8月7日

 8月7日。あと2日。私は早朝にホテルを出て、瓦町、高松築港と乗り継いで高松にやってきた。普通電車で一度多度津まで行くことに。


 多度津からはアンパンマン列車に乗って高知に行こうと計画していた。いよいよアンパンマン列車に乗る。しかも新型に。私はわくわくしていた。


 アンパンマン列車をホームで待っていると、四国まんなか千年ものがたりがやってきた。生で見るのは初めてだ。乗るつもりはないけど、写真だけは撮っておこう。


 私は四国まんなか千年ものがたりを撮っていた。車番をよく見ると、『キハ185-1001,1002,1003』となっている。なるほど、『千』年だから車番もこうなっているんだ。


 9時40分過ぎ、ようやく高知行きのアンパンマン列車がやってきた。やってきたのは赤だった。更に、よく調べると、この多度津で2本のアンパンマン列車が並ぶという。千年ものがたりが多度津の側線に停まっているので、並びが見られる。これはすごい。


 9時44分、発車時刻を過ぎでもアンパンマン列車は発車しなかった。どうやら対向のアンパンマン列車が遅れているらしい。


 少し遅れて、対向のアンパンマン列車がやってきた。もう1本のアンパンマン列車は黄色で、少しデザインが違っていた。


 黄色いアンパンマン列車を撮って、私は赤いアンパンマン列車に乗った。今回は半室の指定席を注文した。半室の指定席はアンパンマンシートで、座席のデザインがアンパンマンの主要キャラクターになっていた。アンパンマンの他に、しょくぱんまん、メロンパンナちゃん、ロールパンナちゃん、赤ちゃんまん、ばいきんまんのシートがあった。今回取ったのは、メロンパンナちゃんだった。


 少し遅れて多度津を発車。私はしばらく車内を散策。アンパンマンシートのある1号車の半分は特に派手な内装で、壁には飾りが、天井には装飾が、通路は虹色だ。デッキも派手で、壁にはアンパンマンの登場キャラがたくさん描かれている。更に洗面台も、トイレもアンパンマンの世界が広がっている。そして、トイレには何とアンパンマンの補助便座付き。こだわってるな。


 一通り見終えて、メロンパンナちゃんのシートに戻ってきた。スマホで動画を見ようと、テーブルを倒した。すると、テーブルにはJR四国の路線図があり、アンパンマン列車も描かれている。そして、日除けもアンパンマン仕様。もう乗った瞬間アンパンマンの世界に入り込んだようになれる。


 琴平を過ぎると、人家が少なくなってきた。ここから山間を走る。この先の吉野川を渡る所は大歩危小歩危と並んで高知までの一番の見どころだと思う。走ってきた列車が橋を渡って対岸を走るからだ。


 この先にも魅力がいっぱいだ。スイッチバックの坪尻駅、新改駅、鉄橋の中の土佐北川駅、大歩危小歩危。坪尻と侵害の量スイッチバックは確認できたものの、土佐北川駅と大歩危小歩危は確認できた。この辺りは何度言っても見とれてしまうな。


 アンパンマン列車は土佐山田に着いた。土佐山田はやんせたかしミュージアムへのバスが発着している駅だ。テーブルの地図にも書かれていた。それまで私は、阿佐線の駅からシャトルバスが出ていると思っていた。


 アンパンマン列車は続いて後免に停まった。珍名駅として知られるが、降り立ったことはない。6年前に高知に行った時には土佐電鉄の後免町駅に降り立ったことはあるんだけどな。今回の旅では阿佐線にも乗る予定なので降り立つと思う。


 アンパンマン列車は終点の高知に着いた。向かいには観光列車『志国土佐時代の夜明けのものがたり』が停まっていた。デビューしたての観光列車だ。


 撮り終えて、改札に向かった。中階段にはアンパンマン列車広場になっていて、模型や歴代のアンパンマン列車の写真が飾られていた。さすがはやなせたかし先生の出身地。


 私は高知に降り立って、宿毛方面の次の列車を見た。すると、今さっき撮影していた時代の夜明けのものがたりが次の窪川行きの列車だという。


 私はそれに乗ることにした。全席指定で、取れるかどうか心配だったが、少し残っていた。私は指定券を買っていざホームへ。


 ホームに戻ると、時代の夜明けの物語をしばし撮影した。この車番も凝っている。『キハ185-1867,1868』だ。『1867』は大政奉還のあった年で、坂本龍馬が暗殺された年だ。次の『1868』とは、明治維新の年だ。


 私は車内に入った。車内にはカウンターがあり、軽食を買うことができた。弁当を予約していた人がほとんどだが、乗る計画がなくて予約してなかった私はサンドイッチを注文した。


