第2話

こうして、コスモス畑についた。

毎年来ている。


色ごとに、わけられているのがありがたい。


私は、他の色は無視して、ピンクのコスモス畑に向かう。


「こら!無視するな」


何かが聞えた気がしたが、気のせいだろう・・・


ピンクは、人気があるのか、他の色よりも人が多い。

あそこに、親子連れがいる。


若いお父さんと、小さい娘さんだ。

仲良くしている。

あの頃の、私とお兄ちゃんみたいだ。


意外と、私と同じ境遇だったりして・・・


私の口座に、「あしながおじさん」という名で、振り込まれているお金。

正体は、わかっている。


それは、父。

小さいころから、あしながおじさんに憧れていた私。

父は、そのことを知っていて、夢を叶えてくれているみたいだけど、

ばればれだよ、お父さん。


でも、ありがとうね。


腰を下ろす。

気がついたら、四葉のクローバーを掴んでいた。


そういえば、お兄ちゃんが言っていた。

「四葉のクローバーを頭の上にのせると、妖精が見えるんだよ」と・・・


純真な子供ならともかく、私ももう高校生。

少しは、汚れている。


これから大人になるにつれ、純真な心は失っていくのだろう。

そうなれば、手遅れ。


そうなる前に、まだ純真な心があるうちに試してみよう。


掴んだ、四葉のクローバーをのせてみた。


すると・・・


目の前に懐かしい光景が、広がった。

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