第5話 決意(1)

 4人は神殿の入り口に着いた。神殿はとても大きくて、まるで宮殿のようだ。床は透き通っていて、海が見えている。


「きれいね」


 いつかこんな所に住んでみたいと思った。


「インガーシティにこんなのがあったなんて」


 マルコスは驚いていた。美しい海岸で有名なインガーシティにこんなのがあったからだ。こんなのが見える場所で海水浴をしたら最高だろうなと思った。


「早く行きましょ」


 サラは早くウンディーネのオーブを手に入れなければと思っていた。


 4人は神殿の中に入った。神殿の中はまるで宮殿のようで、壁も天井も床も透けている。


「中も美しいわね」


 あまりの美しさに、サラは開いた口がふさがらなかった。


「敵だ!」


 サムの一声で、サラは驚いた。敵が襲い掛かってきたからだ。2匹の半魚人だ。


「こんな美しいところに、どうして?」


 サラは目を疑った。


「やはりここにも神龍教の魔の手が伸びているんだろう」


 ウンディーネのオーブが王神龍を封印するために必要なものだからだ。


「ならばやってやろうじゃないの!」


 サラは強気だった。


「天の怒りを!」


 サムは魔法で雷を起こした。2匹の半魚人は体がしびれた。


「食らえ!」


 レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。ひっかかれた半魚人は倒れた。


「死ね!」


 残った半魚人は槍でマルコスを突いた。マルコスは少し痛がった。


「とどめだ!」


 サラは雷を吐いた。残った半魚人は倒れた。


「ここの敵は水の敵が多いから電気系の攻撃を積極的に使っていきましょ」


 サラは冷静だった。


「サラ、あの扉、何で鍵がかけられてんのかな?」


 サムは、鍵がかけられた中央の扉が気になった。頑丈な鍵がかけられて、いかにもこの先に何かがある予感がしていた。


 4人は大広間の奥にある鍵のかかった扉の前に来た。扉はとても立派な造りで、彫刻が施されていた。


「この先に何があるんだろう」


 サラは疑問に思った。


「きっと重要なもんだろう。例えば、ウンディーネのオーブとか」


 マルコスは予感していた。この先にウンディーネのオーブがあるかもしれないと。


「みんな、これ見て」


 サラは扉の横にある壁画を指さした。それは、今は亡きウンディーネ族の壁画だった。


「ひょっとして、この先にウンディーネのオーブがあるのでは?」


 腕を組んで、サムは予想した。


「とにかく、この部屋に行くための鍵を見つけましょ」


 サラは強気だった。一刻も早くオーブを見つけ出さなければ。


「階段の上に扉がある。ここから入ってみよう。とにかく隅から隅まで散策するのが大勢だからね」


 サムは冷静だ。その扉を開けるための鍵がどこかにあると思っていた。


 4人は階段を上った。会談は螺旋状で、手すりの先には彫刻が施されている。4人は感動しつつも、敵の襲撃を警戒していた。いつ襲い掛かってくるかもしれない。


 階段の先の扉を開くと、通路があった。通路には赤いじゅうたんが敷かれていて、壁は大理石だ。


「相変わらずここも豪華ね」


 あまりの美しさに、サラは開いた口がふさがらなかった。


 突然、敵が襲い掛かってきた。敵は3匹で、頭がサメの人間で、槍を持っていた。


「ここにも敵が!」


 レミーは驚いた。


「とにかくやっつけましょ」


 サラは強気だった。


「食らえ!」


 レミーは分身してひっかいた。サメ人間は少し痛がった。


「天の怒りを!」


 サムは魔法で雷を落とした。サメ人間は大きなダメージを受けた。


「この野郎!」


 マルコスは鋭い爪でひっかいた。食らったサメ人間は瀕死になった。


「とどめだ!」


 サラは雷を吐いた。食らったサメ人間は倒れた。


 サメ人間はレミーを槍で突いた。レミーは大きなダメージを受けた。突きの攻撃はとても強かった。


「大丈夫か? 癒しの力を!」


 サムは魔法でレミーの傷を癒した。レミーのダメージが完全に回復した。


「覚悟しなさい!」


 レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。ひっかかれたサメ人間は倒れた。


「水の怒りを!」


 最後に残ったサメ人間は魔法で津波を起こした。4人は大きなダメージを受けた。


「くそっ、とどめだ!」


 サラは雷を吐いた。最後に残ったサメ人間は倒れた。


