第91話 邪魔者たち わん☆彡

エイルは暗い表情を見せる アーシュの顔を覗きこみ

「 だから・・そんなに悲しい顔しないで」

優しく微笑した


見つめて顔を近ずけて 目をとじて 唇を合わせようとする その瞬間だった

扉の向こうから

短く魔法の呪文 パチンと音がして ドアの鍵が開く!


「 僕らもアルテシア姫にお呼ばれしたワンワン!♪ 」

「お呼ばれ その二♪」

わん子、犬の姿で二本足で立つ魔法使いの弟子(ドジっ子)

それとエイルの従姉でもある青年、隣国、元敵国の武官であるリアン

リアンの淡い金の髪が夜風に揺れ、彼の淡い青の瞳がアーシュ達を見ていた。


「 ドアの鍵の解除の呪文を唱えたリアンさんだワン」わん子

「 普通 先にノックするのでは・・」渋い顔で さりげなく抗議するアーシュ

アーシュの影に隠れ 慌てて 腕輪をつけるエイル


「したですワン! ねっ!」わん子の台詞、ちょっと焦っている

うなずくリアン 目がやぶ睨みがちにリアンを見ながら アーシュが抗議の一言

「邪魔したかったのか? 」アーシュ

「当たり!」リアンは にっこり微笑む


「 そうそう アルテシア姫

真紅の薔薇のようなドレスと胸元に赤い宝石つけて 凄く素敵でしたワン!」

「 待ってるワンワン!」


小声でリアンそっとつぶやく

「つまり、アーシュ殿 

君に対してのアプローチ、 やる気マンマン という事♪ モテモテだね」


引きつり笑顔で何も言えず、アーシュはエイルを巡る恋敵でもあるリアンを見ていた

そんなリアンはバルコニーの外の美しい風景に目をやる


そして、 無くした片方の自分自身の腕の先を無意識に撫でている


「腕が痛むのか? 」そっと尋ねるアーシュ

「 たまにね 」明るく笑顔で答えるリアン


「無くしたものが たまにせつないな

楽器を扱うのは好きだったからね! それにしても 満月がとても綺麗だ」


それぞれが痛みをかかえてる


それに答えるかのようにつぶやくアーシュ

「 ああ・・満月が・・とても綺麗だ 」


Fin

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