第14話 最近彼女の様子がおかしい

11月中旬


「はぁ~」


意図せずため息が出てしまう。今日何度目だろうか?悩みの原因はわかる。凜だ。

 1ヶ月前から凜がどこか素っ気ない。

だが、俺には解決策も思い当たる理由もないため一人堂々巡りしているというわけだ。


「一人で悩んでいても仕方ない。誰かに頼るか。」


そう思った矢先に橘さんが話しかけてきた。


「彰人君大丈夫?何か心配事?」


よくわかるな


「実は、そうなんだ。凜のことで…少し聞いてもらっていい?」


「私でよければ」


「で、凛がどうかしたの?」


凜の親友の橘さんなら何か知っているかもしれない。そう期待して彼女に最近の凜について相談をはじめた。


「最近、凜が冷たいというか、素っ気ないというか、その俺…嫌われてるんじゃないかって」


「なんでそう思うの?」


「2カ月前から週3回のデートが週1回になったり、メッセージのやり取りが急に減っていって…」


「たまたま忙しいだけかもしれないじゃない。何かこう具体的な嫌われてると感じたエピソードとかはないの?」


確かにデートの回数が減ったくらいじゃ俺もここまで悩まなかっただろう。だが、俺は凜に嫌われているという確証がある。なぜなら…


『その、デートの時に…


「なぁ 手繋いでいいか?」

「嫌」

「そっか、、、ごめん」


その時は人が多かったから恥ずかしかったのかと思って、人気のない帰り道で手を繋ごうとしたら、手を叩かれて結局繋がせてもらえなかった…』


「それは彰人君が悪いんじゃないかな?

女の子には色々あるのよ。雰囲気とか、手汗が恥ずかしいとかね。」


「それもそうか。でもこれは?」



『これは先週凜との下校に凜の友達がついてきた時なんだが…


「凜見た?!今の人超カッコよくなかった?」

「うぅん見てなかった。そんなにかっこよかったの?」

「うん!それはもうものすごく!」

「ふーん」


何故か俺を一瞥して含み笑いを浮かべる凜に少しモヤっとして…つい軽い冗談のつもりで言ったんだ。


「その超絶イケメンに告られても俺のこと捨てないでくれよ~」って


そしたら…


「彰人より良い人だったら別れて乗り換えちゃおっかなぁ~」


凜が何かを期待しているのはわかった。

だから…


「だ、だよなぁ 俺も凜に愛想尽かされないように頑張らないと。」


俺は自分の気持ちを偽って場の空気を優先した。』


「凜も本心では言ってないと思うよ? ほ、他には?」


徐々にアタフタしてきている橘さん


「凜の友達を紹介してくれなかったり、あとは…あんまり笑わなくなったかな」


「もう十分!! 逆にデレのエピソードはないの?」

「…」



『そういえば一回だけ


「いや〜 彼女の手作り弁当を食べたあとに、彼女の膝枕で日光浴する日がやってくるとは…人生何が起こるか分からないもんだな〜」


「フフッ ばーか」



「寝心地はどう?」


凜が俺の頭を撫でながら訊いてくる。冷たくて気持ちい。そんなの答えは決まってる。


「もう最高!今なら死んでもいいくらいに」


「!…もうおしまい!」


「え?なんで?」

まだ昼休みは10分以上あるし、膝枕を始めて3分も経ってない。もう少し味わいたいと思うのは当然だった。


「だって… 彰人死んだら嫌だもん…」


「バカはどっちだ!俺は生きるよ」


頭はいいのに、少し天然で【自分の信用する人の言葉は疑いなく信じる】可愛い俺の彼女だ。』


「デレデレじゃない。何?惚気?自慢なの?」

「いや、違うって!これ1カ月前の話だし、最近は更に冷たいぞ」

「そ、そう」

「だからちょっと凜に聞いてくれないか?悩み事とか不平不満とか」


同性のほうが凛も話しやすいだろう


「わかったわ。それとなく聞いてみるね」

「ありがとう。恩に着る」

「いいのよ。その代わり結婚式のスピーチやらせてよね?」

「あぁ もちろんだ」



これで凜と、また仲良くなれればいいな。


頼むぞ橘さん‼︎



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