第6話 ロン(3)
フレアの後をつけていくと、長い階段があった。その階段は、どこまでも下に続いているように長い。フレアは急いでその階段を下りていった。4人はサムの体の中に隠れながらその様子を見ていた。フレアに気づかれたらまずいからだ。
「昨日の神殿にもこんなのあったよね。確かこの先にオーブがあったんだよね」
「ああ。だとすると、この先にオーブがあるってことかな?」
サラとマルコスは昨日の神殿ことを思い出しながらフレアの様子を見ていた。
「そうかもしれないな」
「フレアが見えなくなったら行きましょ」
「うん」
4人はフレアが見えなくなるのを待っていた。
しばらく待っていると、フレアの姿が見えなくなった。フレアの逃げ足はとても速い。
「見えなくなったわね」
「さぁ、行きましょ」
4人が階段を下りようとしたその時、敵が襲い掛かってきた。4匹の赤いドラゴンだ。
「氷の怒りを!」
サムは魔法で4匹のドラゴンを氷漬けにした。4匹は大きなダメージを受け、うち1匹が氷漬けになった。
「グルルル・・・」
1匹のドラゴンが魔法で溶岩を起こした。4人は大きなダメージを受け、マルコスとレミーは倒れた。サムとサラは大丈夫だったものの、サムの体には火が付いた。
「ガオー!」
サラは氷の息を吐いた。4匹は大きなダメージを受け、もう1匹が氷漬けになった。
「グルルル・・・」
1匹のドラゴンがサラに向かって炎を吐いた。だがサラには全く効かなかった。
「雪の怒りを!」
サムは魔法で猛吹雪を起こした。凍った2匹のドラゴンと1匹のドラゴンが倒れ、残った1匹のドラゴンは瀕死になった。
「とどめだ!」
サラは氷の息を吐いた。最後に残ったドラゴンは倒れた。
「大変だったわね」
「何とかあの攻撃に耐えられるようにならないと」
サムは冷や汗をかいていた。あの溶岩の攻撃を何とかしなければ。
サラは不死鳥となり、マルコスとレミーを復帰させた。これで何度目だろう。早く耐えれるようにならねば。サラはもっと耐える力を身につけてくれないかと思っていた。
4人は暗い階段を歩いていた。その先には何も見えない。
「暗いわね」
「どうやってこんなに掘ったんだろう」
「きっと、神龍教が魔法で作ったんだろう」
サムは、今度の洞窟も神龍教が作ったんだと思っていた。
「昨日の神殿もそうだけど、どこまで続くのかしら?」
サラは昨日の神殿のことを思い出していた。長い階段にはうんざりしていた。だが、進まなければならない。人間の未来のためにも。
階段を歩き終えると、その先には扉がある。どこまで下ったんだろう。今、地上から何メートルの部分だろう。サラは考えていた。
「この先にサラマンダーのオーブがあるのかな?」
「きっとそうだ。そうに違いない!」
サムは自信気だった。昨日もそうだったからだ。
扉を開けると、そこは階段だ。その横には溶岩が流れている。そして、より暑く感じた。
「暑いな」
「ここが火山の最深部かな?」
「たぶんそうだろう」
その時、音を立てて地響きが起こった。
「な、何だ?」
「また地震か?」
ふと、サムは溶岩を見た。すると、溶岩が徐々に盛り上がっていくのが見えた。
「見て! 溶岩が盛り上がってく!」
「早く階段を上るぞ!」
4人は全速力で階段を上り始めた。その間にも溶岩が盛り上がっていく。階段を上るより、溶岩が盛り上がるスピードが速い。
「だめだ! 追いつきそう!」
それを見たサラはドラゴンに変身した。サラは羽をはためかせ、一気に階段を上っていった。
「ありがとう」
「まだ油断するのは早いわよ。逃げ切るまで気が抜けないわよ」
3人は迫りくる溶岩を見ていた。
「もうだめだ」
そう思ったその時、地響きが収まり、溶岩が止まった。
