5分目 唇重ねて
「好き・・・だから私にキスして?」
そう言って、ひよりは俺の耳元で囁やけるくらい近づいて言う。ゾクっと背中が反応すると、
「俺も・・・好きだよ。ひより。」
少しだけ拙いがそれでも好意をありのまま伝えることは少しだけほんの少しだけ俺は恥ずかしかった。でも・・・それ以上の喜びもある。
咲き誇るのは桜の花ではなく彼岸花。通称花火花とも言う。赤色に染まった景色も夕凪が月へと変わり神社にある灯籠は静かにライトアップを始めた。
「「わぁあっ!!綺麗っ!」」
俺たちは声を揃えて全く同じ感想を上げた。
そんな、中でだ。ただ好きと言うだけじゃ物足りない。さっきひよりの言った言葉も鮮明に覚えている。だからこそかもね。俺は静かにひよりのそばについて正面切って抱きつく。マジで子供っぽくて恥ずい。
「ふぇ!?ど、どうしたの!?林治!」
「・・・ひより。」
「うん?・・・んっ!?!?」
そんな、ひよりが好きだから。赤らめてこっちを振り返った瞬間。俺は彼女の唇を俺の唇で重ね合わせた。これが、俺の決意だ。
「んむ・・・・ふ、ふにゃぁ〜・・・にゃ、にゃにするの!?」
と、ひよりが驚いた表情でこっちを見てくる。
「いや、何ってキスだけど。」
そんな真顔で言う俺に
「ば〜か〜林治〜」
と言いながらぽかぽかと俺のことを叩く。うん可愛い。そんなことを思っていると
「もう一回。」
「えっ?」
そんな小さな囁きに俺は思わず首を傾げて聞き返してしまう。
「だから!もう一回!キスして?」
「っ!?」
その時、頭が真っ白になった。
「「・・・・」」
空白の時間。それを壊すように俺は
「じゃ、じゃあいくぞ?」
「う、うん!」
そう言って俺たちはお互いがお互いを意識し過ぎた状態で顔を近づける。そんな2人は流れ星が落ちたその時に不意でもなく正面からキスをする。求め合う俺たち。そして離れた瞬間
「えへへっ!」「ははっ!」
見つめ合って笑い合っていた。そんな俺たちの馴れ初め話。
想いに触れた水面 くうき @koooodai
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