第11話 クリスマスイブ
ある日の学校帰り。
「おい、希沙良」
名前を呼ばれ振り返る視線の先には侑木君の姿。
「侑木君」
「なあ、クリスマスイブ予定ある?」
「えっ? クリスマスイブ?ないよ」
「だろうな!」
「なっ!」
クスクス笑う侑木君。
「お前の母親から聞いてるかもしれないけど、もしくは聞くかもしれないけど……一応、俺の方から、お前に伝えておこうと思って」
「うん」
「イブの日、家でパーティーするから来てほしいんだ」
「パーティー!? やっぱり、お金持ちは凄いね。芸能人とか呼ぶの?」
「悪い! 残念だけど、それはないな。家族パーティーだから」
「許嫁はいるのに?」
「一応いるけど、俺は気にしない。とにかく24日予定あけておけよ」
「分かった」
そして母親にイブの事を尋ねてみた。
「プレゼント用意しなきゃね」
「そうね。何が良いかしら?」
私達は良く考えた上でプレゼントを持って行く事にした。
12月24日。クリスマスイブ。
「二人来たよ」
私達に気付きスタンバイしているのか、そんな事など知るよしもなく。
そして ―――
「こんばんは~」
パンパンパン……
クラッカーの音が鳴り響く。
「メリークリスマス!」
みんなの顔ぶれが揃い私達を迎えてくれた。
プレゼントを交換しあい盛り上がる。
そして、夜も更けた頃。
みんな眠りに入り私達は帰る事にしていたんだけど
「泊まっていけば?」と、侑木君。
「そうですよ。送るにも飲酒運転になる為、送れない状況です。それに、夜も遅いし危険ですし風邪でもひいたら大変ですから」
私達は泊まる事にした。
そして、母親は私が寝たと思ったのか部屋を出て行く。
正直、寝ていなかった私は、母親の行動が気になり後を追う。
何となく予測はしていたけど、母親は、隆寛さんの部屋に入って行った。
「まあ……何となくそんな気はしていたけど……」
私は部屋に戻ろうとした矢先
ドンッと誰かとぶつかる。
「希沙良? 何したんだ?」
「侑木君」
「眠れないの?」
「あーうん。それもあるけど……」
「何?」
「いや……二人って……どういう関係なのかな?って……」
「二人?」
「うん……侑木君の父親と私の母親」
「あー……さあな」
「結婚とかないよね」
「それはないと思うけど……どうして?」
「いや……さっき母親入って行くの偶然見掛けたから」
「後追ったんだろう?」
「えっ!?」
「母親の行動が気になったんだろう?」
「………………」
「悪趣味~」
「ち、違……」
「ふーん……ほらっ! 部屋に戻れっ!」
「一緒にいて。眠れない!」
「妄想が膨らむから?」
「違います!」
「隠すな! 隠すな!」
「本当ですっ!はいはい……分かりましたぁ~! 戻りますぅ~!」
私は部屋に戻る事にした。
「今頃、ベッドの中に入って見つめ合って~」
バッと振り返り、侑木君に歩み寄り口を手で塞ぐ。
「辞めてっ!」
グイッと私の腕を掴み私の体が半回転し壁に押し付けられ両手を塞いだ。
ドキッ
「俺達もヤっとく!」
ドキーッ
胸が大きく跳ね、私の体が一気に熱くなった。
「すっげえ顔真っ赤っかなんだけど」
「………………」
グイッと壁から離れると私の手を掴んだまま1つの部屋に入れた。
「ちょ、ちょっと、な、何!?」
「適当にどうぞ。DVDでも観ようぜ」
「えっ?」
「安心しろ!手は出さねーし。何が良い? 俺も眠れねーし、お前の所に行こうてと思ってたから好都合だった」
「侑木君?」
「親に関しては、キチンと考えてるだろうし心配しなくても良いと思うけど? お酒入ってるけど良い大人なんだし」
私達はDVDを観る事にした。
