第3話 通報

第3.5話 夜が明ける前に

 一方その頃、伊久夫が常夏二郎の性能を悪用し、システム内容を改ざん身勝手な操作した後には思う存分、堪能していた頃だった。

 小雨堂は外部へ出ることが出来なくなってしまった。

 もし野郎共白床らに、見つかってしまったら、自分がさらされる危険がはらんでいた。

 そこで、洞穴へと向かい雲隠れしていた。ここでなら呻きうめ声や得体の知れない蠢くうごめ生き物におびえなくて済むと。

 しかし、安心は出来なかった。ホテルにはまだ近松が居る。

 自分を犠牲にしてまで、常夏寿郎を自動操作させて、野郎共から距離を離してくれた。その恩人を救うには、内部にいる自分しかいなかった。


カチッ‥カチッ‥カチッ‥カチッ‥─変更致しました。


 夜が明けると突如、無数の赤ランプがちらつき始めた。

 困ったことに武士と伊久夫が離ればなれで状況が読めない。

 崖の近くに居た武士のところへ駆け寄ると、武士もこの状況に戸惑っていた。

 落ち着きを取り戻す為、お互い肩を抱き合った。


「穣二。メガネの奴、こっちを見てやがる」


「うんん? なぜだ」


「クソっ。完全に気づいてやがる」


 あちこち、二郎を懸命に探す。白床はその時に嫌な予感がした。


「もしや、何者かに解除されているかもしれない」


 そう話した矢先、二郎が民宿の方からこっちにやって来る。その時俺は思わず、きゅっと口をつぐんだ。

 

「俺達、ここまでのようだな」


 まるで、サヨナラホームランを打たれたように甲高い音が容赦なく、心に鳴り響いている。

 それが、このマウンドを降ろす為の合図かのように_


º(サイレンウー! 


「あーあ、今頃樋口センパイ‥何してんだろな」

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