「止まった?」
「そうみたい」
「よかったわね」
「もう助からないと思ったよ」
4人はほっとした。そこはちょうど階段を上りきった所で、その先にはまた扉があった。
「また扉だ」
「今度は何だろう」
「行ってみよう」
4人は扉を開けた。開けるとそこは暗くて細長い通路だ。その通路は緩やかな下り坂になっている。
「また暗い通路かよ」
「どれぐらい進んだらたどり着くんだろう」
突然、扉が閉まった。閉まる音に気づき、4人は振り向いた。
「な、何だ?」
「どうして勝手に閉まった?」
その時、轟音が聞こえてきた。その音は徐々に大きくなっていった。4人は辺りを見渡した。だが、何も変化がなかった。
「何だろう」
「また溶岩かな?」
突然、扉の上から大きな丸い岩が落ちてきた。その岩は通路をふさいでしまうほどの大きさだ。岩は下り坂を転がり始めた。
「岩が迫ってくる!」
「逃げろ!」
4人は全速力で逃げた。岩は下り坂で徐々にスピードを上げていく。轟音が徐々に大きくなってくる。
4人はドキドキしていた。押しつぶされて一気に全滅してしまうかもしれない。4人は命がけで逃げた。
「早く! 早く!」
走り続けていると、抜け穴があった。その先には、明かりがあった。
「あそこに入れば大丈夫かも」
4人は抜け穴に向かって走った。その間にも岩は迫ってきた。
「とりゃあ!」
4人は抜け穴に滑り込んだ。4人は間一髪で逃げることができた。
「岩が迫ってくるなんて」
「卑怯なわなを仕掛けやがって」
サラは神龍教が憎かった。おとといの大地の祠といい、昨日の水の神殿といい、巧妙な仕掛けをする彼らが許せなかった。
その先には細い崖があった。左右には溶岩が流れている。溶岩はそれまで以上に熱く、部屋は蒸し暑かった。
「蒸し暑いわね」
「ますます深い所を歩いてるみたいだ」
4人は狭い崖を歩き始めた。溶岩はゴボゴボと音を立てていた。
「ガオー!」
突然、大きな声がした。4人は立ち止まり、辺りを見渡した。
「あれ見て!」
レミーが後ろを指さした。すると、溶岩から巨大な溶岩の化け物が現れた。化け物はドラゴンの姿だ。
「何だありゃ」
「すっげー!」
化け物は4人を見つけると、追いかけてきた。
「驚いている場合じゃないわ。襲い掛かってくる! 逃げよう!」
4人は全速力で逃げた。化け物は飛び跳ねながら、崖を壊して追いかけてきた。
「ガオー!」
化け物はものすごいスピードで追いかけてきた。4人は全速力で逃げていたが、化け物の方が速かった。
「早く私の背中に乗って!」
サラはドラゴンに変身し、3人を乗せようとした。ドラゴンは飛ぶスピードが速く、走るより速い。飛んでいけば、逃げられるかもしれないと思った。
3人はサラの背中に乗った。サラは飛んで逃げた。3人は背中から化け物を見ていた。化け物は崖を壊しながら迫っていた。
「サラ、早く!」
「助けて、サラ姉ちゃん!」
「わかった。まかせて!」
サラは全速力で飛んでいた。すると、化け物が遠ざかった。化け物のスピードより、サラの飛ぶスピードが勝ったからだ。3人は遠ざかる化け物を見ていた。
サラはその先の階段を一気に上り、扉の前に着いた。化け物は4人を追いかけたが、高いところには行けなかった。化け物は悔しそうに4人を見ていた。
3人はサラの背中から降り、サラは人間の姿に戻った。そして、化け物の様子を見ていた。
「危なかったわね」
「飲み込まれると思った」
マルコスとレミーは下から化け物を見ていた。
「さぁ、早く行きましょ」
サラはその先の扉を開け、次の部屋に向かった。3人はサラに続いて次の部屋に入った。
扉を開けると、そこは長い通路だった。その先にはフレアがいた。女は4人を見つけると、また逃げ出した。
