第2話 ベビーシッター
入学式。
4月。
「さっき凄いイケメン見掛けた!」
「嘘っ!? マジ!?」
周囲の女子生徒が話をしている。
「うん。かなり目立ってたし絶対モテ系だよ」
「えー、見てみたかったぁー」
「あれだけカッコイイならモテるだろうし、すぐ分かると思うよ? 同級生みたいだったし」
「同級生!?」
「うん」
「そうなんだ!」
そして、モテ系のイケメンというのは ――
侑木 劉真。
彼の事だった。
高校に入れば別の道のはずなんだけど
まさかの偶然?
まさかの再会?
二人の距離は
更にゆっくりゆっくりと
縮まるなんて知るよしもなく ―――
「優梨ちゃん」
友達の世木岾 理紗(せきやま りさ)ちゃんが私に話かけてくる。
「何?」
「優梨ちゃんって、侑木君と中学一緒で3年間同じクラスだったんだよね」
「あーうん」
「中学の時もあんな感じだった?」
「うーん……仲良くなかったから、正直、良く分からないんだよね~」
「そうなんだ」
「うん。ごめんね?」
「ううん」
確かに3年間同じクラスだったような気もするみたいな曖昧な記憶。
私が知ってる彼の存在は、
どちらかと言うと不良より?
クール?
そんなイメージしかなく
正直そのイメージが強い。
逆に今の彼は……変わった?
そんな気がするのは気のせいだろうか?
下手に私のイメージを言うと、せっかくの彼のイメージを悪くしそうなので良く知らないと理由にして話すのは辞めた。
私達は話題を変え、他の話をするのだった。
侑木 劉真
希沙良 優梨
私達は再び同じ学校に通い
同じクラスになる
同じ机を並べて
何処か一目置かれていた彼が
中学の時よりも変わっていた彼
今では友達の多い彼に変貌していた
正直
全てにおいて
私の知っている彼とは違う
意外な姿に
私も驚きを隠せなかった
ある日の休日。
「待てっ!」
ビクッ
突然の声に驚く私。
「話を聞いてくれ! 劉真っ!」
大きい家、屋敷という方が良いだろうか?
そこから聞こえる男の人の声。
「劉真っ! 待つんだ!」
引き止める男の人の姿。
「うるせーなっ! 親父の話しなんか聞いてられるかよ! どんだけの女連れ込めば良いんだよ!」
「………………」
≪正に修羅場に遭遇≫
≪しかも良く知っている人≫
「待てっ! 彼女は……」
「また貢いで、ヤりまくって子供(ガキ)つくんだろっ!」
≪ストレート発言≫
「彼女は違うから誤解するな!」
「どうだかな? 今まで、そうやって手出してんじゃん! 信じられっかよっ!」
走り去る彼・侑木君の姿。
「全く」
「………………」
侑木君の後を追っていた男の人と目が合った。
「すみません……偶々……通り掛かって……」
「いいえ……」
男の人は屋敷の中に入って行く。
「お金持ちって事は知っていたけど……ここが……侑木君家だったんだ……」
私は大きい家というより屋敷を眺め帰る事にした。
その日の夜 ――――
「優梨。ママベビーシッターしようと思うんだけど……」
「えっ!? だってママ昼も夜も関係なく不規則でパート働きしてんだよ。そのうち体壊しちゃうよ!」
「毎日、出る訳じゃないから」
「でも……あっ! ねえママ」
「何?」
「ベビーシッターって子供の面倒見るんだよね?」
「そうよ」
「ねえ、それ私が行っても良い?」
「えっ?」
「いや……もしもの時にママの代理として。駄目かな?」
「でも……」
「頼んでみて! ねっ! ねっ! お願いっ!」
私は母親に両手を合わせて頼む。
「分かったわ」
「ありがとう!」
そして――――
「優梨、良いって事だから何かあった時はお願い出来る?」
「うん! 分かった!」
一方。
ベビーシッターを雇う事になった家では ―――
「明日からベビーシッターの人が来るから、みんな言う事聞くんだぞ!」
「はーい」
総勢11人の子供。
長男。16歳。劉真。優梨と同級生。
長女。14歳。蓮歌(れんか)
真面目そうな雰囲気で可愛い系。
二人は、本当の兄妹である。
その下は、全て義理の兄妹だ。
次女。13歳。愛理(あいり)
スタイルが良い中学生。援交している。
次男。12歳。尚希(なおき)
ゲーム大好き。
三男。9歳。兼(けん)
大人しい。
四男。5歳。弘太(こうた)
人なつっこい。
三女。4歳。あかね
人なつっこい。
五男。3歳。真哉(まさや)
無邪気。
四女。3歳。佳澄(かすみ
おてんば。
五女。1歳。菜弥(なみ)
六男。0歳。夕(ゆう)
一夫多妻?
訳ありな環境とは知るよしもなく ―――
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