第10話「対峙」

レオン:では、ベルモン家の姉弟を連れて西の麦畑へ向かいます。


バジル:歩いて行くか馬で行くか……。


レオン:ベルモン家の馬車って借りられません?


GM:それはアコさんが一言言えば借りられますよ。


バジル:おお、ありがたや。では現場近くまでそれで移動しましょう。


レオン:地形的にはどんな感じ?


GM:所謂あぜ道って感じです。


レオン:正面から堂々と待っていよう。


GM:では、時間になると8体の人影がこちらにやってきます。


バジル:8体? ひとり足りないな。


レオン:ジョエルはアコさんと一緒に隠れててもらおう。アコさんにはジョエルが飛び出してこないよう押さえててもらう。そうそう、アコさんとジョエルは臨時でギルド入りさせても大丈夫?


GM:それは問題無いです。ではリーダー格の女が話し掛けてきます。「あんたらかい? エルマンに繋ぎを頼んだって言うのは」


バジル:(頷いて)早速だが美術品を見せて欲しい。


レオン:いいものなら値は惜しみませんよ。


GM:ではハンカチに包んだ鎖を渡してきます。


レオン:月の光に当てて見よう。


GM:ベルモン伯爵から聞いていた物に間違い無いようです。ただ、鎖は半分しかないようです。どうやらもう半分は小出しにしているようですね。


レイ:残り半分は、どうしました?


GM:「悪いがあんたらを完全に信用したわけじゃない。取引が成立したら、残り半分は届けさせる」


バジル:意外に用心深いな。仕方ない。残りのありかは彼らを捕らえて聞き出そう。


レオン:では、ここで言ってやろう。流石はベルモン伯爵家に伝わる家宝の鎖。見事なものだ。


GM:ぎょっとします。「何故それを!?」


バジル:ここでアコさんに合図を出してジョエルに来てもらいます。ジョエルは「ジョゼさん!」と叫びます。それを見た瞬間、ジョゼが舌打ちをして「畜生! 嵌めやがったな!」と言って腰のダガーに手をかけます。


レオン:鎖から視線を落として言います。嵌めたのは、お互い様でしょう?


バジル:ジョエルに目で促します。言ってやんな。



「ジョゼさん! 言ってくれたじゃないか!? 僕たちは家族ファミリーだって! 困ったときは助け合うって!」


 必死に呼びかけるジョエルに掛けられたのは、肯定でも否定でもなく、ただの哄笑だった。


「まさか、この期に及んでまだそんな言葉を信じてるとは思わなかったな!」

「これだから貴族のボンボンは。旨い飯を食いすぎて、頭のネジが飛んだんスかね?」

「そう言うな、今まで散々美味しい思いをさせてもらったんだ。アホなガキだとは思うが、別に恨みはねーよ」


 吐きかけられる心無い言葉を、ジョエルはただ拳を震わせて聞いていた。

 この場に誰もいなければ、大声で号泣しただろう。

 だが、裏切られて嘲笑された事に、涙まで流して負けを認めたくない。その一念で歯を食いしばって屈辱に耐えていた。


「ふざけるな!」


 バジルが、吠えた。



バジル:お前たち、ジョエルにとって「家族」ってものがどんな意味を持つのか、分かってそん汚い言葉を吐くのか!? 何が「家族ファミリー」だ! お前たちがそんな生き方しかできないのは、今まで他人の善意を食い物にしてきた報いだ!


レイ:子供を利用してポイ捨て、私が一番嫌悪する行為です。犯した罪は償ってもらいます。


バジル:ジョエルの肩に手を置いて言おう。残念だけどこれが真実。だけどこれ以上お前の好きな人が罪を重ねないよう、ここで俺達が全力で止める。少し手荒な事をしてしまうが許してくれ。と言ってバッとマントを脱ぐと、中から青いカソック法衣が出てきます。


GM:カッコいい演出じゃないですか。ではそんな皆さんの姿を目にさせられたヴァンディッツの連中が動揺を露わにします。



「姉御! こいつら今売り出し中の銃士隊ですぜ!」

「構う事はねえ。一度盗んだお宝だ。全員片付けてもう一度取り返しゃあいいのよ!」


 ジョゼはぺろりと愛用のダガーを舐める。

 だが、彼女は知らなかった。

 裏社会で小金を稼いでいた悪党と、守るために命のやり取りに慣れた銃士では、そもそも役者が違う事が。



バジル:名乗りを上げてやろう。俺は銃士隊のバジルだ! お前らに人の心を教えてやる!


レオン:別にジョエル君が裏切ったわけじゃない。君達がお粗末なだけだ。


バジル:アコさん、ジョエルを頼む。


GM:アコさんは頷いて、ジョエルを後ろに下がらせます。では、戦闘パートに行きましょう!

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