「おい、待て!」
だがフレアは何も言わずに逃げ出した。4人は必死で追いかけた。
突然、敵が襲い掛かってきた。4羽の火の鳥だ。まるでフレアが逃げるのを邪魔しているようだ。
「水の怒りを!」
サムは魔法で水柱を落とした。4羽の火の鳥は大きなダメージを受けたが、耐えていた。
1羽の火の鳥がサラに向かって体当たりした。だがサラには全く効かない。
「私にはそんな攻撃は通用しないのよ!」
サラは氷の息を吐いた。4羽の火の鳥は大きなダメージを受け、1羽が凍った。
「ギャオー!」
1羽の火の鳥が魔法で火柱を起こした。4人はダメージを受け、特にマルコスとレミーは大きなダメージを受けた。マルコスの体に火が付いた。
「食らえ!」
レミーは氷を帯びた爪でひっかいた。1羽の火の鳥が倒れた。
「覚悟しろ!」
マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。また1羽の火の鳥が倒れた。
「氷の力を!」
サムは魔法で2羽の火の鳥を氷漬けにした。2羽の火の鳥は大きなダメージを受け、倒れた。
「また見失ったわね」
サラは辺りを見渡していた。
「あれ見て!」
レミーは向こうの扉を指さした。そこには扉を開けて向こうの部屋に行くフレアがいた。
「追いかけよう!」
4人は全速力で追いかけた。だが、再び敵が立ちはだかった。今度は3匹の赤いドラゴンだ。
「雪の怒りを!」
サムは魔法で猛吹雪を起こした。3匹の赤いドラゴンは大きなダメージを受けたが、びくともしなかった。
「ガオー!」
1匹の赤いドラゴンは辺りを火の海にした。4人は大きなダメージを受けた。レミーは倒れた。マルコスは苦しくなり、体に火が付いた。
「食らえ!」
マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。赤いドラゴンは痛がったが、あまり効かない。
「グルルル・・・」
赤いドラゴンは魔法で火柱を起こした。3人はダメージを受け、マルコスは倒れた。
「覚悟しなさい!」
サラは氷の息を吐いた。赤いドラゴンは3匹とも氷漬けになり、うち1匹が瀕死になった。
「氷の怒りを!」
サムは魔法で3匹のドラゴンを氷漬けにした。3匹のドラゴンは倒れた。
「早く行きましょ」
4人は先を急いだ。だが、フレアは扉を開け向こうの部屋に入り、すでにいなかった。
「早く向かいましょ」
「うん。」
だが、再び敵が襲い掛かってきた。今度は巨大な炎の怪物だ。
「あの溶岩で見た怪物でそっくり!」
「まさかあれが襲い掛かってくるとは」
マルコスは開いた口がふさがらなかった。
「驚いてる場合じゃないわ! 戦いましょ!」
サラは気持ちを引き締めた。
「水の怒りを!」
サムは魔法で大津波を起こした。炎の怪物は大きなダメージを受け、少し弱った。
炎の怪物は4人を飲み込むようにして炎の渦に包みこんだ。サラ以外は大きなダメージを受け、瀕死になった。
「ガオー!」
サラは氷の息を吐いた。炎の怪物は大きなダメージを受けたが、凍らなかった。
「食らえ!」
マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。炎の怪物は倒れた。
「早くフレアを追いかけましょ」
4人はフレアの後を追って扉を開け、向こうの部屋に入った。
扉を開けると、そこにはフレアがいる。だがフレアはまたもや逃げた。
「追いかけろ!」
その声を聴いて、フレアは更に足を速めた。4人は走って追いかけ始めた。
「待てー!」
マルコスが叫んだが、フレアは無視して逃げていった。
突然、敵が襲い掛かってきた。今度は炎の怪物と赤いドラゴンだ。
「食らえ!」