「最後の津波が痛かったわね」


 サラは戦いを振り返っていた。何といっても最後の津波が印象に残っていた。全滅が頭をよぎった。


「気を付けないと」


 サムは全員を魔法で回復させた。


「この先に何があるのかしら」


 通路の先には扉があった。扉はふさがれていて、全く見えなかった。


「行ってみよう」


 マルコスは強気だ。


 その頃、神殿には1人の女性が入ってきた。ナシアだ。ナシアはここまで泳いでやってきた。ナシアは神殿を見て、何かを考えていた。




 4人は扉の向こうに入った。扉の向こうは薄暗い通路になっていて、前があまり見えなかった。


「暗いから気を付けて進みましょ」


 サラは3人に注意を促した。


 その時4人は、物音に気が付いた。4人は驚いた。


「何の音だろう」


 サラは首をかしげた。


「見ろ! 壁が近づいてきているぞ!」


 壁を指さし、サムが言った。サムは慌てていた。


「えっ、えっ、じゃあ、このままこの部屋にいたら押しつぶされるってことね。早く逃げなきゃ」


 サラも慌てていた。


 4人は全速力で走った。その間にも壁は近づいていた。通路の先には扉があった。早く扉の向こうに行かねば押しつぶされる。4人は急いだ。


「急いで! 急いで!」


 レミーは叫んだ。汗をかいていた。


 4人は全力で走って、何とか向こうの部屋に入ることができた。サラは扉を閉めた。その直後、通路が完全に押しつぶされた。


「ふぅ、何とか大丈夫だったわね」


 サラはほっとしていた。


 4人が入った部屋の中央には、1つの宝箱があった。その宝箱は金の装飾が施されている。


「あの宝箱、何かしら?」


 サラは首をかしげた。


「とりあえず、開けてみよう」


 マルコスは宝箱はとにかく何でも開けようと思っていた。


「うん」


 サラは宝箱を開けた。中には鍵があった。その鍵は金色で、ウンディーネの彫刻がある。


 と、その時、敵が現れて、襲い掛かってきた。3匹のサメ人間だったが、今さっきのと違って金色だ。今さっきのより強そうな見た目だ。


「くそっ、罠か?」


 突然敵が現れて、サムは驚いた。


「この鍵を渡さないために見張っていた?」


 サラは予想した。


「そうかもしれない」

「ぐじゃらぐじゃら言ってないで。殺されるよ!」

「えいっ!」


 レミーは雷を帯びた爪で何度もひっかいた。効いてはいるものの、サメ人間はびくともしない。体力が高いからだ。


 突然、サメ人間の1匹が持っていた槍でレミーを突いた。槍は光を帯びてレミーを貫いた。レミーは倒れた。即死技だった。


「天の怒りを!」


 サムは魔法で雷を落とした。サメ人間はそれでもびくともしなかった。だが、着実にダメージを与えていた。


「仲間をよくも。許さんぞ!」


 マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。食らったサメ人間は瀕死状態になった。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラは高く舞い上がり、火をまとって不死鳥となった。不死鳥となったサラは炎を吐き、倒れたレミーを炎で包んだ。


 サラは元のドラゴンに戻り、地上に戻った。炎が収まると、その中からレミーが現れた。レミーは不死鳥の炎を浴びて復活した。


 サメ人間は槍でサラを突いた。だがサラはあまりダメージを受けなかった。ドラゴンの皮膚が頑丈だからだ。


「今さっきはよくもやったな!」


 レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。食らったサメ人間は倒れた。


「天の怒りを!」


 サムは魔法で雷を落とした。耐久力が高いと見て、より強めの雷を与えた。サメ人間は大きなダメージを受けた。


 サメ人間は光を帯びた槍でマルコスを突いた。マルコスは倒れた。


「マルコス!」


 サムは叫んだ。マルコスは一撃で倒れたからだ。


「食らえ!」


 サラは雷を吐いた。食らったサメ人間は倒れた。


「水の怒りを!」


 最後に残ったサメ人間は魔法で大津波を起こした。3人は大きなダメージを受けた。


「みんな、大丈夫?」


 サラは2人に声をかけた。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラは不死鳥となり、マルコスを炎で包み、復活させた。


