第5話

お兄ちゃんは、私とお父さんを見送っている。

小さい私は、お父さんに肩車されている。


とても、幸せそうだ。


今じゃ、無理だけど・・・


私は、お兄ちゃんを眺めている。

とても、懐かしい。

でも・・・


「やあ、来たね。女子高生になった、めぐみちゃん」


久しぶりに聞く、お兄ちゃんの声。

でも・・・

どうして・・・私が分かるの?


お兄ちゃんは、振り向いた。

既にセピア色と化していた、お兄ちゃんの顔が、色づき始めて行く。


「お兄ちゃん?」

「大きくなったね。待っていたよ。バルも御苦労さん」

「私はいいわ。それより、めぐみに話さないと」

「そうだな」


何を・・・何を、話してくれるの?

緊張して、言葉がまとまらない。


「めぐみちゃん、実は僕は人間ではないんだ」

「お兄ちゃん?」

「僕の正体は、コスモスの精霊王」


コスモスの花言葉は女性的。

男性っているの?


「今日、君がここに来たのは、必然だったんだ」

「お兄ちゃん?」

「毎年、君が来ているのは知っていたけど、まだ時期じゃないと思い・・・」

「時期じゃない・・・って・・・」


お兄ちゃん、何を言っているの?


「でも、もう君も女子高生。話をしてもいいと思ってね」

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