第7話「王弟」

GM:では銃士隊は講堂に集められています。いつになくケストナー卿も沈痛な表情で皆さんを出迎えます。「君達には迷惑をかけた。あの見学以来姪は公務に積極的になった。それがこんなことに繋がるとは……」


バジル:「まあ、起こってしまった事は仕方ないです。最悪の事態を回避する為に動きましょう」


GM:ケストナー卿は頷くと言います。「ヴァンスターとはいずれ雌雄を決しなければならない日が来るかもしれない。しかし、為政者として戦争は極力避けるべしというのが私の信念だ。ましてこんな謀略に乗せられる形で戦端を開くわけにはいかない。


レオン:なるほど、ケストナー卿もこの誘拐事件が陰謀だと思っているわけですね。公式設定ではアンナから王位継承権を奪おうとしていますし、すこし揺さぶってみた方がいいかも知れませんね。


バジル:腹芸は苦手だし、ストレートに聞いてしまおう。「殿はアンナにどうなって欲しいと思っているのですか?」



 傍らのグレース副官が「バジル! それ以上は……」と止めに入るが、ケストナー卿は手で制した。


「もっともな話だ。疑念の芽は摘んでおいた方が良いだろう」



GM:ケストナー卿は、若い頃自分が優れていると言う自惚れから王位は自分が継ぐべきと考えていたのは事実です。

 しかし、使用人や街人に分け隔てなく接するアンナを見るうち、考えるようになったそうです。「自分が王位を継ぐより、宰相として彼女を盛り立てた方が、のではないか」と。


レオン:「面白い」ですか。


GM:ケストナー卿は頷いて言います。「上に立つ者は大の為に小を切り捨てる覚悟が必要だ。だが姪は、それを自覚しながら、切り捨てられる者の痛みを慮ることが出来る。私のような冷徹な人間は、彼女のような人間味のある主君の下でこそ辣腕を振るう事ができるのだよ」


バジル:「そのお言葉、信じさせていただきます。ですが、万一殿下がアンナを傷つけるような事になれば、私はアンナと共にあなたと戦いますので」


GM:ケストナー卿は、その言葉に呵々と大笑します。「姪が変わった理由が分かったよ。委細承知した。それから、叔父として礼を言わせてくれ」


レオン:いえ、アンナの成長は彼女が頑張った結果ですので。


GM:ケストナー卿は頷くと、任務の話に戻ります。「主戦派のベアトリス枢機卿らの勢いは強い。押し切られるのも時間の問題だ。オーバン君。そして銃士隊の諸君。明朝までだ。それまで私の全派閥を上げて開戦を食い止める。その間に何とか姫を救出し、犯人の正体を突き止めてくれたまえ」


一同:「了解いたしました!」


GM:オーバン銃士長の号令が下ります。「これより、総力を持ってアンナ姫救出に向かう 王立銃士隊、全員出動!」


一同:「おう!」


GM:そうして銃士たちは夜の街に消えていきます。

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