「覚悟しなさい!」


 レミーは雷を帯びた爪でひっかいた。


「天の怒りを!」


 サムは魔法で雷を落とした。最後に残ったサメ人間は倒れた。


「ふぅ、大変だった」


 サラは戦いを終えて、ため息を吐いた。あまりにも大津波が強かったからだ。


「全滅するかと思った」


 サムは大津波におびえていた。


「この鍵、もだがて、大広間の鍵のかかった扉のやつじゃないかな?」


「そうかもしれない。試しに使ってみよう」


 4人は大広間に戻ることにした。


「でも、通路が壁でふさがれてしまって、どうやったら大広間に戻れるんだろう」


 確かに、今さっき通った通路が壁でふさがれてしまった。


「ちょっと待って、この下に何かない?」


 サムは宝箱を指さした。宝箱のある床は明らかに周りと色が違っていた。何かがある雰囲気がした。


「宝箱をどかしてみよう」


 マルコスは自慢の怪力で宝箱を持ち上げた。すると、その下には階段があった。階段の下は薄暗かった。


「この階段の先に何があるんだろう」

「とにかく行ってみよう」


 マルコスは前向きだった。


 4人は階段を下りた。通路は暗い。前が全く見えない。サラは持っていたカンテラに火を灯した。

「暗いわね。美しい神殿にこんな隠し通路があったなんて」


 サラは驚いていた。何のためにこんなのを作ったんだろうと思った。


 通路は薄暗く、敵が襲い掛かってきそうで怖かった。壁画には海の生き物の彫刻が施されている。


「きれいな壁画」


 レミーは壁画に感動していた。


「それにしても、サラはすごいな。不死鳥になって戦いに復帰させることができるんだから」


 サムはサラの能力に感動していた。


「ありがとう」


 サラは笑顔を見せた。


「こんなの、普通のドラゴンじゃできないよ」


 マルコスは感心していた。


「私にもその理由がわからないの。でも、私、何か特別な力を持っているためだと言われているの」


 サラは徐々に自分は普通のドラゴンではないことに気づいてきた。


 しばらく歩いていると、明かりが見えてきた。


「見て! 明かりが!」


 サラは指をさした。


「その先は何があるんだろう」


 4人は階段を上って明るい部屋に出てきた。そこは細い一本道で、左右には水が流れている。水の中には、人の肉を食いちぎる肉食魚が大量に泳いでいる。


「落ちちゃ駄目よ。食われて命を落とすから」


 4人は落ちないように警戒していた。肉食魚の大群は4人を見つけると、口を開けて待ち構えていた。


 通路の先には階段があった。だが階段の先は天井だ。


「行き止まりなのか?」


 サムは首をかしげた。


「道、間違ったかな?」


 詰んだと思った。


「ちょっと待って! 隙間から光が見える!」


 サラは天井を指した。すると、天井の隙間から光が見えていた。


「開くんじゃない?」


 サムは天井を上げた。すると、光が見えた。


「出れる!」


 レミーは興奮した。


「この道であってたんだな」


 マルコスはほっとした。


「その先は何だろう」


 サムは天井を開け、外に出た。そこは、神殿の入り口だった。


「何だ、入り口じゃないか?」


 サムは驚いた。


 3人もサムの後についてやってきた。そして、神殿の入り口だったことに驚いた。


「ここに抜ける道だったのか」


 そして、神殿を見上げていた。


 4人は再び神殿の中に入った。神殿の中は相変わらず静かだった。


「相変わらず静かね」

「だからこそ敵が襲い掛かってこないか気を付けないと」


 サムは敵が襲い掛かってくるのを警戒していた。


 4人は鍵のかかった扉の前に立った。開けられるかどうかわからない。でもやってみよう。サラは鍵を指し、回した。すると、鍵が開いた。


「やっぱりこれであっていたのね」


 サラはほっとした。これで駄目ならまた探さなければならないからだ。


「さぁ、行こう」

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