9.
時が経った。どれほどの長さだったかは、知らない。でもほんの一瞬だったように思う。
いつものように「あほ」に呼び出された。
奴の隣に女がいた。同じように、真っ白な。
「あほ」の右手と女の左手が、しっかりと繋がれている。
ああ。
「おめでとう」
この瞬間を、どれだけ、どれほど待っていたことか。
この身こそが、その為に在るのだとさえ信じるほどに。
「ありがとう」
「あほ」は、とてもとても幸せそうに笑った。
彼は私を呼ばなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます