礼儀作法の授業。(なお、授業内容は全カットみたい)
「お嬢様、おはようございます」
「……ふぁぁ、おは、よう」
「もう少しで朝ご飯をお持ちします。講師の方は、礼儀作法の先生が四の鐘に、魔法の先生が六の鐘に始まる予定です。それでは、失礼します」
メイドさんが出ていくのを見送ってから、もぞもぞとベッドから下りて、あくびをしながら身だしなみを整えていく。
そうそう、この世界には、時計が無いみたいで。代わりに、三時間毎に鐘を鳴らすようになっている。
鳴らす時間によって回数が違ったり、音が高かったり低かったりするのだ。
一の鐘は深夜の零時になっていて、二の鐘は三時、三の鐘は六時、というふうに続いている。
だから、午前九時に礼儀作法の先生が来て、十五時に魔法の先生がくるということなのかな。
着替え終わって、ぼーっと窓の外を眺めていたら、朝食が運ばれてきた。
フランスパンを薄く切ったようなものと、ジャム、それとサラダに、ウインナーみたいなもの。
ケチャップは無かった。ざんねん。
……でも、やっぱりおいしい。パンは香ばしくてすごいし、ジャムも果物の甘さとか酸味がすごいし、サラダも新鮮さがすごい。語彙力はご愛敬ということで。
食べ終わって、メイドさんに食器を下げてもらったあと、先生が来るまではすることがないからぼーっとしている。
この部屋は二階にあるみたいで、窓からそとの景色が見えるようになっている。
大きな道があって、それがずっと遠くまで続いている。小さな子供が走り回ってそうだけど、見当たらないのが不思議。
まあ、道を走るよえい公園でとかで遊ぶ方がたのしいもんねー。引きこもるのもいいかもだし。
「あれ、馬車かな?」
ぼんやりと眺めていると、二頭の馬がひいている箱が、こっち―お家かな―に近づいてきた。
そしてそのまま、門をくぐり抜けて入っていく。
馬車かぁ、馬自体初めてみるなー。車とか本当に無いんだ。ザ・異世界って感じ、まさに。
「お嬢様、先生の方が到着されました。授業は別の部屋で行いますので、移動しましょう」
「はい」
メイドさんに言われて、そのまま後を着いていく。
ふっ、メイドさんに、普通に返事ができるようになったわたし、すごくない?
このお部屋です、と言われて、一つの扉を示された。
メイドさんが扉を開けたのでなかに入ると、おばあさんがいた。
「初めまして、ルナ・ルーメリア様。本日よりルーメリア様の教育を勤めさせていただくメリアと申します。よろしくお願いいたします」
「お、おねがいします」
やっぱり敬語? みたいなので話されるのは慣れないし、話すのも苦手だ。
ほんのすこしだけ、びっくりしてしまう。びっくりというか、おどおどするというか。わからないからいいや。
「では早速、始めていきましょう」
そう言って私のそばに移動したメリアさんは、基本になる姿勢や目線、表情の変え方などを、教え始めてくれた。
はっきりいって、つらい。授業が終わってから昼食を食べたのだけど、いつもより上品な気がしないでもない気がするから、意味はあるんだろうけども。今までと違いすぎて、ミスを連発してしまった。
大丈夫、次は魔法の授業だし、魔法は予習をしてきたから……。
そう考えながら、ふたたび昼食を食べ始めた。
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