第5話「ジョエルの事情」
レオン:さあ隊長、ここが頑張りどころですよと内心で(笑)。
レイ:ところで、伯爵家の家族構成を知りたいんですが。
GM:ヤン・ベルモン伯爵が当主。奥方は他界していて、子供が養女のアコさんと実の息子で嫡男のジョエルのふたりです。
レオン:アコさんを別にすると父ひとり息子ひとりなわけだ。
バジル:まずはジョエルに話を聞いてみようか。
GM:ではジョエルの部屋に向かいます。アコさんがドアをノックして「ジョエル。私よ。入るわね」と声を掛けますが、
中からは「帰れ!」と怒声が飛んできます。中に入ると、ちょっと不貞腐れた感じの不良少年が座っています。
バジル:ちょっといいか? 俺は銃士隊のバジルと言う者だが。
GM:「話す事なんて何も無いよ、僕がやった。それだけだ」
バジル:じゃあ、そのやった手口を教えてくれないか?
GM:金庫の番号は父親のメモを盗み見たと言っています。中に入っていた首飾りをバラバラにして売ったそうです。
バジル:売った? 何処に売ったんだ? だいたい、現行犯で捕まったのにどうやって売ったんだ?
GM:話が少しでも細部にわたると癇癪を起こしたように言います。「僕がやったんだ、おかしいことなんてあるもんか! さあ、早く銃士隊でも赤枝の騎士団でも連れて行ってくれ!」
バジル:連れて行こうにも詳細が分からないと連れて行きようが無いよ。俺達も決定的な証拠がないとどうにも出来ないもんだよ。
GM:「そんなもの、状況証拠で十分だろ」と言ってまた不貞腐れたように黙ってしまいます。
バジル:そうか。売った金は何に使ったんだ?
GM:「遊んで使ったよ。詳細なんか憶えてないね」……まあ、GMが言うのもなんですが、矛盾だらけの証言ですね。
バジル:だよなぁ。
レイ:誰かを庇っているのかな?
GM:さあ、どうでしょう(笑顔)。
バジル:お前一人でやったんだよな?
GM:「勿論、僕一人でやった」
バジル:そうか。とりあえず聞く事は聞いたかな。
GM:では、そうして一度ジョエルの部屋から出てからアコさんが聞いてきます。「どうでしょう? とても私には本当のことを言っているようには見えないのですが」
バジル:だろうなぁ。やったとは主張していても、何でやったかとか不明な点が多すぎる。これはアコさんの言うとおり何か事情があるんだろう。
レオン:我々はジョエル君とは初対面だし、今は顔を見るだけで終るのも仕方ない。それより今はジョエル君や伯爵家の事情を知る人間から話を聞くべきじゃないのかな? アコさんにも聞きたいけど、まずは外堀から埋めていくべきじゃないかと。
GM:では使用人に話を聞いて回ると、話しにくそうに次のような話をしてくれます。ジョエルは素行の悪い仲間たちとギルドを組んで冒険者まがいの事をやっていたらしい。
バジル:ふんふん、なるほどな。
レオン:そういえばジョエルって何歳?
GM:十代半ば位ですね。
レオン:まだ子供だな。
バジル:その仲間っていうのはどんな奴等?
GM:そこまでは分かりませんね。
レオン:それは、家を抜け出しては遊びに繰り出していくって感じ?
GM:そんな感じです。
レオン:伯爵家の人間関係ってどんな感じか分かります?
GM:親子仲は元々は良好だったみたいですよ。ただ、奥方が無くなってから男親だけで厳しく育てられたみたいですね。それに反発してかジョエルが最近グレ始めたということです。
レオン:それで娘は銃士になっちゃうし、というわけか。アコさんから見てジョエルってどんな子でしょう?
GM:「結構やんちゃな子ですけど、芯はある子だと思ってます。母の遺言が『子供たちを何があっても負けない、強い子に育ててあげて』だったので、父も心を鬼にして私たちに接してくれたんだと思います。ただ、ジョエルにはその思いが上手く伝わらなかったようで」
レオン:今みたいになり始めたのはいつ頃から?
GM:今の仲間と付き合い始めてからですね。
レオン:アコさんはその彼の「今の仲間」ってどんなものか知らないの?
GM:知らないですね。流石に家に連れてくるわけにはいかなかったので。
バジル:ジョエルも遊びたい年頃なんだろうな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます