5.

「あほ」は少年だったが、髪は老人のように見事な白銀だった。そればかりでなく、肌の色も透き通るように白い。


お前、真っ白なんだね。そう言うと、

今ごろ気づいたの?と奴が笑った。

今までで一番大人びた、というより悟った老人のような、乾いた笑いだった。


「君は優しいよね。僕のこと、『白銀』じゃなくて人間扱いするから」

「そりゃあ、私は人間ですらない。ただの剣だよ」

「……本当に、剣なの?」

「あほか。もう一度切られたいのか?」

「……僕には」


僕には、姫に見える。


「あほ」は、少し頬を赤くして言うのだった。

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