10月5日  AM 1:09

AM 7:30 起床、湯冷ましを一杯。入浴後二度寝

AM 8:30 2度目の起床、入浴。身支度を始める。

AM 9:00 出発。

AM 10:00 会社着

AM 18:45 勤務終了

AM 19:30 パチンコ実践

AM 21:30 実践終了。投資3,000円 回収38,000円 収支35.000円。

AM 23;00 夕食を買って帰宅。本日は餃子、味噌汁、サラダ。食事後、構想中のプロットを執筆。

AM 1;09 日記執筆開始。


今日は外部スタッフにデーターを送るべく久しぶりの出社。普段は在宅勤務の俺にとって、出社することが新鮮になっており、昔ほど嫌な気持ちはしなくなっていた。通勤ラッシュは終わっている時間帯だが、どこかでトラブルがあったらしく、ダイヤが乱れていた。おかげで満員電車だ。それすらも新鮮である。車内でメッチャきれいな女の人がいて、気持ち悪い話だが、少し見惚れてしまった。


勤め先は港区。中野にはいないような知的な方々が、八王子とか川崎とか大井町や鎌田ってやべぇところからやってくる虚飾の街。とはいっても、ZARAとかを着こなしたOLさんとか最近主流のバックパックを背負ったサラリーマンが闊歩している。そんな人々に紛れて中野代表の俺が、眠たそうなアホ面をぶら下げて歩いている。


約2か月ぶりのオフィスは閑散としていた。約20人ほどだろうか。フロア内には約130人ほどが詰め込んでいたが、どの部署でも2割くらいしかいなかった。さらに執務室内では会話が禁じられており、キーボードを叩く音とプリンターが作動する音しかしなかった。まぁ人がいる音がするから、在宅でやっているよりも寂しさは感じない。俺の部署では上司と先輩がいた。


「おはようございます」

「ういーす」


ここから定時を迎えるまで会話なし。これは入社した時から何も変わらない。上司も先輩も無駄口をたたくタイプではない。元課長がいたらキャッキャウフフと冗談を飛ばしながら仕事ができるが、残念ながら出社してなかった。仕事中の無駄話が嫌いな上司が調整している可能性もあるが、まぁいいや。それならそれで受け入れるしかない。


途中で仲が良い他部署の社員と昼ご飯に行く。ソバをすすりながら情報交換。どうやら彼はちょくちょく出者しているらしいが、会話もなく無味乾燥な毎日が過ぎているらしく、在宅勤務の方が良いと言っていた。だから、俺は「在宅勤務は温度も湿度も感じないよ」、したり顔で言ってみた。ミュージシャンでもある彼は何か感じ入るものがあったらしく、俺の言葉を噛みしめていた。


俺は、その場の空気で言っただけだからどうすれば良いかわからなかった。だから、少しの間をおいて、意味ありげに「おう」とほほ笑んでやった。自分でもよくわからないことを言って、相手が勝手に良い方に解釈をしてくれたらそれ以上の説明も言葉も不要だ。根ほり葉ほり聞かれる前に、さっさといい感じで話題を流すに限る。


定時を迎え、上司に「帰ります」と告げたらコミュニケーションが始まる。煙草に誘われ、喫煙所で仕事の進捗や日々の困っていることを聞いてきてくれる。もちろん俺の業務は終了している。上司が大好きなのでうれしいから良いけど。会社から交通手当について「定期を半年じゃなく一か月で購入すること」「在宅勤務者は出社時に清算する」というお触れが出たらしい。俺の場合は会社から指示があった場合や資料を取りに来る場合を除いて在宅勤務だ。だから「一か月分の定期を買って、出社した日は交通費精算を申請すれば良いんですか?」と尋ねたら、「そのまま受け止めたらそういうことになるよね」と首是された。ただで定期をくれるだけじゃなく、来たら金をもらえるなんて意味が分からない。まぁ、とりあえず定期を買っておくことにするか。


会社帰りに久しぶりのパチンコ屋を覗くと、見たことがないほど客であふれかえっていた。確かに新台入れ替えの日ではあるが、人気シリーズが導入されたわけでもない。顔見知りの店員がいたから状況を尋ねてみた。どうやらコロナ禍が起きて、大学生や新社会人といった若者が増えたらしい。人との接触を禁じられ、通学をすることも減り、バイトも休業とかになってしまい、一人でも遊べるものを探していたらパチンコにたどり着いたのであろうか。遊戯人口が増えてくれるのは嬉しいが複雑だ。ざっと台を見たら羽根物がよさげだったから触ってみたら3,000円が10,000円以上の玉になった。それを持って「P戦記絶唱シンフォギア2」を弾いてみたら、これが思いの外回ってくれる。1,500円いかないくらいの玉を打ち込んでみたら、手紙保留(剣)から疑似2で発展。ロングリーチ外れから精鋭ボーナスチャンス。チャンスアップなんて疑似2での「この拳も命もシンフォギアだ!」くらいだったのに、なぜか11話Verを持ってきて謎当たり。実にシンフォギアっぽいなぁと思いながら、ぽけーっと最終決戦に挑んだら、1回転目でベイブレード回転。3テンパイで無職クリスがキャロルを撃破というミラクルを起こす。1回転目でベイブレードが回った段階で確定だったのか、3テンパイが強かったのかわからないが、これが9連してくれて、8回10Rという怒涛のヒキを見せる。結果、投資3,000円で回収38,000円という予想外の大勝ちをする。


