第6話 マキとリク

 魔法使いが去った次の日。

 彼の言った通り、リクからラブレターをもらった。


 でも、不吉な未来の招待状のようにも思えて、手紙の封を切ることもなくカバンへとしまう。


 放課後、屋上へ向かった。

 手紙を読んでないから、本当は彼がここにいるなんて……いいえ、そもそもラブレターの内容が『放課後、屋上で待っている』かなんてわからない。

 でも、確認するまでもなくリクは屋上で待っていた。


 そして、私は彼の告白を断った。


 次の日からリクを避ける日々が始まった。

 告白を断ったという建前があるから、避けるのは難しくなかった。

 中学を卒業するまで避けて、避け続けて……高校も別の学校を選んだ。


 もしも私達が付き合っていたら……同じ高校を選んだだろうか?

 そんなことも考えたけど、それはあり得ない未来だと自分に言い聞かせる。


 だって、私達が付き合っていたら、リクは卒業する前に死んでいたんだから。


 だから、卒業式の日。

 私に背を向けたままの後姿を見た時は……『これでよかったんだ』と、そう思えた。




 でも。


 何年も経った春――。


 同窓会で久しぶりにリクの顔を見た時、すごく驚いた。


 だって、大人になったリクが中学の屋上で会った魔法使いそのものだったのだから。

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