第3章 赤い竜の伝説

第1話 霊峰の神殿(1)

 5人はナツメ火山にやってきた。標高が高い部分には草が生い茂っておらず、岩肌がむき出しだ。ナツメ火山には登山客がいたが、人はまばらだ。


 このナツメ火山は古くから『霊峰』として人々に親しまれてきた。この火山には神が住まうと言われる。だが、それが炎竜神マグスだということはほとんど知られていない。


 そんなナツメ火山には多くの人が登山をしにやってくる。この山に登れば、幸運が訪れる、願いが叶うと伝えられているからだ。


 5人は火山を登っていた。目的地の炎の神殿は登山道から外れたところにある。安全面から、登山道以外は立ち入ってはならないことになっている。


「人がいないわね」

「ここは登山道じゃないもん」


 5人は神殿の前にやってきた。5人は驚いた。こんな険しい火山の中腹に立派な神殿があるからだ。


 神殿の入り口には、炎のようなドラゴンの彫刻があった。炎竜神マグスだ。炎のような見た目で、その中にドラゴンが浮かび上がっている。


「あれっ? 村長さん!」

「村長さん!」


 その入り口には、村長がいた。村長は厳しい表情をしていた。5人を見ると、村長はすぐに神殿の中に入った。


「入った! 行こう!」


 5人は炎の神殿に入った。神殿といっても、見た目はまるで洞窟や祠のようだ。この神殿は火山の中にあるからだ。


 入るとそこは暗い通路だった。その先には赤い光が見え、そこから煙が出ている。おそらく溶岩だろう。


「暑いわね」

「まるで炎の洞窟みたいだよ」


 神殿の中はとても熱かった。まるで炎の洞窟のようだ。マルコスは炎の洞窟を思い出していた。

 入ってすぐ、いきなり敵が襲い掛かってきた。4つの赤い火の玉だ。


「水の力を!」


 バズは魔法で水柱を落とした。火の敵には水が有効だと思ったからだ。赤い火の玉は大きなダメージを受けた。


「水の裁きを!」


 サムは魔法で大津波を起こした。4つの赤い火の玉は再び大きなダメージを受けた。


「えいっ!」


 レミーは姿を消して上から斬りつけた。だがあまり効かなかった。


 1つの赤い火の玉が2つに分裂した。


「くそっ、分裂するなんて聞いてないぞ!」


 サムは驚いた。またやり直しだし、もう1つ増えたので攻撃がより一層うっとうしくなると思った。


「食らえ!」


 マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。これもあまり効かなかった。


「ガオー!」


 サラは強烈な氷の息を吐いた。5つの赤い火の玉は一気に弱まってきた。


 赤い火の玉はレミーに体当たりした。レミーは大きなダメージを受け、体に火が付いた。


 もう1つの赤い火の玉はマルコスに体当たりした。マルコスは何とか耐えることができたが、体に火が付いた。


「水の裁きを!」


 バズは魔法で大津波を起こした。3つの赤い火の玉が消えた。


「それっ!」


 レミーは姿を消して、頭上から斬りつけた。食らった赤い火の玉はますます弱まってきた。


 その時、レミーの攻撃を受けた火の玉が2つに分裂した。火の玉は再び強くなった。


「水の裁きを!」


 サムは魔法で大津波を起こした。分裂しなかった火の玉が消えた。


「覚悟しろ!」


 マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。だが、あまり効かなかった。


「とどめだ!」


 サラは猛烈な氷の息を吐いた。2つの赤い火の玉は倒れた。


「今回はうまく倒せたわね」


 だが、サラは息を切らしていた。何度も分裂する敵に疲れていた。


「でも分裂するなんて。気が抜けないし、イライラする」


 分裂して完全回復する敵に、サムはイライラしていた。


「落ち着いて戦いましょ」


 サラは4人を落ち着かせようとした。


 5人は暗い通路を抜けた5人の目の前には溶岩が広がっていた。溶岩の中に足場が浮かんでいる。その足場はレンガ積みで、吹き上がる溶岩の泡で揺れている。


「危ないわね」

「落ちたら命がないよ。気を付けてわたりましょ」


 その時、床が沈み始めた。床は完全に沈むと、ゴボゴボと音を立てた。


「危ない!」


 5人は飛んで逃げた。


「床が沈んでく! 気をつけろ!」


 5人は急いで逃げていた。と、その先に階段があって、その先に洞窟の入り口があった。そこは路盤がしっかりとしていて、溶岩の泡でも全く揺れなかった。


