本人から聞きました 

何かあれば 昔のよしみで 庇って欲しいと頼まれました」


「本来は優しい気性の黒の王妃アリアン様・・だが‥しかし

事が 黒の王との事になると また別だ・・


あの方は 黒の王を愛しすぎている・・そう狂った程にね

そ売‥狂ってる・・」


「あの御方が アーシュラン王子に 

どうような態度で接していたかなどご存じない


花瓶をぶつけて 

軽いケガを負わせたり テインタル王女がアーシュラン王子を慕っていたので

よく遊んだり話しかけていたりしたのだが


ある時に我慢出来ずに 突然 王子の頬をぶったり

背中を押して階段からから突き落としたりした


何故か王子アーシュラン殿は 

それでも黒の王妃を慕っていたようだが

寂しげな表情で よく黒の王妃を見つめていたものです


以前少し前の事ですが 黒の王子アーシュラン殿が 滞在先の白の国の城で

何者かに襲撃されて 危うく殺されそうになった御話はご存知ですか?」


「はい 義兄からの便りで 存じあげております


人質として 滞在しているのは 私の義兄の城で 腕を折られて、危うく首を切り落とされそうに

なったところを 護衛の兵士が発見して 事なきを得たのですが

ちょうど 義兄の子供のエイル、エルトニアも傍にいて 軽いケガをしたとか・・」


「真犯人・・黒幕は誰だと思いますか?」とリュース公


「え? 黒の国の反乱分子ではないのですか?」


「いいえ 真犯人 黒幕は 黒の王妃アリアン様です」


「なん・・」

となんですってと叫びかけたのを見て サッとエリンシアの口元に

手をやり 黙らせる


「お静かに」微笑むリュース公


「あの御方は 嫉妬深い・・そして黒の王の事となると見境もなくなる

先程も申し上げましたが 愛しすぎて・・少々狂っている


残念ながらね」


「・・・何故?何故そんな話をされるのですリュース公」エリンシアは問いかけた


「貴方の為ですよエリンシア姫 

 お気をつけなさい・・


黒の王の情人となった事を黒の王妃が知れば 

貴方の身にどんな事が起こるか」


「それから 覚えておいて下さい 黒の国やって来た白の国の者を庇うのは

代々の先代から続くもの もはや使命・・宿命 運命なのです


私は 貴方の味方です そう・・そして、もし・・?」


「もし?」エリンシア


含み笑いをするリュース公


「私も貴方の事を 大変良く美しい方だと 本当に思っておりますよ

いざとなった その時には・・きっと


そうですね

娘のアルテイシアも貴方なら 受け入れて気にいるでしょう」


「え?」エリンシア


「ふふ その時には貴方にもわかりますよ」意味ありげな笑み


「・・それから ヴァン伯爵には 会われましたか?」

微妙に硬い表情でリュース公は問う


「あ、はい 先月の宴でお会いしました 

広大な領地をお持ちで 影響力の強い黒の大貴族の御方」


「黒の王妃アリアン様とは従兄同士ですし・・ね」リュース公


「はい その事も聞き及んでおります」


「あの御方には くれぐれもお気をつけて

王妃とは違った意味で 危険な方です」


「・・・・」


「では、姫そろそろ 宴の方へ・・今回の主賓は貴方なのですから

それから 前にお約束した通り・・その素晴らしい羽琴の演奏をお聞かせください」


「私と親しい者達にも 貴方という素晴らしい方を紹介しなくては・・」


「まあ そんな」エリンシア


「どうぞ こちらへ」


夜遅くまで 宴は続いた

城からは羽琴の演奏 湖には水竜が長い首を伸ばして顔を上げ

城とともに 月明りに照らされて映えていた


思っていた以上に遅くなってしまったので リュース公の湖畔の城に

泊まる事になった

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