第4話 幼馴染を看病2

タクシーに揺られること10分ようやく俺の家に到着した。凜の家で看病したほうがいいと思ったが、台所などの使い勝手を考えると俺の家のほうがいいだろう。




「凛もう歩けるか?」





小さく首を横に振る凜。


相当しんどいのだろう。凜を負ぶってやっとのことで家に入り、凜をソファーに座らせる。





「俺のベッドはあれだし、布団しくからちょっと待っててくれ」



さすがの俺でも年頃の女の子が、汗臭いベッドで寝るのが嫌な事くらいわかる。俺も豪太のベッドとか触れたくないしな。



「彰人のベッドがいい 早く横になりたいし」


「え?」


「彰人のベッドで寝るの!」


「凜がいいならいいけど」



空耳かと思い聞き返したが、空耳ではないらしい。勿論、女の子が俺のベッドで寝るのは初めてなので、内心緊張したが、凜にからかわれるのは嫌なので平気なふりをする。



階段を登れないという凜を本日3度目のおんぶで寝室へと運ぶ。



「一応、聞くけど、なにが食べたい?」


「シチュー!」


「…」


「じゃあ野菜スープで」


「…」


「おかゆ」


「最初からそう言え 知ってるくせに」




俺に、おかゆしかレパートリーがないことを知っててからかってくる凜。この様子なら大丈夫そうだ。





「じゃあ、おかゆ作ってくるから。 寝てもいいけどちゃんと起きてな」


「うん。ありがとう」




米、塩、水で1時間かけておかゆを作り終える。余談だが、おかゆしか作れない分、味には凄く自信がある。




「おかゆできたぞ!ってやっぱり寝てるし」


「おーい おかゆ」



どうしても起きない凜。仕方ないので肩をたたこうと凜に顔を近づける。




「凛」



普段からわかりきっていることだが、間近で見ることで凜がどれだけ美人かが伝わってくる。顔は小さく、長い睫毛に、シミ1つない色白の肌で本当に美人だ。本当に俺と同じ人間なのかと疑ってしまうほどに。  



思わず見惚れていると、凜が起きそうだったので咄嗟に顔を逸らす。大丈夫バレていないはずだ。



「起こして悪いな。 これおかゆ!」


「大丈夫。 ありがとう」




何故か気恥ずかしかったので適当な理由をつけて下の階に逃げようとする俺を凜が呼び止める。






「彰人 熱くて食べられない。」


「あーんは無理だぞ 頑張ってくれ」


「この前してもらったよね?」





無言の圧を放つ凜さん。正直その話を出されたら仕方ない。





「わ、わかった ただしフーフーは凜がやれよ」


「嫌! 私がフーフーしたら、ばい菌がおかゆについてまた体内に取り込むことになるもん 彰人がやって!」





謎理論を持ち出されるが、凜のほうが成績が良いので何も言えない。観念しておかゆを冷ましてから凜の口元へと運ぶ。




「どうだ?」


「おいしい。 けど…」


「けど?」


「恥ずかしい…」




その後、両者が沈黙したのは言うまでもない。



「ごちそうさま!」


「お粗末様でした。」


「私、風邪になって少しよかったかも」


「バカな事言ってないで、早く寝て早く治せ」


「はーい」





今日はやけに暑い。夏だからか?




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