8月8日

 8月8日。今日が最終日。早朝にホテルをチェックアウトして高知駅へ。早朝の阿佐線の列車に乗るためだ。後免で乗り換えて奈半利へ行く予定だ。


 阿佐線は2002年に開業した。開通まで37年もかかったという。土佐電鉄安芸線の代替も含めて室戸を経て甲浦まで行く路線として計画されたが、工事が凍結。その後、土佐くろしお鉄道が引き継いでようやく開業した路線だ。


 この路線が建設中だということは『鉄道廃線跡を歩く』でも見たことがある。土佐電鉄安芸線の廃線跡を紹介している中で、建設中の阿佐線の高架が所々で見えていた。いつか乗ってみたいと思った。6年前に高知に来た時は乗らなかった。


 後免駅で阿佐線に乗り換え。オープンデッキの『やたろう号』か『しんたろう号』に乗りたかったが、普通の列車だった。残念。


 この阿佐線の各駅にはそれぞれのキャラクターがいる。これらはアンパンマンの作者、やなせたかし先生がデザインしたそうだ。確かにそれっぽい。


 列車は終点の奈半利に向かって走り出した。阿佐線のアナウンスは少し変わっていて、駅名だけでなく、『〇〇さんの駅』、『〇〇くんの駅』等という風に駅のキャラクターもアナウンスしている。これは面白い。


 よしかわを過ぎると、海が見えてきた。この路線はここから終点の奈半利までほぼ海沿いを走る。オープンデッキの車両が理由がわかる。


 列車は安芸駅に着いた。土佐電鉄安芸線はここまで走っていたという。三菱の創業者、岩崎弥太郎の出身地だ。大きな街があるためか、車両基地があるためか、ここでしばらく停車した。


 安芸を過ぎると、地上区間が多くなった。ここまでは高架区間ばかりだったのに。どうしてだろう。


 列車は終点の奈半利に着いた。高架線の1面1線の駅で、線路はここでポツリと途絶えている。ここまで建設したところで凍結したからこんなとこなんだろうか。


 私は折り返しの快速に乗って後免町まで行くことにした。ここから土佐電鉄に乗り換えてはりまや橋まで行って、そこから桂浜行きのバスで桂浜に行こうと計画した。


 快速はほんの一部の駅を通過するだけで、そんなに所要時間は変わらないように見えた。


 私は後免町に着いた。この駅は隣の後免駅と紛らわしく、『ありがとう駅』という愛称が付けられている。これは面白い。


 ここで土佐電鉄に乗り換え。そういえば、まだ朝食食べてなかったな。後免町駅と隣接したローソンでおにぎりを買って遅めの朝食。


 土佐電鉄は道路の真ん中だけでなく、横を走ったり、1車線の道路の片方を単線で走ったり、なかなか面白いところを走る。それに、はりまや橋にはダイヤモンドクロスがある。ここもまた魅力的だ。


 電車は後免町駅を出発した。まずは知寄町三丁目の辺りまで道路の左側を走る。ここまでの区間で、ポカリスエットのCMのロケが行われたらしい。その時に使われたポカリスエットのフルラッピング電車、もう見られないけど、生で見たかったな。


 私はデンテツターミナルビル前にやってきた。ここからバスに乗り換えて桂浜に向かう。6年前にも行ったが、今回もう一度行くことにした。今回の目的も、龍馬さんの銅像を見ること。


 私はバスで桂浜にやってきた。ここからは龍馬像は徒歩で向かう。所々に階段がある。キャリーケースを持ったままではさすがにしんどい。


 坂を上ると、龍馬像が見えてきた。太平洋が見える所にあるこの銅像は、高知県に行ったら絶対に行っておきたい所だ。私も高知に行ったのなら絶対に行かねばと思っている。


 帰りのバスまで少し時間があったのでそれまで土産物屋をめぐることに。何か面白いのがないかなと思いぶらぶら。龍馬像で知られる桂浜だけあって、その多くは坂本龍馬関連のものが多い。


