第10話 護国の剣、今度こそ初夜を迎える
とんでもなく興奮したシルバを一度落ち着かせた、物理で。
せっかくの初夜なのにこんなのヤだって、泣き落したのは墓場まで持ってゆこう。
ひとまず個々に身体を清めることにした。
俺は自室の簡易シャワーで全身くまなく汚れを落とした。
いつも以上に丁寧に。
舐めて、触られる、見られる。
そう考えて身体を洗う。
必要以上に熱くなってきて、眩暈がした。
温水を冷水にかえ、俺は頭からシャワーを浴びた。
冷たかったが少しは落ち着けた。
今から、するのか。
そうか、するのか。
妄想なら何度もした。
妄想で何度も抜いた。
そうか、するのか。
まじで、しちゃうのか。
シャワーを止める。
勃ったままのちんこが無性に恥ずかしい。
いや大人しくなってほしいわけじゃないんだが、めちゃくちゃ勃ってるのが恥ずかしい。
やる気満々すぎる。
この状態をシルバに晒すのか。
…想像しただけで血が沸騰しそうになってくる。
ただ風呂場にいつまでも籠城してる訳にもいかない。
シルバに無理やり連れ出されるとか、そーゆー情けない事態は、なんか避けたい。
「っよしっ…」
バスタオルを腰に巻き、俺はシルバの寝室へ足を向けた。
寝間着に着替えても、その、あの、どうせ、あの、ぬ、ぐのだ。
首から腰まで熱くなる。
発熱で参らないか心配になってきたぞ俺。
素足に優しい絨毯を踏みしめて、ベッドを覗き込む。
そこには、裸のシルバがお待ち遊ばせていた。
なにも着ていないのに。
いや、なにも着ていないからこそ、シルバの美しさと強さが際立っている。
そりゃあもう、艶然と煌めいてて銀色で、凄い。
星が降臨したような、感じ、だ。
触っていいのか。
近寄っていいのか。
全裸になったら近寄りにくくなるとか、シルバの凄さ天井知らず。
「ラック」
呼ばれ慣れているはずなのに、ドキっとした。
いつもは即反応したいのに出来ない。
シルバがすっと立ち上がり、俺の手を取りベッドへ導く。
目の、置き場が、なくて困る。
シルバが先にベッドへ座り、その横にでもと思ったら、違うよと誘導される膝の上。
ほげえ、と妙な呻きを漏らしてしまった。
艶めく玉体が眼前に。
戦場で鍛えた身体はどとどと…ほどほどムキムキ。
肌がすべすべで輝いているのですが、これは俺の眼が可笑しくなっているのかしら?
いやすべすべだ。
なんてすべすべなのか。
ほぅっと息を吐くと、銀色の双眸が俺をうっとり見つめていた。
「あ、ごめ」
慌てて手を引っ込めると、シルバはもっとどうぞ、と俺の手を取りつべつべなお胸へ誘導してくれた。
ついついほどよく盛り上がっているお胸を揉んでしまう。
「先ほどは、急に押し倒してすまなかった」
シルバが反省を述べながら俺の頭を撫でる。
そのまま俺と同じように、ゆっくり身体を撫でていく。
でも、さっきみたいない感じじゃない。
優しく愛でる感じで、くすぐったいし恥ずかしいけど、心地いい。
汗がにじむくらい、俺達はお互いの身体を撫でまわした。
すっげぇ、どきどきしてきた。
最初恥ずかしかったのが嘘みたいに、色んなとこ、触る触られる。
はぁ、って変に息が何度も乱れる。
可笑しいかもって思ったら、シルバがふぅふぅしててお相子で嬉しかった。
触ってないとこないくらい、指の腹、手の平で俺はシルバを、シルバは俺を堪能愛でる。
「…まこと、性急すぐる男は童貞丸出し乙、であった…」
本当にどこで覚えて来たのか、妙なことをしみじみ言われる。
それでも、まぁ確かに、性急すぎて逃げてしまったのは事実で。
今みたいな、優しい愛撫は、すごくいい。
俺の胸を撫でて、鎖骨に口付けするシルバに、俺は変に甘えた声で伝えておいた。
「シルバに幻滅することなんて俺は一生ないけど、気遣ってくれて…ありがとな」
「ラック…とうとみがつよい」
「その、へんなっ…ことばっ…ぁ…」
なにげない会話をしつつ、シルバの手が俺を軽やかにおいつめていく。
手慣れてるのかと思ったが、獣性と理性のバランスが取れてるからっぽい。
がんがん攻めたいけど、性急すぐる?ってのは俺に悪いから我慢。
その結果が、執拗に優しい愛撫、だ。
俺はすぐに身体が熱くなって骨までとけて、ベッドに寝転がらされた。
「ラック…」
シルバの楽しそうな声に、言葉を。
あ、とか、い、とか、う、とかしか言えない。
