第5話 決意(2)

 サムは扉を開けた。扉の向こうには少し薄暗い通路がある。左右には所々にサメの彫刻が施されている。


「きれいね」


 サラは驚いていた。


 突然、サメの彫刻が動き出した。サメは4人のいる方向に回り、近づいてきた。


「な、何だ?」


 サムは突然のことに驚いた。


「石像が動き出したぞ!」


 マルコスは辺りを見渡した。


「とにかく、やっつけましょ」


 サラは強気だった。


「天の怒りを!」


 サムは魔法で雷を落とした。2匹のサメ人間は大きなダメージを受けた。


 1匹のサメ人間は光を帯びた槍でマルコスを突いた。マルコスは一撃で倒れた。


「マルコス!」


 サラは叫んだ。あまりの強さに驚いていた。


「食らえ!」


 レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。サメ人間は再び大きなダメージを受けたものの、びくともしない。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラは不死鳥となり、マルコスを復帰させた。


「覚悟しろ!」


 復帰したマルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。食らったサメ人間は倒れた。


「水の怒りを!」


 残ったサメ人間は魔法で大津波を起こした。全員が大きなダメージを受けた。レミーとマルコスは倒れ、残ったサムとサラは体力が残り少なくなった。


「天の怒りを!」


 サムは再び魔法で雷を起こした。残ったサメ人間は倒れた。


 サラは不死鳥となり、レミーとマルコスを復帰させた。


「全滅するかと思った」


 元の姿に戻って、サラはため息を吐いた。


「もっと強くならないと」


 サムはもっと強くならなければ全滅すると思った。この先、もっと強い敵が襲い掛かってくるに違いない。全滅しないためにももっと強くならねば。


「先に進みましょ」


 サラは早くオーブを見つけなければと思っていた。


 4人が先に進むと、行き止まりだった。水が張っていて、水の中には肉食魚が泳いでいた。この先に進めなかった。


「行き止まりね。どうしよう」


 サラは悩んでいた。


「あれ見て!水の下に通路が見える!」


 レミーは水の底を指さした。そこには、通路らしき穴がある。だが、肉食魚が泳いでいて先に進めない。入ったら食い殺されるだろう。4人は行くことができなかった。


「どうやってこの先に行くんだろう」


 サラは腕を組んで考えた。サラは悩んでいた。


 サムが後ろを向くと、階段が見えた。


「サラ、あの階段、何だろう」


 サムが指さすと、そこには階段があった。階段の先には出入り口があった。


「その先に出入り口がある」


「ひょっとして、この先に進めるための何かがあるのかな?」


 レミーは首をかしげた。


「とにかく、行ってみよう」


 サラは強気だった。


「うん」


 進もうとしたその時、2匹の敵が襲い掛かってきた。今度は槍を持った半魚人だが、色が違っている。


「水の怒りを!」


 1匹の半魚人が魔法で大津波を起こした。4人は大きなダメージを受けたが、何とか耐えた。


「みんな、大丈夫?」


 サラは3人に声をかけた。


「うん、大丈夫」


 だが、マルコスは息が荒かった。大きなダメージを受けたと思われる。


「天の裁きを!」


 サムは魔法でより強い雷を落とした。早く倒さねばと思っていた。


「くそっ・・・」


 サラは全身に火をまとった。何かをしようとしていた。


「食らえ!」


 レミーは鋭い爪でひっかいた。食らった半魚人は瀕死になった。


「覚悟しろ!」


 マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。食らった半魚人は瀕死になった。


「ガオー!」


 サラは炎をまとって2匹の半魚人に向かって体当たりした。2匹の半魚人は一気に倒れた。


 3人はサラの大技に驚いていた。今までに見たことのない技だからだ。


「サラ・・・」


 サムは開いた口がふさがらなかった。


「どう、見た?」


 サラは自信だ。


「サラ、すごすぎる・・・」


 マルコスも開いた口がふさがらなかった。


「ありがとう」


 サラは笑顔を見せた。


「こんな技、見たことない。サラ、お前は何か特別な存在じゃないか?」


 サムはドラゴン族のことをよく知っていたが、そのような技を見たのは初めてだった。


「私、そうかもしれないと思ってるの。だって、10年前に捕まった時に発動した力もそうだし、不死鳥になれるし、火をまとって体当たりできるから」