レミーは4匹に分身して鋭い爪でひっかいた。だが赤いドラゴンにはあまり効かない。
「ガオー!」
赤いドラゴンは激しい炎を吐いた。レミーは激しい炎を浴びて倒れた。
「氷の怒りを!」
サムは魔法で2匹の敵を凍らせた。2匹は大きなダメージを受け、赤いドラゴンは氷漬けになった。
「覚悟しろ!」
マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。炎の怪物は大きなダメージを受けたが、表情はあまり変わらない。
「グルルル・・・」
サラは氷の息を吐いた。2匹は大きなダメージを受けたが、何とか持ちこたえていた。
炎の怪物は大きな火柱を起こした。3人は大きなダメージを受け、マルコスは倒れ、サムは瀕死になった。
「氷の怒りを!」
サムは魔法で2匹を氷漬けにした。2匹は大きなダメージを受け、氷漬けになった赤いドラゴンは倒れた。
「食らえ!」
サラは氷の息を吐いた。炎の怪物は倒れた。
「何とか大丈夫だったわね」
「全滅するかと思ったよ」
サラは不死鳥となって、マルコスとレミーを復帰させた。
「何とか耐えれるようにならないと」
レミーはよく倒れることに不満を抱いていた。自分は魔法に弱く、しかも守りが弱い。もっと耐えれるようにならなければいけないと思っていた。
「早く行こう! あの扉に入った!」
サラは戦いの中でフレアがどの扉に入ったか見ていた。迷いはなかった。
だが、道をふさぐように再び敵が襲い掛かってきた。今度は2羽の火の鳥と2匹の炎の怪物だ。
「次から次へと道をふさぐように襲い掛かってくるわね。まるで邪魔をしてるかのようだ」
「何度出てきてもやってやろうじゃないか!」
マルコスは腕をまくり上げた。
「氷の怒りを!」
サムは魔法で4匹を氷漬けにした。大きなダメージを与えることができたが、氷漬けにはならなかった。
「ガオー!」
炎の怪物は激しい炎を吐いた。4人は大きなダメージを受けたが、何とか耐えた。
今度は火の鳥がサラに向かって体当たりした。だがサラには全く効かなかった。
「全く効かないわよ!」
サラは氷の息を吐いた。2羽の火の鳥は倒れた。だが2匹の炎の怪物はびくともしない。
「食らえ!」
マルコスは氷を帯びた爪でひっかいた。食らった炎の怪物は倒れた。
「グルルル・・・」
1匹だけ残った炎の怪物は魔法で火柱を起こした。4人は大きなダメージを受け、マルコスとレミーは瀕死になったものの、何とか持ちこたえていた。
「とどめだ!」
サラは氷の息を吐いた。残った炎の怪物は倒れた。
「さぁ、早く行きましょ」
4人はフレアの入った部屋の扉へ急いだ。
その時、地響きが起こった。そして、天井の一部が崩れて、溶岩が流れ込んできた。
「な、何だ?」
「天井が崩れて溶岩が流れ込んでくる! 急ごう!」
4人は更に足を速めた。溶岩が流れ込み、4人に迫ってきた。
「早く! 早く!」
サラは扉を開け、次の部屋に入った。後に続いて、3人も次の部屋に入った。サラはすぐに扉を閉めた。溶岩を止めようとした。その先には長い上り階段があった。
「助かったかな?」
その時、扉の隙間から溶岩が流れ込んできた。
「危ない! 逃げろ! 一気に飛んで逃げるわよ!」
サラはドラゴンに変身した。3人はサラの背中に乗った。その間にも溶岩が流れ込んでくる。3人はその様子をサラの背中から見ていた。
溶岩は徐々に4人に迫ってきた。サラはさらに高く飛んだ。そして、階段の上の扉の前まで来た。
「あの扉に入りましょ!」
サラは扉の前に降り立ち、人間の姿に戻った。マルコスはすぐに扉を開け、4人は扉の向こうに入った。
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