実践中に若者たちの話が耳に入った。どうやら中景品が値上がりするという噂が出ているらしい。そういえば6月に、金価格の上昇で大景品の買い取り価格が変わったばかりである。最近は金相場も高止まりをしていると聞いたが、どうなんだろうか。


仕事終わりに中野で最初にすることは一服だ。南口と北口の間にある喫煙所で、缶コーヒーと一緒にメンソールの煙草を嗜むのは、俺にとってはかけがえのない至高の時間である。自販機で温かいボスプレミアムを買い、喫煙所でパッケージを開くとラス1だった。そいつを楽しんだ後、マイホールのパチ屋にタバコを交換しに向かう。


マイホも新台入れ替えだったが、どの台も厳しすぎる調整。ナップザック斜め掛け男が青い顔をしながら、ライトミドルの北斗無双を打っていた。お前10:30分で現金投資って……いや、何も言うまい。強いて言うならお金は大事にした方が良いと思うぞ。仲が良い店員(主任)が暇そうにしていたので、さっき若者が話していた噂話を尋ねた。まったく知らないらしく、値上げするときもいきなりらしい。前回の値上げのときも前日の営業終了間際に通達があったとのことだ。彼もプライベートで他店で打っているらしく、換金ギャップで貯玉が損したそうだ。「明日、漆黒よろしく」と言って帰路につく。途中、TSUTAYAを覗くとCDレンタルコーナーの棚がガラガラになっていた。DVDとブルーレイのレンタルを強化するらしく、CDレンタルを大幅に縮小するらしい。そっか、もう販売やレンタルじゃあ音楽は売れないんだな。SpotifyとかiTunesとかあるし、サブスク聞き放題とか出てきたもんな。俺はリリックブックやジャケットが大好きだから、それがきっかけで新しい音楽を知ってきたけど、それも古い世の中になるんだな。ジャケ買いをして大失敗したこともあったが、それ以上に大好きになれる音楽に出会った喜びもあったけど、これからはレビューを元に無料視聴して、より効率的で失敗がない音楽体験が主流になっていくんだろうな。amazarasiの「千年幸福論」と「あんたへ」が、レンタル落ちで1本200円で販売していたから買った。


今日も帰り道、家の近くで変な人を見かけた。片手に蝋台を持ち、線香を炊いたタンクトップ一枚のおじいさんがふらふらと歩いていた。薄暗い路地でいきなり現れ、俺を一瞥して商店街の方へと歩いて行った。俺は久しぶりに「やるじゃん」と思った。


中野って街は特殊な街だ。不良少年とかが粋がっているなんてレベルじゃなく、よくわからない治安の悪さがある。夜の駅前にはストリートミュージシャンやパフォーマー、痴話喧嘩しているゲイや、ずっと漫談をしている浮浪者、多種多様な変質者など、アブノーマルな人たちが多く生息している街で、都内でも有数の変な奴らの保護区だと勝手に思っている。そんな奴らが多すぎるから、中野区民は変な奴らに慣れきっている。都知事選の演説で山本太郎が涙ながらに日本の未来を語っても、立花孝志が演説に来ても誰も彼もスルーする。もちろん俺もその一人だ。しかし、中野民の目を引くレベルの異人もやはりいる。今日会ったジジイは久しぶりにトップレベルの変質者だ。そろそろ「中野区内に変質者が出た」という地域ニュースが出るんじゃないかな。


「でもさ、そんなジジイがいてもいいんじゃないかな。彼には彼の物語があって、それが突き動かした行動なんだろうし、もしかしたら何かの表現なのかもしれない。それを異質だと断じて、排することはある意味新しい文化や芸術の萌芽を摘んでしまうことになるんじゃないだろうか? あのジジイを見て、俺は久しぶりに衝撃を受けた。尊敬に値すると思うんだけどどう思う?」。


そんなLINEを友人に送ったら「お前も含めて通報した方が良い?」と返ってきた。なるほど、これが中野区民以外の意見か。どうやら奴はやっぱり変な奴とみなされるのか。



「無駄や失敗といった人生の余白が許されない時代がより近づいたんだ」「無謀な挑戦は許されない世の中になるんだろうな」「寛容は成功者にのみ与えられるものだ」、友人の返信を見てそんな反発心が芽生えた。そうしたら何となく書きたいストーリーの後ろ姿が見えた気がしたから、さっきあらすじと柱を書いた。これが膨らむと良いんだけど。


amazarasiの千年幸福論が流れている。その中の一節の「千年続く愛情を 千年続く友情を 千年続く安心を 千年続く幸福を僕らは望んで止まないけれど そんなもの何処にありましょうか」が、やけに今日に合っている気がする。


さぁそろそろ今日の日記も終了だ。短くするって言ってたのに、昨日より長くなっているのは一体どういうことだ? まぁ…いいか!


今日は少しだけ新しい物語に出会えた気がした。良い日だった。さて、そろそろ大友屋と水母に向き合わなきゃな。おやすみなさい。

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