 サラは改めて自分が特別なドラゴンだということに気が付いた。


 4人は階段を上り、次の部屋に入った。次の部屋は薄暗い細い通路だ。まるで今さっきの隠し通路のようだ。


「暗いわね」


 その時、後ろから敵が襲い掛かってきた。今度は人間ぐらいの大きさのタコだ。まだ子供のクラーケンだ。


「くそっ、背後をつかれた」


 後ろを向いて、マルコスは驚いた。後ろを突かれたからだ。


 1匹のクラーケンは触手でレミーに巻き付いた。レミーは行動ができなくなった。


「天の怒りを!」


 サムは魔法で雷を落とした。2匹のクラーケンは大きなダメージを受けた。クラーケンはレミーを離した。


「食らえ!」


 マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。食らったクラーケンは倒れた。


 残ったクラーケンは大津波を起こした。サメ人間のよりやや弱めだったが、4人は大きなダメージを受けた。


「とどめだ!」


 サラは雷を吐いた。残ったクラーケンは倒れた。


「何とか倒せたけど、今の大津波は危なかったわね。倒れはしなかったけど気を付けないと」


 サラは気持ちを引き締めていた。まだまだ頑張らないとと思っていた。


 4人は薄暗い通路を進んでいた。通路はとても静かだ。下を流れる海水の音しか聞こえない。


「突然敵が襲い掛かってきそうだから、気を付けないと」


 周りの視界はそんなに良くない。後ろからまた敵が襲い掛かってきそうで警戒していた。


 通路を進んでいくと、大広間に出た。入口の大広間に似ているが、入口より小さい。中央にはらせん状の階段があって、どこまでも続いているように見える。


「あの階段の向こうに行ってみましょ。この先に何かがあるかもしれない」


 建物はくまなく調べるのがいいと思っていた。


 4人が階段を上ろうとしたその時、敵が襲い掛かってきた。半魚人とサメ人間だ。


「天の裁きを!」


 サムは魔法で強烈な雷を落とした。2匹は大きなダメージを受け、サメ人間は体がしびれた。


「えいっ!」


 レミーは鬼火を起こして半魚人を包み込んだ。半魚人はダメージを受け、体に火が付いた。


「水の怒りを!」


 体に火が付いた半魚人は魔法で大津波を起こした。4人は大きなダメージを受けたものの、何とか持ちこたえた。サメ人間は体がしびれて、何もできなかった。


「食らえ!」


 サラは雷を吐いた。2匹は大きなダメージを受け、倒れた。


「早く行こう」


 4人は階段を上り始めた。階段は透き通っていて、手すりも透き通っていた。


「どこまで続くんだろう」


 階段はどこまでも続いているように見えた。


 5分上って、ようやく一番上に着いた。一番上にはレバーがあった。そのレバーの取っ手はサメの形をしていた。


「あのレバー、何だろう」


 サラはレバーを指さした。


「わからない。引いてみようよ」


 定かではないけど、これを引いたら先に進めるかもしれないとサラは思っていた。


 サラはレバーを引いた。と、その時、4人がいた床が抜け落ちた。


「キャー!」


 レミーは悲鳴を上げた。


「大丈夫?」


 サラは落ちていくマルコスとレミーをつかみ、ゆっくりと下に降りた。


「まさか、こんな仕掛けがあるとは」


 サラは驚いていた。


「危ないところだったわね。ここから落ちたら命がなかったわよ」


 レミーはため息を吐いた。サラの背中から、レミーは下を見ていた。ゴーストのサムはサラの後について降りていった。


「ん?何かが流れている音がしない?」


 サラは物音に気が付いた。大広間の向こうで何かが流れる音がした。


「もだがて、あの行き止まりになってるところに何かがあった?」


 通れるようになっているかもしれないと思っていた。


 4人は大広間の下に降り立った。大広間には崩れた床が粉々になって散乱している。


「危なかったわね。さぁ、あそこに戻ってみましょ。先に進めるようになってるかもしれないわ」


 サラはため息を吐いた。いきなり床が崩れたことに驚いていた。


 4人は大広間を抜け、薄暗い通路を歩いていた。


「サラ、母から自分が特別な存在だってことは聞いていなかった?」


 普通のドラゴンとは桁外れに強いサラの技を見て、サラは母から特別な存在だと聞いたのではと思った。


「私、何も知らないわ。その力、マルコスやサムやレミー以外に見せたことがないし」


 サラは特別な存在だと知りながら、その力を隠していた。その力を狙われて殺されるかもしれないと思っていた。だが、今は違う。その力で王神龍に立ち向かおう。そして、王神龍を封印しよう。