だってシルバの手が口が、俺を暴いてくから。
とろとろに、むけいぶつに。
「アっ…しるばぁ…っッ」
たまらず大きな声をだしてしまった。
けど、もう、手足は抵抗する力無く。
未知数の快感に、舌を出しながら荒い息を繰り返す。
それはそれは、想像を絶する感覚で。
俺は、きづいたらないてた。
だって。
こんな。
ああ。
シルバにあんなこと、そんなことする。
そういう妄想を俺はしまくってた。
それで自分を慰めていた。
荒い息を吐いて恥ずかしそうにしながら限界に達するシルバ。
俺が触れて舐めて追い詰める。
喘がせる。
想像しまくった。
空想の世界で、俺はシルバを汚しまくった。
なのに。
おかしい。
全然違う。
駄目になる。
おれ、こんな、よわかったんだ。
せつなくてたまんない。
おわってほしくなくて、涙がとまんない。
腹ん中、めちゃくちゃ辛いのに、ずっと、つながってたい。
俺はひっしとシルバを抱き締める。
全然力はいんねぇ。
「すげぇ、すき…だいしゅき…」
熱い快感に浮かされて、なんとか告白する。
足をシルバの腰に絡ませ、なんとかしがみつく。
俺にできることはそれだけで、揺さぶられて撫でられてキスされて。
なけるし。
きもちいいし。
すき。
「ああラック…わたしのラック…愛してる…」
そのあとのことは、もう、きもちいいに支配されて、覚えられなかった。
*
ペタっ、ベタ、べっちょり。
肌と肌が動く度に擦れて張り付いてしまう。
汗で濡れた皮膚と、身体からなかなか抜けない熱のせいで、軽い癒着が起こっていた。
シルバはそれが楽しいのか、ふふふ笑って二の腕ペタペタさせてくる。
首の後ろの溜まった汗とか、触るのやめてくれ。
いくらシルバでも汗は恥ずかしい。
俺は、シルバの汗浴びたいけど。
「ラック」
「なに」
「湯浴み、しよう」
「…うん…」
セックスしてる時間の半分以上の記憶が、無い。
ただ気持ち良かったのだけ覚えてる。
シルバが好きだって気持ちが増して、シルバが俺を好きだって気持ちが感じられた。
で、終わった今、シルバをもっと身近に、感じてる。
え、セックスって最高か。
これいっぱいしたい。
またしたい。
そんなことを考えるて動く気配のない俺を、シルバが抱き上げる。
「わぁ…お姫様抱っこだ」
普通は逆に、俺がすべきなのに、して貰っちゃって、目頭が熱くなる。
するのも夢だったけど、されるのはもっと夢だった。
うっとりシルバの胸にもたれ、首に良両腕を回した。
ふへへ、汗でベタベタだけど最高すぐる。
「当然だ、わたしのラック」
ゆったり余裕な歩みで、シルバが俺を風呂場へ連れて行く。
このままだと、身体洗われちゃう?
え、初夜最高か?
「夢、みたいだ」
本心が洩れた。
だってそうだろ?
俺の片想いは本来成就するようなもんじゃない。
想っても、外に出していい感情じゃあない。
そして、俺は諦めていた。
諦めて、シルバを護る剣で在ろうと、決意していた。
なのに、なんか痛い系女子の暴露のお陰で俺の気持ちはシルバへ伝わり、両想いが発覚して、今は結婚。
幸せすぎて夢みたいだと、思うのは仕方が無い。
だけどシルバはぴしゃりと言い放つ。
「現実だ受け止めよ」
嬉しくって首に回した両腕に力を込める。
シルバがふふふって笑ってくれた。
「あ、そうだ」
「身体はわたしがすみずみまであらう。これは決定事項である」
「そんなことより、指輪。指輪身体に刻んでくれ」
そう指輪。
指に嵌めている指輪。
これは指じゃだめ。
魔力で溶かして身体に刻まねば。
戦人はそういう風に、大事な人から貰った宝飾品を身体に刻み込む。
無くさなくて済むし、お守りの意味を込めて刻めるからすごく良い風習なのだ。
「ああ、それはもちろん承ろう。場所は胸でよいな?」
「耳は千切れる可能性があるから異論無し」
嬉しい同意ににっへへへと変な笑いが漏れてしまった。
「ついでにわたしのラックと入れてしまおう」
「じゃあ、俺のシルバって入れてくれ」
「無論だ」
「にへへへぇシルバ…」
「どうした、わたしのラック」
幸せだ。
幸せすぎる。
この幸せを護るのは唯一だ。
俺はシルバにしがみつき、強く宣言した。
「…おれぇ…明日も明後日もシルバのために魔物狩りつくすぅぅ…」
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