見知らぬ天井
お昼を食べ終わって少ししてから、魔法の先生が乗っている馬車がやってきた。
メリア先生の授業を受けた部屋に行き、魔法の授業を受ける。
予習をしていたので、先生に褒められた。うれしい。
先生の名前はアンナで、以前は魔法学園という所の講師をしていたらしい。すごいのかな?
魔法学園は初耳だけど、アンナ先生が自信満々に言っているのでたぶん凄いところなんだろうなぁ、くらいに思っている。
そのあとはこれといったこともなく、無事に授業一日目が終わった。メリア先生の授業は大変だけど、ちょっと楽しいかもしれない。アンナ先生はよく褒めてくれるのでうれしい。
これなら、引きこもりだった私でもなんとかやっていけそう。
夕食を食べてシャワーもどきを浴びて、すぐにベッドに入った。
明日はルーメリアちゃんの両親が帰ってくるみたいだから、早めに寝て英気をやしなっておきたい。
ということで、おやすみな……すやぁ。
朝。
メイドさんに起こしてもらって、朝ごはんをぼけーっと食べる。
正直言って、両親との付き合い方が私には分からないから、どうすればいいか悩んでる。
それに別人になったわけだし、距離感とかそういうのが変わって、怪しまれて、最悪追い出されるかもしれない。物理的にか精神的にかは分からないけど。
朝にメイドさんから聞いた話だと、午後に帰ってくるらしい。
だからそれまでに、接し方とか、そういうのを考えないといけないわけだけど……むむぅ、コミュ力弱者の私にどうしろと。
そんなこんなで、気づいたらお昼御飯も食べ終わってしまった。
時間の流れが早すぎる。残酷だよ。
今考えているものだと、ひたすら笑顔か、ひたすら沈黙か、全力で媚びるかのどれかで、ひたすら笑顔が有力候補。
メリア先生もとりあえす笑顔って言ってたし。うん。
「お嬢様、旦那様奥様がお帰りになられました。旦那様より、書斎に来いとのことです」
「……はい」
メイドさんに言われて、少し重い足取りで部屋を出る。
幸い、書斎に関しては以前知ることができたから、迷うことがなかった。
コンコン、とノックする。
「入っていいぞ」
「……失礼します」
ルーメリアちゃんのお父さんは、暗めの金色の髪を短めにしていて、端正な人だった。ダンディな感じ。
そのとなりにいた女性は、たぶんお母さん。黒い色の髪を伸ばしていて、綺麗な人。
「早速で申し訳ないんだが、ルナには教会にはいってもらう」
「理由も説明するから、質問はそのあとにお願いね」
教会……?
「今回の遠征で、魔物たちの活動が活発になっているのがわかった。近々ルーメリア領の近くでも、スタンピードが起きる可能性がある。どれだけ手を尽くしても、被害は確実に出るだろう。だから、ルナにはここを離れてもらう。時間がないから、明日にでも発つぞ」
急な話しすぎる。そもそも、スタンピードってなに? そんなに危ないやつなのかな。よくわからない。
「それと、都市ワイルダンに旅人が現れたらしい。だからルナが行くのは、最も安全になる都市ワイルダンだ。ルナ、爵位の引き継ぎは出来るようにしてある。ルナが成人するまでの間、執事のメンデスに領地経営を任せる。逃がすことしか出来ない私たちを許してくれ」
状況がわからない、話がまったくのみこめない。
その言い方だと、まるで死ににいくみたいだ。
「ああ、あと、これだ。もしかしたら最後の贈り物になるかもしれないが、受け取ってほしい。これを見た瞬間、ルナに渡そうと思ったんだ」
そう言って渡されたのは、ブレスレットだった。それも、見覚えのある。渡されて、手で触れて、前世で私が持っていたものと変わらない、同じものとしか思えないものだった。
ブレスレットは滑るように手を通り、手首にはまった。気になっていたものがなくなる。足りなかったものが埋まる感覚。
その瞬間、頭に電流が流れたような気がした。それから押し寄せてくる記憶、感情、情報、痛み。
私はそこで、意識を失った。
次に目を冷ましたときにいたのは、いつもの部屋ではなく、見覚えのない天井だった。
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