第16話 距離感

「チョコレート……アイツ……甘いの……好きなのかな……?」




結局、私はアイツの事、何も分かっていない。





――― ねえ、劉真 ―――



私とあなたは


どういう運命で


どういう形で


結ばれてるのかな?


どういう宿命で


繋がっているのかな?


いつも顔を合わせているのに


私は


あなたの事


何も分かっていないね…………




「何処に行っても……人…人…人…だ……」



私は一人チョコレート巡りをしていた。


そして要約チョコレートを買い、私は映画館に足を運ぶ。




「それより……待ち合わせの人…誰だったんだろう?」



私は今更ながら、急に思い出したかのように蓮歌ちゃんに連絡をする。


既に、数時間経っている。


もしかして怒って帰ったかも?


私は蓮歌ちゃんや待ち合わせをしていた人に申し訳なく思いつつも一先ず連絡。




「もしもし? 蓮歌ちゃん? 今、大丈夫かな? ゴメン待ち合わせしている人って誰? 私、侑木…劉真君見掛けたんだけど……」


「優梨さん、今、何処にいるんですか?」


「私? 映画館の前にいるんだけど……うん…うん分かった。ゴメン。じゃあ待ってる」




蓮歌ちゃんから私の携帯に相手から連絡してもらうように伝えるので出て下さいと言われ連絡を待つ事にした。






―・―・―・―・




「あっ! お兄ちゃん? 今、何処? じゃあ、すぐに映画館に向かって! 優梨さんがいるから! 良い? 絶対だからね!」


「ちょっと待てっ! 蓮歌っ!」

「何?」

「アイツ、また逃げると思うけど?」

「それでも追って! 追い掛けてっ! 二人にはうまく言って欲しいのっ!」


「…蓮歌…」

「優梨さんには、お兄ちゃんが必要なの!」

「えっ!? 俺?」

「そういうお兄ちゃんも優梨さんが必要なんでしょう?」

「俺は、別に」


「嘘っ! 二人共素直になれないだけなんでしょう? 二人には後悔して欲しくないからっ! 連絡先、教えるから連絡して絶対に会って! 良い?」




俺は、蓮歌からアイツの、希沙良の連絡先を聞いた。




「連絡…そういや俺達毎日会っていたのと変わんねーから、お互い連絡先聞いてなかったな…」




―・―・―・―・―・



私の携帯に見慣れない番号で掛かってきた。



「はい?」

「あっ! もしもし? 希沙良 優梨さんの携帯でしょうか?」



ドキッ

電話口から聞こえる男の人の声に胸が大きく跳ねた。



「はい…あの…」



≪……男の人…?≫



「侑木 蓮歌さんから、御連絡先を聞いて電話した次第です。今、映画館の前にいるとかで。そちらに向かってますので到着次第、また御連絡します」


「は、はい…」




電話を切る。



「…嘘……男の人?」



私は待っていた。




すると ―――



「彼女、何してんの?」



待っている間、声を掛けられた。




そして、同時に ――



私の携帯に着信が入る。



「すみません! 私、今、待ち合わせしている人いるので他当たって下さい!」


「良いじゃん! 相手からの連絡なら断っちゃいなよ!」


「そういう訳には……」




そして、携帯の着信が止まる。




「すみません。俺の連れに手出すの辞めてもらえますか? お兄さん」



私の間に割って入る人影。



「あ? 何だよ! 邪魔すんなよ!」

「邪魔してんのは……そっちですよ?」




グイッと肩を抱き寄せられた。




ドキン

胸が大きく跳ねる。



「彼女は今から俺とデートすんの! 分かったら失せろよ!」



ドキッ

再び胸が大きく跳ねた。



≪何となくだけど……まさか……デートの相手って……≫



「チッ!」



相手は舌打ちをし去って行く。




「希沙良 優梨さんですよね? 俺、侑木 劉真でーす♪」


「やっぱり……知ってるし……」


「デートの相手俺なんだって!」


「そう……じゃあサヨウナラ!」




私は抱き寄せられた肩を離し、その場から去り始める。




「優梨っ! 待てよ!」



ドキッ

名前を呼ばれ胸が大きく跳ねた。


引き止める劉真。




「せっかく蓮歌が用意してくれたんだから行こうぜ!」


「私は行かないっ! 劉真一人で行って来なよ! もしくは、お嬢様でも誘えば?」



そう言うと映画のチケット渡す。



「どうぞ!」



私は走り去った。



「優梨っ!」



俺も後を追った。







本当は


一緒に映画を観たい


手を繋いで


街を歩きたい




――― でも ―――




意地張って背を向ける


向き合おうとしない私がいた





こんなになるまで


あなたが好きなのに




だけど



愛していくほど


距離が


離れていく気がするの




あなたに触れたい


あなたの隣を歩きたい


あなたの隣で笑っていたい




―――― それなのに ――――




私の体や心は


あなたから離そうとする





――― そう ――――





まるで同じ極の磁石みたいに…………




私を離さないで欲しい





あなたに


そう


言いたい…………






1分でも……


1秒でも……


1㎝でも……


1㎜でも……




その距離が


縮めば縮むほど


同じように


離れていく…………
















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