第70話 リュース公リジャイアヌス

そこに アルテイア姫と姫の父親であるリュース公がやって来た

「こんばんわ アーシュラン様 エルトニア姫様」リュース公


リュース公は金の髪を束ねて 薄い青のローブを纏い

刺繍入りの深い青のトーガを斜めに片方の肩にかけている

頭には 金の輪

相変わらずの中性的な美丈夫ぶりである


彼 リジャイアヌス・リュース公は 白の王族、貴族の姿を受け継ぎ

長い耳以外の特徴は すべて白の国の姿をしていた


「先程 お父様は来られたの・・アーシュ様 エイル」


「おひさしぶりですリュース公」嬉しそうに笑うエイル


「ちゃんとお土産は持参しておりますよ

いつもの白の国の果実と地元の湖で取れた魚とか・・」


「あのお二人とも この後は・・?」

「私達は 一晩 ここに泊めていただきます」


「良かったら 一緒に街の雪花祭りでも・・」エイル


「・・私はご遠慮します この髪は目立つので よく絡まれるのですよ

まあ 黒髪の染め粉を使ってもいいのですが

アルテイアは 行ってらしゃい それと今回はセルト将軍にも

付いていてもらいましょう・・ナーリン様も行かれるでしょうし・・」


「そうするわ アーシュ様 もう一曲 踊りをよろしいですか?」アルテイア


「・・わかったアル」アーシュとアルテイシアは 踊りの輪に加わる


「・・少しよろしいですか?」リュース公はエイルに話しかける

「はい」エイル


「・・もうすべて ご存じなのですね・・エリンシア姫の事

私は セルト殿から すべて聞きました」


「・・エリンシア姫が流産した子は・・」


「私の子です・・エリンシア姫は 私とご結婚されるか

私の屋敷の方で預かる約束でした テインタル王女ともに」


「‥先の黒の王・黄金 竜の王アージェント様は 予知の力をお持ちでしたから

二人に降りかかる不幸を 避けるつもりだったようです


自分と妻である黒の王妃アリアン様と アーシュラン様の弟君アジュアリ様の方は

どうやっても 死は免れないと おしゃって・・」


「ただ今回にかぎって 日時を読み間違えられましたが

多分 敵の魔法使いの力か 何かの魔法が邪魔をしたようですが」


あの魔法使い・・

あの優れた黄金の竜の王の先読みの力を妨げるとは何者なのか


どれ程の魔力を保有しているか

そして魔術の知識


先の黒の国の奪還の時にも あの魔法使いに どれだけ邪魔をされたろう

幾度となく 危機に陥った


リュース公は思う


リュース公は 一瞬 顔を曇らせ また いつもの愛想のいい顔に戻る


「エリンシア姫は僕の身代わりに・・」うつむくエイル


「その事は あまり気にされませんように

実の子である貴方を守れたのですから あの御方も満足でしょう


それに恐らく 黒の王 アーシュラン様も

同じような事をおしゃられたと思いますが・・」


「はい そうですリュース公」エイルは顔を上げる 涙が浮かんでる


「泣かれないで下さい・・私の間者も巨人族の動向も もちろん

エリンシア姫の事も調べてますから」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る