第20話 消えた友人
「ほら、もう帰りなさい。」
リオラは宿屋から追い出された。
「もーなんなんだよー」
「キュイッ!」
「ってクロンお前どこにいたんだよ!」
リオラの首元から顔を出すクロン。
「はぁールークのやつも一体どこに行ったんだよー。…しょうがないから歩いて帰るか」
リオラが宿屋を離れようとした時だった。
「奥さん、奥さん!ねぇ知ってる?あの宿屋で強盗が出たんですって」
「知ってる知ってる!なんでも有名な貴族が泊まってたんでしょ?」
「そうそう!もーほんと」
「「怖いわねぇ」」
宿屋の様子をいち早く見つけたのか、野次馬に来ていた人の話し声が聞こえる。
「おばさん!その話本当か!?」
リオラはその会話をしていた女性に尋ねる。
「え、ええ。さっきそこの騎士団の人たちが話してたけど。」
「他には!?その貴族がどんなやつとか!」
「い、いえ有名な貴族としか…。あ!そういえば共犯がサーベルを持った元海賊だとか話してたわね。」
「サーベル!?それってあいつじゃ…。」
リオラの頭には一人の男の顔が浮かぶ。
リオラは女性たちに感謝を述べ、その場を離れる。
(ルーク…大丈夫かな。ただあの騎士たちに聞いても教えてくれないだろうし。どうすることも…。あっ!そういえばルークはアスタなんちゃらってとこ出身って言ってたよな。でも場所わかんねぇし、帰ってねぇちゃんに聞いてみっか。)
ルークのことが心配で頭がいっぱいになりながらリオラは急いでマレラへと帰る。
~ 第一章 旅立ちの日に 【完】 ~
Cross Destiny ~滅びる世界と届かぬ想い~ toya @major56tomo
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