第11話「麦畑の決斗」

 最初の一撃は、レイが腰に吊るした魔導銃キャリバーの抜き撃ちだった。

 レイピアを抜いて突撃してきた2人をたちまちのうちに打ち倒す。


 レイが攻撃に転ずる一瞬のスキをついて、ジョゼとバグナウを腕に嵌めたドゥアン剛なる人が左右から襲い掛かる。

 レイはバックステップで後退すると、バグナウの一撃を魔導銃で受け止め、右から突っ込んできたジョゼの進路にレオンが割って入る。


 なるほど、腕っぷしに自信を持っているだけあって、連携の上手さはそこそこである。


(……ですが、残念ながら鍛え方が違います)


 後方の銃使いとメイジが、前線のレイとレオンに向けて銃弾と〔ファイアボルト火の魔法〕を撃ち込んでくるが、

2人の眼前に次々と光の壁が現れ、攻撃の効果を減退させてゆく。バジルとアコさんのの〔プロテクション防壁魔法〕である。


「バジルさん!」


 対峙していたドゥアンの膝に銃弾を撃ち込んだレイは、左に飛び退いてマスケット銃の射線を確保する。


「〔ホーリーウェポン〕!」


 アコさんがバジルに、強化の魔法をかける。

 聖なる力が武器に宿ったのを確認し、バジルはトリガーを絞る。


 黒色火薬の轟音が、麦畑に響き渡る。

 バッディッツの銃使いが、肩を撃ちぬかれてマスケット銃を取り落とす。

 ジョゼが舌打ちをし、レオンを排除して退路を作ろうと懐に踏み込んでくるが、それさえも織り込み済みだった。


 レオンの武器は、アマリア直伝のダンスで鍛えたしなやかな身体捌きである。

 ジョゼの刺突を右側に体を反らして回避し、相手の勢いを利用して、レイピアの柄を額に叩きつけた。


「……がっ!」


 悲鳴とも悪態ともつかぬ声をあげて、ジョゼが崩れ落ちる。

 レオンは倒れ伏したジョゼを見下ろして、言った。


「今のは、あなたがジョエル君に与えた痛みの分です」



GM:しかし、後方から回り込んできたヴァーナ野なる人が片手剣を振りかざしてアコさんに襲い掛かります。


バジル:アコさんと敵の間に割って入るけど、接触されてるからマスケットが使えないんだよな。でも、ここで何もしなかったらアコさんが危なくなる……。素手で殴るか?


レオン:GM、相談なんですが、ここでマスケットのストックで殴ると言うのはどうでしょう? 武器そのものに《ホーリーウェポン》が効いているから、それで基本ダメージが加算されてる分、素手で殴るより強いと思うんですが。


GM:……(少し考えて)うーん、良いでしょう。ただし、命中判定は射撃攻撃では無いので《ガンマスタリー》のスキルの命中補正無しで、ダメージ値も射撃するより割り引きますが。


バジル:では行きます。(ダイスを振る)命中!


GM:ダメージをください。


バジル:〔ホーリーウェポン〕の効果を合わせて7+2D6。どうだ(気合いを入れてダイスを振る)……14点!


GM:……倒れちゃいました(一同笑)


一同:(笑)


レオン:今日のバジル隊長は鬼気迫ってるよ。普段絶対やらないような銃の台尻でぶん殴るとか(笑)


GM:アコさんを守る! パワーですねぇ(笑)


一同:(笑)

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