第16話 決定打

「美味かったな あのラーメン」

凜にドタキャンされたので、予備校の友達とラーメンを食べた。ちなみに油そばだ。


「そうだね。 また行こうよ。」


「次は、家系せめようぜ!」


「あ、少しデパート見てもいい?少しみたいものがあって」



……


「お前買いすぎだろ!」


「いやーついつい」

何に使うんだ。マフラーを3つも


「じゃあ帰るか 一応受験生だし勉強しなきゃだろ。」



「そだね。お…! 見なよ彰人あのカップル」


「ん?」


「あれだよ!あそこで仲良さそうに服を見繕っているカップル」


「ああいうのを美男美女っていうんだろうね」


何か気になったので友達の視線の先を見る


男性のほうは、高身長でスラっとしていてモデルのようなスタイルをしていた。ピアスを開け、髪を茶色に染めているのでおそらく年上だろう。イケメンっていうやつだった。


女性のほうは…






「え。」

え、え?


「どうした彰人一目惚れか?やめとけよー!」


「   」


「あんなカッコイイ彼氏いるし。第一お前彼女いるだろ!」


「   」


「写真見せてもらったことないけど…」


「いい加減見せてくれよ なぁ頼むよ。」


「いや… あの子俺の彼女なんだけど」


「は?え?嘘だろ?あんな可愛い子が?」


「あぁ」

間違いなかった。見間違いであってほしかった。


「いやでもほら兄弟とかかも」

幼稚園から知っているが、凜は、兄も弟もいない一人っ子だ。


「…」


「あ!じゃあ友達かも! 何か用があったとか」


「実は今日凜と遊ぶ約束してたけどさ、断られてさ。まさか他の男とデートしているとは思わなかったよな。」

こう話しているときも男が凜の頭を撫でていて、凜は照れて幸せそうだった。 


「彰人…」


「今思えば俺あんまり凜に好かれてなかったかも。今もあの男に向けてる笑顔とかさ…最近はあんまり見れてないし。」


『この前なんて手を繋ごうとしたら振りほどかれてさ。「あ、ごめん つい」って。』

ついってなんだよ。


「それは…」


「多分俺の告白がOKされたのも俺の親とかに気遣ってくれたからなんだろうな。凜は本当に優しいから。。本当に…」


「ごめんな愚痴みたいになって」


「気にすんな。いくらでも話してくれ!それで少しでも晴れるなら。」


「そういってくれると助かる。ありがとうな。」



……


悩んだ。何が正解か。どうするべきか。本当に悩んだ。


……




「別‥れようと思う。」



「!…本気か?」



「あぁ。」

気のせいか彼の言葉に「正気か?」という含意があるかのように思えた。



「けどお前あんなに彼女のこと好きだったじゃん!それこそウザいくらいに休憩時間になったら惚気るくらいにさ!」



「お前ら10年以上一緒だったんだろ?それをあんな野郎に…!」



「いいんだ。なんていうかすっごいお似合いじゃん?」



「もともと俺と彼女じゃ釣り合っていないって散々言われてきたしな。」



「そんなこと…」



「それにさ、凜の笑顔をみると嫌でもわかる。凜の隣にいていいのは、俺じゃないって」


「本当に別れるんだな?」



「あぁ。気持ちの整理をつけてから。なるべく早く切り出そうと思う。」



「あとさ今日だけ家泊っても大丈夫?家の隣はその…あれだし。」

今日は帰りたくなかった。



「おう!何日でも泊っていけ!」

本当にいい友人を持ったと思う。






「キツイな。。恋人、家族、親友を一気に失った気分だわ。。」

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