理屈じゃないんだ

テーブルに一人、ため息をつく。


味噌汁が冷えるのを待つ間、

今日の別れに思いを馳せた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


貴方は愚か物だと、まっすぐに言われた。


貴方は空っぽだと。


私は貴方から目を逸らさずに、ただ肯定した。


言い訳はしない。


貴方が、過程など無意味で

結果が全てを物語っていると言うから。


どこからすれ違っていたのか今となっては

思い出せない。


記憶の中の貴方は、優しかった気がする、

不器用で不恰好な心遣いが嬉しかった気がする。


きっと小さなすれ違いが積もり積もって、

いつの間にか私は貴方を信じられなくなった。


貴方に追い縋ることをやめてしまった時点で、もう手遅れだったのだろう。


ただただ心も身体も疲れ果て、

期待を無くした今の私に最早、心配しているという貴方の言葉は響かなかった。


貴方は私に、期待を裏切られたと言い、

そこで初めて期待されていたことに気づく。


貴方は私を責めるから、

私はごめんなさいとしか言えなくなる。


星の数ほどの人の中から貴方に出会い、ただ目指す先が異なってしまっただけだと、

ただそれだけの話だと思った。


だから、さよならを言って前を向うと。


貴方はそれを許さず、ただただ私を責めた。


最後まで貴方は、どうしてそんな愚かな選択をしたか分からないと嘆く。


それは理屈じゃないんだ。


貴方は貴方で、私は私だから。


楽しかった、貴方と出会えて良かった。


だけど、ありがとうはきっと届かない。


だから。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


乾杯、


空のグラスを一人掲げる。


今日は、貴方と別れた日。

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