(7)

 ようやく休憩と食事になった。

 だが……その食事は……。

「こ……これ……まさか……?」

「罪人の魂とやらの成れの果てだよなぁ、これ?」

 木村くんと佐藤は嫌そうな顔をしていた。

「でも……これ以外に食べ物は無い訳だし……」

 僕は、そう言って、「罪人の魂の成れの果て」である芋虫に齧り付いた。

「中々、いけるよ、これ」

「じゃあ、俺も喰うか……」

 続いて、木村くんも芋虫を千切って口に入れる。

「お前ら……それが……地球の人間の成れの果てである可能性は考え付かなかったのか?」

 佐藤は、呆れたようにそう言った。

「えっ?」

「あっ……?」

「この世界の魔物は、スマホやWi−Fiの存在を知ってた」

「えっと……それが、どうしたんだ?」

「この『地獄』の魔物は、どうやって『地球』で作られたモノの存在を知ったんだ?……この『地獄』には地球からも罪人の魂が堕ちて来てる可能性が高んじゃないのか?」

「じゃ……じゃあ……まさか……今、喰ったのが、俺達の知り合いの成れの果てって事も有ったりすんのか?」

「他に、いくつもの世界と繋ってるみたいだから、たまたま、地球の人間の魂である確率は……。おい、どうなってる?」

 佐藤は、空を見上げていた。

「どうした?」

 僕達の真上には、見える範囲では、一〇個ぐらいの天体が浮かんでいたが……。

 三分の一ぐらいが……赤や黄土色や暗い灰色になっている。残りの三分の二ぐらいは、地球を思わせる青や緑の色だ。

「この世界では……あそこから堕ちてくる魂が食料や通貨で……色が変ってるのは『死の世界』と化した世界だとしたら……」

「ええっと……何が言いたいんだ?」

「いつから、あの世界は死の世界になったんだ? もし、最近、立て続けに何かの理由で、この国の上空に有る『世界』の内、複数が『死の世界』になったんだとしたら?」

「まさか、この国のヤツが他の世界にまで行って、その世界を滅ぼしたのか?」

「その可能性も有るけど……ひょっとしたら……ここは、この『地獄』の中でも、とんでもない事になってる『国』かも知れないぞ」

「へっ?」

「どう云う事?」

「この『国』は短期間で、国力の何分の一かを失なったのかも知れない……。あの『万里の長城』モドキは……誰が作ったんだ?」

「この『国』じゃないのか?」

「そもそも、この『国』の首都を攻撃したのは誰だ?」

「だから……何が言いたんだ?」

「この『地獄』の魔物が、人間に似た行動をするとは限らない。でも、食えなくなった奴はどうする? あの『万里の長城』モドキは、地球で言うならみたいな状態になった、この『国』の魔物を外に出さない為に……この『国』の外の連中が作ったんじゃないのか?」

「じゃあ、この『国』が、俺達を雇う時に何を支払ったんだ? この『地獄』じゃ、これが食料で通貨じゃないのか? でも、お前の言う通りだと……この『国』では、これが獲れなくなってるんだろ?」

 佐藤の推測を聞いて、木村くんは、食いかけの「芋虫」を持ち上げる。

「ああ……そうだな。でも、何かがおかしい……。絶対に裏が有るぞ、この『仕事』には」

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