「あそこに急ごう!」


 5人は階段に急いだ。その間にも、足場が崩れていく。


「もうすぐだ!」


 5人は急いだ。あと少しで階段だ。5人は全速力で走り、汗をかいていた。


 5人はぎりぎりで階段に着いた。後ろを見ると、足場が全部溶岩の中に消えていた。


「ふぅ、何とか間に合ったわね」


 サラは冷や汗をかいていた。


「さぁ、先を急ごう。時間がないんだから」


 バズは焦っていた。人間が絶滅するまで時間がないからだ。世界を救うこと。それが聖魔導の使命。バズは自らに課せられた使命に燃えていた。


 5人は階段を上り、洞窟に急いだ。その先の洞窟も、暗くて狭かった。いかにも敵が襲い掛かってきそうだった。


「また洞窟ね」


 サラはため息をついた。また洞窟だからだ。でも世界を救うためには乗り越えなければいけない。


「暗いな」

「気を付けて進みましょ」


 サラは冷静だった。サラはカンテラに火をつけて先頭に立って進んだ。


 進み始めたその時、敵が襲い掛かってきた。今度は炎をまとった2人の戦士だ。


「ほれっ!」


 レミーは姿を消し、頭上から斬りつけた。だが、逆に炎を浴び、レミーの体に火が付いた。


「水の裁きを!」


 バズは魔法で大津波を起こした。2人の炎の戦士は大きななダメージを受けた。


「水の力を!」


 サムは魔法で水柱を落とした。2人の炎の戦士は再び大きなダメージを受けた。だがびくともしない。


「食らえ!」


 マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。1人の炎の戦士は表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 サラは氷の息を吐いた。マルコスの攻撃も食らった炎の戦士はますます表情が苦しくなった。


「ふんっ!」


 表情の苦しくなった炎の戦士が持っていた炎の剣でマルコスを斬りつけた。マルコスは大きなダメージを受け、体に火が付いた。マルコスは表情が厳しくなった。


「炎の力を!」


 もう1人の炎の戦士は魔法で火柱を起こした。5人は大きなダメージを受け、マルコスは更に表情が苦しくなった。


「死ね!」


 レミーは姿を消し、正面から炎の戦士を斬りつけた。今回は逆に炎を浴びなかった。炎の戦士は倒れた。


「水の裁きを!」


 バズは魔法で大津波を起こした。炎の戦士は大きなダメージを受けたが、それでもひるまない。


「水の怒りを!」


 サムは魔法で水柱を落とした。炎の戦士はそれでもひるまなかった。体力が高かった。


「グルルル・・・」


 サラは氷の息を吐いた。炎の戦士は少し苦しそうな表情を見せた。


「覚悟しろ!」


 マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。炎の戦士は苦しい表情になった。


「炎の怒りを!」


 残った炎の戦士は前かがみになりながら魔法で溶岩を起こした。5人は再び大きなダメージを受け、マルコスとサムとレミーは倒れた。


「水の怒りを!」


 バズは魔法で大津波を起こした。炎の戦士は倒れた。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラは不死鳥となってマルコスとサムとレミーを復帰させた。うまくいくと思ったら、最後に強い攻撃がきて壊滅しそうになった。バズがいてくれてよかったと思った。


「危なかった」


 バズはため息をついた。バズは聖魔導になったことによって魔法への耐性が非常に強くなった。


 5人は前を向いた。洞窟の先には光が見える。今度は何が待ち受けているんだろう。5人は再び気を引き締めた。


 洞窟の出口の手前で、再び敵が襲い掛かってきた。今度は炎の龍だ。


「水の裁きを!」


 バズは魔法で水柱を落とした。よく効いたものの、炎の龍がびくともしない。


「水の怒りを!」


 サムは魔法で大津波を起こした。それでも炎の龍はびくともしない。


「ガオー!」


 炎の龍は激しい炎を吐いた。マルコスとレミーは倒れ、サムとバズは表情が苦しくなった。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラは不死鳥となってマルコスとレミーを復帰させた。