 私はバスに乗ってはりまや橋に戻ってきた。ここからは土佐電鉄の乗りつぶしだ。


 土佐電鉄ははりまや橋を中心に十字路のように路線を伸ばしている。『ごめん』『いの』の行先板が有名だ。『ごめん』『いいの』という風に謝って許しているように見えるからだ。これのグッズ欲しいな。


 まず私は桟橋五丁目に向かうことにした。6年前に行った時には1つ手前の桟橋四丁目で降りていた。今回は終点まで行ってみよう。


 私は終点の桟橋五丁目に着いた。堤防のそばにある、1面2線だけの終着駅だ。左側は降車ホームで、電車の長さよりも短い。この最果てっぽい感じがいいな。


 私はその電車に再び乗って高知駅前に向かった。帰りの電車を取ろうと思ったからだ。できる限り長く楽しみたいので、名古屋行きの最後ののぞみと岡山で連絡する南風を取ろうと思った。


 私は高知駅前に着いた。高知駅のみどりの窓口で時刻表を調べる。そして、その南風と今日最後の名古屋行きのぞみの切符を買った。


 すると、その南風はアンパンマン列車だという。話によると、指定席は満席で、アンパンマンシートなら空いているという。私はまたもやアンパンマンシートを取った。アンパンマンシートは、撮る人は多くても、座る人は多くないんだろうか。


 私ははりまや橋に戻って、伊野行きに乗った。ここから終点の伊野まで乗って、これで乗りつぶし完了だ。


 鏡川橋を過ぎると、単線になった。この先の橋を渡ると、1車線の道路を走る区間だ。時々向こうから車が走ってきて、ちょっと驚いた。


 この区間は駅と行き違い設備が別々になっていて、行き違い設備は信号所となっている。ここも面白い。


 電車は朝倉に着いた。ここからは通表閉塞区間だ。運転手がタブレットを受け取り、その先へ向かった。鉄オタの私はこれだけでもわくわくする。


 次の朝倉駅前からは道路の右を走る。ここもまた面白い。名鉄美濃町線の新関から美濃までの区間のようだ。この区間は乗ったことはないが、動画サイトで見たことがある。


 終点の伊野駅はJRの伊野駅と少し離れたところにある。6年前はここから歩いてJRの伊野駅に行ったが、今回はそのまま折り返す。


 乗る予定の南風まではまだ時間があるので、ここからは自由にのんびりと巡る。今日が最後なんだから、悔いのないように楽しもう。


 5時すぎ、私は高知駅に戻ってきた。晩ごはんは高知駅前の庄やで。6年前もそうだった。うーん、もっといい店があったらいいな。


 5時半過ぎ、私は高知駅のホームにやってきた。すると、すでにアンパンマン列車が出発を待っていた。今度は黄色だ。赤も黄色も乗れて本当に満足だ。


 その頃、向こうのホームに時代の夜明けのものがたりがやってきた。昨日たどった道だ。昨日は時代の夜明けのものがたりを降りてホテルに向かった。今日は時代の夜明けのものがたりを見て高知を去る。


 私はアンパンマン列車に乗った。今回取ったアンパンマンシートはばいきんまんだ。アンパンマンの席が一番多いのに。アンパンマンが主役なのに。残念。


 6時36分、アンパンマン列車は高知を出発した。さらば高知。駅で買ったカップ酒を飲みつつ、帰りの車内を楽しむ。


 20時過ぎ、瀬戸大橋を渡る。暗くて瀬戸内海が見えないけど、小豆島へのフェリーで十分楽しんだのでよしとする。


 さらば四国。8日間よく楽しんだ。もう悩むことは何もない! 再就職目指して頑張ろう!

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俺流四国8泊8日傷心の旅 口羽龍 @ryo_kuchiba

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