第6話

「コスモスの花言葉は知ってるよね?めぐみちゃん」

「うん。乙女心」

「そう・・・君はもう、コスモスが一番似合うお年頃になった」

「お兄ちゃん?」


そういうと、お兄ちゃんは私に、種を渡した。


「お兄ちゃん、これ・・・」

「コスモスの種だよ・・・ただ・・・」

「ただ?」

「今の地上にはない。僕の住んでいる世界に咲くコスモス」


私は、立ちつくした。


「王。めぐみは、詳しく」

「そうだな。バル。めぐみちゃんん」

「何?お兄ちゃん」

「お父さんは、今は単身赴任だよね?」

「うん。随分前から。でも、どうして・・・」


お兄ちゃんの口から、予想外の返事があった。


「実は、めぐみちゃんのお父さんは、僕の国に大臣。

今は、そのための仕事に向かってる」

「仕事?」

「そのコスモスを、世界に普及する旅に出てもらってるんだ」

「どうして?」


精霊王とか、大臣とか、もうここに来た時点で、受け入れらた。

ただ・・・


「じゃあ、私のお母さんは?」

「普通の人間だよ。つまり、めぐみちゃんは、精霊と人間のハーフなんだ」

「ハーフ?」

「今日、ここへ来れたのは、そのため」


というと・・・

本来私がいる時間軸では・・・


「精霊界と人間界では、時の流れが違う。だから、僕は変わらない」

「王。単刀直入に」

「そうだな。バル。めぐみちゃん」

「何?お兄ちゃん・・・」

「君には、このままお父さんの後を追って欲しい」


このまま・・・と、いうことは?


「めぐみちゃんが、本来住んでいる時間軸に追いつくまで。そのコスモスの種を、配る旅に出て欲しい」


急に言われても、困るよ・・・

お兄ちゃん。

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