 12時4分、時代の夜明けのものがたりは高知を出発した。しかし、かなりゆっくりだ。観光列車で、景色を楽しむためだと思う。宿毛まで行くためにも急がなくてはと思いつつ、私は景色に見とれていた。


 列車は仁淀川に差し掛かった。水質調査で1位になったこともある川で、『仁淀ブルー』といわれる川の美しさで知られる。私はそのことを知らず、思わず写真を撮ってしまった。


 乗ってみたらわかるんだが、沿線で手を振る人の多いこと多いこと。私はそのたびに手を振ってしまった。こういうおもてなしもいいな。


 須崎の次は土佐新荘だ。確認することはできなかったが、土佐新荘駅はゆるキャラの『しんじょう君』が描かれているそうな。車内から見たかった。ちなみに、このしんじょう君の名前の由来となった新荘川は土佐新荘駅の近くに河口があるとのこと。


 14時43分、列車は終点の窪川駅に着いた。ここからは土佐くろしお鉄道だ。6年前はここから打井川へ行き、海洋堂ホビー館に行ったが、今回は宿毛へ行く。


 次の中村方面の列車は特急あしずりだ。中村止まりで、中村で宿毛行きの普通と接続している。私は宿毛までの切符とあしずりの自由席を買った。


 しばらく待っていると、あしずりがやってきた。2両編成の短い特急だ。


 あしずりは窪川を出発した。ここからは土佐くろしお鉄道だ。


 次の若井駅を通過した。この先の川奥信号場で予土線と別れる。土佐くろしお鉄道はこの信号場の先で右回りにループして下に出てくる。私は楽しみにしていた。しかし、確認することはできなかった。帰りで確認しよう。


 中村に着くと、向かいのホームに宿毛行きの列車が待機していた。ここから先は土佐くろしお鉄道になってから開業した区間だ。私は宿毛行きの列車に乗った。1両編成のワンマンカーだ。


 列車は宿毛に向かって出発した。中村までの区間もそうだが、トンネルが多い。中村線も宿毛線も開業が比較的新しいからだろう。列車はかなり飛ばしていた。私は一番前にかぶりつき、そのスピードに興奮していた。


 列車はあっという間に終点の宿毛に着いた。向かいには次に発車する列車が待機していた。私は改札を出てその列車に乗った。その列車は中村で高知行きのあしずりに連絡するという。これに乗って高知に帰ろう。


 中村駅に着くと、向かいのホームにあしずりが停まっていた。私はそれに乗りかえ、先頭車の自由席の一番前に座った。もちろんループ線を見るためだ。ここから高知までは時間がかなりある。ゆったり行きつつ、ループ線を見よう。


 荷稲を過ぎて何度もトンネルに入った。この先にループトンネルがあるはずだが、なかなか見えない。荷稲からイライラしていた。


 しばらくして、それらしきものが見えた。上に線路が見えたからだ。おそらく川奥信号場から若井までの線路だろう。


 あしずりはループトンネルに入った。反時計回りに登っていく。トンネルを抜けたら、川奥信号場だ。ループトンネルを走っている間、私はわくわくしていた。


 トンネルを抜けると、川奥信号場に着いた。信号場から今さっき走ってきた線路を見下ろす。これがループ線のだいご味だ。


 今日は疲れた。この後高知市内のホテルにチェックインして明神丸でたたきを食べよう。


 6時過ぎ、私は高知に戻ってきた。ホームに降り立つと、黄色いアンパンマン列車が停まっていた。私は思わず撮りに行った。明日はこれに乗りたいな。


 私はホテルにチェックインすると、ひろめ市場に向かった。明神丸はこの中にある。ひろめ市場にはいろんな店が並んでいた。特に明神丸は人気だが、コロナの影響かそんなに人がいなかった。


 私は明神丸の店にやってきた。動画サイトで見たとおりだ。ガラス越しに藁焼きが見れる。しかし客が少ないためか、焼いていなかった。


 私はたたき定食を注文した。塩とタレが選べるらしいが、ここはおすすめであってまだ食べたことのない塩を選んだ。追加でうつぼのから揚げの小鉢を取る。まだうつぼを食べてなかったので。


 私は塩たたきを食べた。しょっぱいかなと思ったけど、塩もなかなかうまいもんだな。食べていると、藁焼きが始まった。動画で見たとおりだ。思わず興奮して、写真を撮ってしまった。


 その後、ひろめ市場で飲もうと思った。昨日、ケンミンショーでやっていた餃子を食べてみたいと思い、注文した。しかし、売り切れだと聞き、がっかりした。


 しかしこの後、1皿分だけ残っていると聞き、ほっとした。私はビールと共に餃子を食べた。やっぱビールには餃子だな。


 明日は最終日。悔いの残らないように楽しもう!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る