『嘘だらけ』発条仕掛けの魔法使い
夕陽に染まる屋上で、陰に潜んで君がリクを振るところを見ていた。
何度も心の中で唱えたのだろう。
口に出してもみたのだろう。
きゅっと力なく握られた手とは裏腹に、
「ごめん。リクとは付き合えない」
そんな言葉は彼女の口から簡単に出て来た。
瞬間、橙色のやわらかな光に照らされていた彼の顔が真っ青になる。
ああ、今、君の感情は想像するに難くない。
でも、好きな相手に振られるなんて、幸福な部類の絶望だ。
「ああ、良かった」
屋上を後にしたマキちゃんの姿を確認し、彼が一人佇む光景を目にして言葉が漏れる。
「これで……君は死なずに済むはずだ」
そして、僕は元の時代へと戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます