第13話 布石(凜視点)

前話から半年後の9月14日の夜 藤原家



「何かいいことでもあった?」

彰人とのデートから帰り、リビングで余韻に浸っているとお母さんが唐突に質問をしてきた。



「わかっちゃう?」



「ええ。それに嬉しい事って彰人君のことでしょ」


「うん//」


彰人と付き合いだしてからの半年記念日なので自然と顔がにやけていたかもしれない。このまま年月を積み重ねていって…いずれは彰人と結婚できたらどんなに幸せか。




「あ、そうだ お母さんに訊きたいことがあるんだけど」



「凜が珍しいね。いいよ」



「お父さんとずっと仲いい秘訣教えて!」


今は彰人とラブラブだが、彰人とは結婚は勿論、その後もずっと仲良くいたい。私の両親は出会ってから20年以上経つ今でもラブラブ。参考にしないてはない。



「うーん いきなりね」






「いい凜 男の人は【基本的に】女の人を追いかけていたいの 女性との駆け引きやドキドキが楽しくて、付き合った途端に冷めて別れを切り出す男性も多いわ」



「確かに付き合う前が一番楽しいってお父さんも大樹くんも言ってた」



「そうね 凜もさ、ポケ〇ンで殿堂入りする前と後どっちが楽しかった?」



「前」



「殿堂入りした後は前ほどのワクワクやドキドキはないでしょ?」

うん 確かに、追う側でいたいっていう男の人の気持ちも理解できる。



「だからね。付き合った後もある程度の駆け引きや嫉妬はスパイスとして必要よ。」



「こんな言い方は、語弊があるかもだけど 今の凜みたいに常に彰人君に好意全開のデレデレだとダメ。彰人君の気を引くためにもツンデレデレくらいが丁度いいわ」


「うん。」


「押してダメなら引いてみる 勿論【やりすぎ】は悪手だけど」



「わかった! ありがとう!お母さん」


「えぇ早く孫の顔見せてよね」


「もう!気が早いよ!お母さん!」






彰人に少し冷たくしなきゃ… でもお母さんが言ってるから間違いないよね?

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