第17話  誕生日

「母さん少し出かけてくる。少し遅くなるかも。」


今日は、俺の誕生日だがとても凜に会う増して祝われる気分ではなかった。



「あらそう。でも凜ちゃんが18時に来てくれるみたいだからそれまでには帰ってきなさいよ?」


やっぱり来るのか。なおさら今日は家にいれないな。。



「まーいってくるよ」


「気を付けてね」


……


17時55分


「ごめんください!」


「時間ぴったりね凜ちゃん!彰人のためにいつもありがとうね」


「彼女ですから当然のことです!それで、彰人は部屋に?」


「それが朝に出かけてから帰ってこないのよ。ほんとうにごめんね~」


「待たせてもらっても大丈夫ですか?」


「ええ勿論!まったくこんなに可愛い凜ちゃんを待たせてどこほっつき歩いてるんだか」




……


深夜0時


もう誕生日は過ぎたし、さすがに凜も帰っただろうから俺は家の戸を開けた。


「ただいま。」


母さん絶対に怒ってるよな。連絡しなかったし。後で謝らなきゃ


「あんたどこいってたのよ!ついさっきまで凜ちゃん待ってたのよ!」

「待ってるって言うけど、さすがに遅いから帰らせたけど、凜ちゃん泣いてたのよ!あとでちゃんと…」

.

「…」


「彰人どうしたのその顔 大丈夫なの?」


「あぁ」


「そう…」


「その…凜ちゃんがプレゼントと書置きを置いていってくれてたわよ」


「あぁ」


取りあえず今は眠い。心配する母さんをよそに俺は自室へと向かった。


「これか…」


勉強机の上に、プレゼントと綺麗に包装されたお菓子、それから書置きがあった。あの日までの俺なら泣いて喜ぶだろう。でも今は…


「電気つけるか」


「熱っ」


母さんの言う通り、本当についさっきまでずっと待っていたのだろう。ふいに触れたデスクライトの電球がまだ少し熱かった。


「プレゼントは手編みのマフラーか。確かにこれからは独り身には寒い季節だからな。さすが気が利いてるわ。ははっ」


部屋に乾いた笑いが響いた。


「手紙か…」



『 彰人へ 18歳のお誕生日おめでとう!彰人とは出会ってからずっとお互いの誕生日は一緒だったのに、これが初めて会えなかった日だね。プレゼントを直接渡せなくてごめんなさい。お互い社会人になるとそういうこともあるだろうし、我慢しなきゃだね。

 男の子は手作りが好きと聞いたので、マフラーを編んで、クッキーを焼きました。マフラーはいっぱい失敗したけど、使ってほしいなぁ。いつかは上手なの渡すから気長に待っててね。

 クッキーはおばさんと一緒に食べてね!自信作です。明日大事なお話があるから私の家にきてほしいです。 いい18歳にしてね! 藤原凜より 』



なんで…なんで浮気なんか

気持ちの整理をつけたつもりが、未練たらたらだった。


「大事な話か… 俺から切り出さなきゃだよな」





その日は眠れなかった。

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