映画を半分位、見終わった頃。
「希沙良」
「何?」
「悪い、俺限界」
「えっ? な、何が?」
「寝る!」
ドキッ
胸が大きく跳ねた。
「えっ!? 」
「見終わったら部屋に勝手に行けば良いし、それともオールで観とく?」
「あー…そっちの……」
「……お前さぁ~……」
「な、何?」
グイッと手を掴みソファーに押し倒す。
ドキッ
「ちょ、ちょっと……」
「勘違いすんなよ。それとも実はその気あり?」
「な、ないです!」
「全く……」
スッと離れる侑木君。
「お前も眠くなったらベッド借りて貰って良いから俺は別の部屋に行くし」
「ま、待って! 私、部屋に戻るし。ごめん付き合わせて。おやすみ」
「まだ眠そうにないけど、ゆっくりしてれば?」
「ううん、大丈夫。部屋に行くね」
私は部屋に戻ろうとした。
「希沙良」
名前を呼ばれ背後から抱きしめた。
ドキーッ
突然の行動に胸が大きく跳ねた。
「ゆ、侑木君!?」
「予定変更!」
「えっ?」
私をお姫様抱っこしベッドの方に連れて行くとベッドに乗せると布団を被せた。
「ゆ、侑木君?」
するとすぐにベッドに入ってくる。
ドキッ
まさかの行動に胸が大きく跳ねる中、私の胸はドキドキ加速していき、侑木君は私を背後から抱きしめた。
「お前冷たすぎだろう? 寒いなら寒いって言えば良かったじゃん!」
「そんな感じはなかったんだけど……」
「もう良いからそのまま寝ろ! 特別許す!」
「ね、眠れる訳ないじゃん!この状態で」
しかし、侑木君は、私を更にぎゅうっとする。
「だったら……お前は……そのまま俺の側で抱かれてろ……」
ドキッ
私の胸が大きく跳ねる。
寝息をたてて侑木君は眠ってしまった。
「………………」
「ちょ、ちょっと…侑木君!?」
私はゆっくりと寝返りをすると侑木君と向き合った。
「……全く……信じらんない……恋人同士でも何でもないのに……」
しばらくして、私も体が温まってきたのか、いつの間にか眠っていた。
次の日
「おいっ! 起きろ!」
「……もう少し……」
≪じゃないっ!≫
私は目を覚まし侑木君に驚く。
「良く眠れたか?」
肘をつき頭を乗せ横向きになっている侑木君の姿。
「う、うん……いつの間にか眠ってたみたい」
≪ヤバイ……≫
≪恥ずかしい……≫
「何、顔赤くしてんの?」
「しない方がおかしい!恋人でも何でもない私達が一緒の布団に寝るのってあり得ないから!男と女だよ」
「………………」
グイッと私の手を掴み両手を押え付け私の上に股がった。
ドキーン
私の胸は大きく跳ねた。
「案外、純なんだな?」
「う、うるさいなっ! 早く降りてっ!」
「嫌だっつったら?」
「はあぁぁぁっ!? それおかしいから!」
クスクス笑う侑木君。
「お前、本当面白い奴」
そう言うと私から降りた。
「つーかさ、今更だけど、私、すっごい疑問なんだけど?」
「何?」
「私、高校まで侑木君と一緒になるなんて思わなかったんだけど?」
「えっ? あー、学校ね」
「どうして?」
「さあ、どうしてでしょう? つーか偶然だと思うけど?」
「そ、そうなの?」
「そうだと思う」
「………………」
「つーか、俺達、小、中、一緒だったから」
「ちなみに高校は現在進行形」
「小、中、一緒? 嘘!?」
「本当」
「俺達、ずっと一緒でクラスも別れた事ねーし」
「くされ縁ってやつ? もっと仲良くしてたら幼なじみと言っても良いかもしれないね」
「話はしないけど別に幼なじみでも通用するんじゃねーの?」
「いやいや」
私達は色々話をしていた。
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