 4人は行き止まりになっていた部屋に戻ってきた。


「あれ見て!水が引いてる!」


 サラは叫んだ。水が引いているのが遠くからでも見える。


「本当だ! あのレバーで水が引いたんだ!」


 マルコスの推理は間違っていなかった。


「行こう!」




 4人は階段を下り、水が引いてできた通路の中に入った。通路の先は大きな部屋だ。部屋からは海の中が見えた。


「見て! 海の中が見える!」


 サラは驚いていた。泳いでる魚が壁越しから見えていた。


「きれいね」


 レミーは美しさにうっとりしていた。


 うっとりしていたその時、敵が襲い掛かってきた。3匹のサメ人間だ。


「敵だ!」

「うっとりしてる場合じゃないわよ、レミー」


 サラはレミーに注意した。


「それっ!」


 サムは魔法で催眠術をかけた。2匹のサメ人間は眠ってしまった。


「食らえ!」


 レミーは起きているサメ人間を鋭い爪でひっかいた。サメ人間は痛がった。


「えいっ!」


 マルコスは起きているサメ人間を電気を帯びた爪でひっかいた。サメ人間は瀕死になった。


「ガオー!」


 サラは雷を吐いた。起きていたサメ人間は倒れた。寝ていた2匹のうち、1匹が起きた。


「悪夢を見せてやる!」


 サムは寝ているサメ人間に悪夢を見せた。寝ているサメ人間は悪夢にうなされ始めた。


「覚悟しなさい!」


 レミーは電気を帯びた爪でひっかいた。起きたサメ人間は大きなダメージを受けた。


「覚悟!」


 起きたサメ人間は槍でマルコスを突いた。マルコスは大きなダメージを受けた。


 寝ているサメ人間は悪夢にうなされて、徐々にダメージを受けている。悪夢にうなされると、起きるまでダメージを受けるという。


「やったな!」


 マルコスは電気を帯びた爪でひっかいた。起きたサメ人間は倒れた。


 その時、悪夢にうなされていたサメ人間が起きた。だが、悪夢にうなされ続けたサメ人間の体力はわずかだ。サメ人間は疲れ果てている。


「とどめだ!」


 サラは雷を吐いた。最後に残ったサメ人間は倒れた。


「今回は効率よく倒せたわね」

「ちょっと工夫を凝らして色んな技をかけてみた」


 サムは自信気だった。ゴースト特有の補助技をかけてうまくダメージを与えたのが功を奏した。


 大きな部屋の先には、暗い下り階段があった。壁は透き通っておらず、海が見えなかった。


「暗いわね」


 後ろから敵が襲い掛かってきそうで恐れていた。


「本当にこの先にオーブがあるのかな?」


 マルコスは首をかしげた。


「わからないけど、行ってみましょ」


 サラは強気だった。


 階段を下りると、細くて暗い通路に出た。通路は静かだった。海のさざ波も聞こえない。


「この先に何があるんだろう」


 細い通路を抜けると、水路らしきところに出た。壁は大広間同様透けている。側壁からは海の中が透けて見えた。水路には大量の肉食魚が泳いでいる。


「ここにも肉食魚がいるわね。落ちないように気をつけましょ」


 サラは水路の肉食魚を見て注意を促していた。


 4人が細い通路を歩いていたその時、敵が襲い掛かってきた。3匹の半魚人だが、色が違っている。入口にいた水色ではなく、緑だ。


「食らえ!」


 レミーは包丁に化けて、半魚人を切り裂いた。狐特有の変化術を使った攻撃だった。


「氷の力を!」


 半魚人は魔法でレミーを氷漬けにした。レミーは氷漬けにされ、身動きが取れなくなった。


「覚悟しなさい!」


 サラは3匹に甘い吐息を吹きかけた。3匹のうち2匹は眠ってしまった。


「悪夢を見せてやる!」


 サムは寝ている2匹に悪夢を見せて、徐々に体力を奪っていった。


 突然、1匹だけ起きている半魚人はマルコスを光を帯びた槍で突いた。マルコスは倒れた。


「不死鳥の力を、我に!」


 サラは不死鳥となり、マルコスを戦闘に復帰させた。


 寝ていた2匹の半魚人が倒れた。悪夢の中で体力を完全に奪われたからだ。


「これでどうだ!」


 レミーは鬼火を起こして、半魚人を包んだ。半魚人は大きなダメージを受け、体に火が付いた。


「とどめだ!」


 サラは雷を吐いた。最後に残った半魚人は倒れた。


「どう?私の化け術」


 レミーは笑みを浮かべた。レミーはこのように様々な物に化けて攻撃することができる。これは狐の妖怪などが使える技で、それにはいくつかの流派がある。


「なかなか面白いわね」


 サラは化けることができるレミーに感心していた。


「行こうぜ」


 マルコスは前向きだった。早く先に進みたかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る