「それっ!」


 レミーは姿を消して正面から斬りつけた。だがあまり効かなかった。


「食らえ!」


 マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。こちらもあまり効かなかった。


「癒しの力を!」


 サムは魔法で自分とバズを回復させた。


「水の怒りを!」


 バズは魔法で水柱を落とした。若干ではあるものの、炎の龍は少し表情が苦しくなってきた。


「グルルル・・・」


 炎の龍は灼熱の炎を吐いた。サラ以外の4人は表情が苦しくなった。攻撃があまりにも強かった。


「えいっ!」


 レミーは分身して氷を帯びた剣で斬りつけた。炎の龍は表情が苦しくなってきた。


「覚悟しろ!」


 マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。炎の龍は更に表情が苦しくなった。


「とどめだ!」


 サラは氷の息を吐いた。炎の龍は消え去った。


「何なの? あの強い敵は?」


 レミーは汗をかいていた。敵があまりにも強かったからだ。


「油断できないな」


 マルコスも強い攻撃にたじたじだった。何とか耐えられるようにならないと。


 洞窟を抜けると、そこは橋だった。下には溶岩が流れている。溶岩はゴボゴボと音を立てていた。橋を支える橋脚はレンガ製で、溶岩までの高さはかなりあった。


「高いわね。気を付けて進みましょ」


 サラは下を見下ろしていた。その高さに驚いていた。その下の溶岩をじっと見ていた。


「何あれ?」


 レミーが指をさした。そこには、今さっき戦った炎の龍がいた。炎の龍は溶岩の中で跳ね回っていた。まるで水浴びをしているようだった。


 と、炎の龍は橋脚に体当たりしてきた。まるで橋脚を壊そうとしているかのようだった。


「何をしてるのかしら?」


 炎の龍がどうしてこんなことをしているのか、5人にはわからなかった。


 その時、橋脚が崩れた。5人はその時気づいた。橋脚を壊して、5人を殺そうとしていることに。


「逃げろ! 足を壊す気だ!」


 5人は対岸の洞窟の入り口に急いだ。その間にも炎の龍は橋脚を1本、また1本と破壊していった。


「急げ! 急げ!」


 5人は更に急いだ。橋は徐々に音を立てて崩れ始めた。5人は焦った。もっと速く走らねば落っこちてしまう。


「早く! 早く!」


 5人は更に急いだ。橋はますます崩れていった。崩れる部分は5人に迫っていた。


「何とか大丈夫だったわね」


 5人はその先の洞窟に入った。洞窟の中は暗かった。洞窟の中は右回りの階段になっていた。前は暗くて見えない。光が届かない所に出口があると思わる。


「いったいどこに抜けるんだろう」


 階段を抜けると、また広い所に出た。そこにも溶岩が広がっていた。


「またこの橋か」


 サムはうんざりしていた。また溶岩の広がる場所だったからだ。


「待って!これって、今さっき来たとこの下じゃない?」


 気づいたのはサラだった。今さっき崩れた橋の残骸が溶岩の中から見え隠れしているからだ。


「本当だ!」

「また襲ってこないかな?」


 サムは不安だった。まだあの炎の龍がやってきて、また崩しに来るんじゃないか。今度は襲い掛かってくるんじゃないかと思っていた。


「だったら俺たちがやっつけてやろうじゃないか!」


 マルコスは腕をまくり上げた。何度襲い掛かってきても自分の拳でぶっ飛ばそうと思っていた。


「ああ!」


 突然、先ほどの炎の龍が襲い掛かってきた。今さっき戦った炎の龍よりも大きい。


「やっぱり来たか!」

「さっきはよくも!」


 マルコスは今さっき足場を壊したことが許せなかった。


「水の裁きを!」


 バズは魔法で大津波を起こした。だが炎の龍はびくともしない。


「水の怒りを!」


 サムは魔法で強力な水柱を落とした。それでも炎の龍はびくともしない。


「それっ!」


 レミーは姿を消して正面から斬りつけた。炎の龍には全く効かなかった。


「ガオー!」


 炎の龍は灼熱の炎を吐いた。5人は大きなダメージを受け、レミーは倒れた。


「覚悟しろ!」


 マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。炎の龍の表情は変わらなかった。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラは不死鳥となり、レミーを復帰させた。


「水の怒りを!」


 バズは魔法で大津波を起こした。炎の龍は少し苦しそうな表情を見せたが、すぐに元に戻った。


「ギャオー!」


 炎の龍は再び灼熱の炎を吐いた。5人は再び大きなダメージを受けた、今度はマルコスとレミーとバズが倒れた。


「水の裁きを!」


 サムは魔法で水柱を落とした。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラは不死鳥となってマルコスとレミーとバズを復帰させた。


「食らえ!」


 マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。炎の龍は少し苦しそうな表情を見せた。


「ガオー!」


 炎の龍はまたもや灼熱の炎を吐いた。マルコスとサムが倒れた。


「水の裁きを!」


 バズは魔法で水柱を落とした。炎の龍は更に厳しい表情になった。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラ不死鳥になってマルコスとサムを復帰させた。


「とどめだ!」


 レミーは姿を消して、氷を帯びた剣で斬りつけた。炎の龍は消えた。


「相変わらずこの敵は強いわね」


 5人はここの敵に手こずっていた。特に炎の龍は灼熱の炎が強烈で、ダメージが大きかった。特にマルコスとレミーは1劇でも苦しくなる。


「気をつけないと」


 サラはため息をついた。攻撃をするよりも、仲間を復帰させることが多かったからだ。このままでは攻撃ができない。この中では一番強いのに。

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