山田さん、幼女に怯えてしまう
怯えない幼女と怯えるおっさん
「困ったなぁ……」
そもそも、この子は
日本語が通じるんだろうか?
今のところ
日本語を喋っているのを
見ていないのだが……
ジルが速攻で
家に荷物を取りに帰った為、
こんな悲劇が起きてしまった。
欧州生まれの金髪碧眼娘とは言え、
せめて日本語は通じて欲しいところだ。
日本の叔母さんと
少し暮らしていたらしいから
きっと大丈夫だよな?(ゴクリ
いい年をしてコミュ障の中年おじさんと
日本語の通じない金髪幼女では
もはや大事故どころの騒ぎではない。
異種格闘技戦、
もしくは宇宙人VS異世界の勇者。
それぐらい
訳の分からないことになってしまう。
そういえば、
先程、ジルが説得していた時は、
北欧かどこかの
言語だったように思うのだが……
さっきから嫌な汗をかいている……。
最悪、言葉が分かってもらえないと
半ば強引に無理矢理
連れて行かなくてはならないことになるのだが
もうそれ
と変わらないな……。
-
――あぁ、どうしよう……
どうやって接していいのか、
まったく分からない
よくよく考えてみると、
これまでの人生、
まともに子供と接したことなど一度もない
まぁ、よくそれで
養子をもらおうなどと
そんな気になったものだな、私も
大人の中にも、すぐにやたら
子供に懐かれる大人というのが居て
何がそんなに違うのか、
子供にとって
どこが魅力的に見えるのかは
本当によく分からないのだけど
とりあえず、自分に
その能力が無いということだけは
はっきり分かっている
話し掛ける時って、
どんな風に話し掛ければいいんだ?
普通に大人と喋る時の
口調でいいのか?
『そうでちゅね~』とか?
それは、赤ちゃん言葉か
そういえば、この子って七歳?
七歳っていくつ?
いくつじゃなかった、何年生?
小学二年生ぐらい?
小二じゃ、さすがに
赤ちゃん言葉はないか
いっそ、おっさんが無理して
若者ぶってる感じなのか?
『~だしぃ』みたいな……
−
困惑して、あたふたしている私を
横にいる金髪の幼女は
眉間に皺を寄せ、険しい顔で
じっと見上げている。
まるで不甲斐ない私に
物言いたげなようにも見える。
やっぱり……
怒ってますよね?
「……じゃ、じゃあ、
……い、行こうか……ね……」
なんだろう……
普通に喋ろうと頑張ってはみたが、
噛みまくりだし
なんとなく冷たい感じがしたので
優しい感じを演出しようと頑張って
最後に『ね』を足してみたのだが
絶対コレジャナイ感
というか気持ち悪い感
もうどうすりゃいいのか……。
なんでかは分からないが
七歳の子供相手に緊張して
ギクシャクしながら歩いている自分。
一方、金髪の幼女は
まったく初めて会った、
見ず知らずの大人だというのに
まったく動じることなく
堂々と後をついて来る。
見知らぬ人が、
大人がコワくないのだろうか?
こんな、故郷を離れた異国の地で
知らない人しかおらず、
言葉も通じない、
それなのにまったく動じない、
この子ちょっと凄過ぎないか?
慣れているのか?
そんな環境に……
よっぽど肝っ玉が座った
娘なのだろうか?
すごい強気な性格とか……
……まぁ、何はともあれ、とりあえず
日本語が通じそうなのはなにより。
もしかしたら、
まだ喋れるぐらいには
日本語を分かってはいないけど、
簡単な日本語のヒアリングなら出来る、
そういうことなのかもしれない。
しかしながら、
この状況を誰かが
客観的に見たとしても
怯えているのは
完全に自分の方だろう。
自分にとって、あまりに未知過ぎる
幼女という存在に怯えてしまうのだ、
どうしても……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます