第二十四話 やっぱりいつも通りのパーティー。
「レ、レレレレインあんた.............お、おお、王族の.........」
「今まで秘密にしててさ、、、、ごめん」
「ごめんで済むと、思わないでよ............うわぁあ!」
「............ごめん、あたし今ショック死しそう」
「レイン、お前なぁ.......見つかったらどうするつもりだよ」
龍の血晶、悲劇のワンシーンである。
「で、ステラはなんでそんな平然としてるのよ」
あー。
「私、知ってたので.....。」
「「「えっ゛」」」
「ステラ、情報ルートは教えちゃだめ」
あ、ティナさんの正体もバレちゃうからね。
「わかりましたー」
「「「えええっ゛」」」
「ま、バレることはないよ
「「「なんで?」」」
それは私も気になる。
「だって、あれ使う前に周りに遮音結界張ったからね。あと、土持ってきたから埋めて、そこに植物植えとけばなんとか誤魔化せる」
「え、ちょっと待って下さいじゃあそれってレインさんあの魔法使うこと想定してたんですか?最初から」
「うん」
「「「「うぉぉおい!」」」」
だからあんなに緩そうな顔で...........ハァ。
「じゃ、帰るよー。皆僕が王族であることは口外禁止だからねー」
「はーい」
よし、帰るか。
「て、ちょっと待てい!王族って詳しく教えてくれないと」
「あー、そうだった」
「忘れてんじゃないさね!」
さね?
「さね?」
「あっ......ちょっとこれはうちの方言でね........実はうち、少しヤマトの南の方の血が流れてるらしいんだ」
「ヤマト!?お母様の故郷じゃないですか!珍しいですね!」
ヤマトは遠いので、行き来が困難である。なので、ヤマト人はとても珍しい。
「それで、普段は家族内でしかヤマト語話さないんやけど、たまにそっち訛りのイングラシア語が出ちゃうんさ.....」
「ヤマト語話せるんですか!?」
現在分かっている所では、この世界には大陸が四つ在るらしい。一つはここ、華大陸。世界一華やかとされている―――いやまあ、この名前はここ視点のものだから当たり前だが。
もう一つが、ヤマトのある東大陸。身も蓋もないネーミングである。三つ目は南大陸。これもまた単純な名前だ。
最後が、魔大陸。魔族たちが住んでいるとされる大陸だ。
魔大陸の人口のほとんどは魔族である。
普通、種族は集まるにしても国単位だ。大陸全部がほぼ同じ種族ということは無い。
だが、魔大陸は例外。人数がとっても多いというのもあるが、何より優れた才能持ちなので魔族だけでも大陸を制覇できるのが理由だろう。故に、魔大陸はその全土が魔族の領土である。
それからこの世界の言語は、各大陸ごとに標準語が指定されている。勿論、国ごとの『言語』や訛りはあるのだが、大陸で標準語を決めておけば不都合はないだろうということである。
華大陸の指定言語は、アスタロニア語。
東大陸の指定言語は、ユーシェン語。
南大陸の指定言語は、クワジャメ語。
そして魔大陸の指定言語は――――――無い。魔族は人類の敵とされていて、こっちとは完全に隔離されているからだ。だが情報として、魔大陸で使われている言語は華大陸のアスタロニア語と似ているということだけ言っておこう。
それはともかく。
指定言語があると言っても、やっぱりその国の言葉を使い続ける人は多い。ヤマト語はヤマトの、イングラシア語はエッシェンヒュルト王国とその周辺の、そういう言葉に当たるわけだ。
さっき言ったように、ヤマト人は珍しい。
そこからさらに、華大陸まで来てなヤマト語を捨てていない人というのは珍しい。とても珍しい。
例えば、お母様は子供時代にヤマト語を忘れてしまっている。本人はすごい悲しんでたけど....。
「っていうか、珍しいのはあんたさね....」
「え?何でです?」
私の何が珍しいのか.....。
「え?だってあんた今、ヤマト語話してるさよ?ヤマト語話す人が珍しいって言ったのはあんたじゃないかさ。ま、他の理由としては使役魔術が使えること、かね」
え?
「私、ヤマト語話せませんよ?」
「は?ヤマト語話してる子が何言ってんさね」
「え、だって、母も話してないですし、兄も、姉も、私だってヤマト語聞いたことすらないですよ?」
「...........じゃあなんでヤマト語で話してるあたしの言うことが分かるんかぃね」
「.....................なんででしょうね」
「...................................あたしに聞くんじゃないさね」
「...............................................すっっっっっごい気になります」
「.........................................................................あたしもさね」
なんでだろう.....................なんでだろう.................気になる....................。
「本当に、聞いたことないのかい?」
「無いですね.......もしかすると、赤子の時にちらっと聞いたかもしれませんが......私のお祖父様やお祖母様、お母様方の親戚は既に亡くなっておりますので」
「そっかぁ........じゃあ今度、僕のところで身体検査しない?」
「ばっ!レインさん破廉恥です!」
「そっ、そういうことじゃないってば!魔眼とか特殊な血とか無いかなって調べるだけだよー!なんでヤマト語が分かるのか調べるためにー!」
「はわわわわわわわ」
「あばばばばばば」
「「初ヶしいカップルみたい........」」
「ですね.......」
「「ち、違うっ、違います―っ!」」
マイまで...........んぬぅわぁぁあ!
「こ、こほん。兎も角、身体検査するから来てね。心配ならイレネも一緒に来てもらうから........」
「わ、分かりました........でもイレネさんのお時間取るのは申し訳ないのでいいです........レインさんを信じますし」
「むしろ疑われたらショックなんだけど.......」
「ですね........」
「じゃ、帰ろうか」
「「「「おーう!」」」
◇◇◇
「そんな事が........ギルドの不手際です、謝罪をさせていただきます。あと、当然ですがB級モンスター討伐に対する追加報酬を付けておきます。ご確認ください」
「.......だからそんなこともあると思い、念の為に龍の血晶が行った。誰も怪我してないからそれで良しだとミーヤは思う。気にしないで欲しい」
「「「「「わぁ、あのお兄ちゃんかっこいい........」」」」」
「だよねー........って、お兄ちゃん!?ミーヤは女の子だよ!?」
「.......ミーヤは男だけど?」
「え?」
「.......今頃気付いた?」
「...........................嘘でしょー!」
「ほんとだもん。ミーヤ可愛くないし........女の子っぽくないし........ちゃんと男だし...........」
……気にしてたんだ。
ごめん、ミーヤ。
ちなみに後日、「そういえば事情を話してもらってないさね!さあ、レイン!洗い浚い吐くさね!」と、マフカさんがレインさんに詰め寄っていた。
いつも通りの雰囲気であった。
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