暇潰し1
ごちそうさまでした。
お昼ご飯を食べ終わって、けふっと一息。
先生の名前は覚えられたから、もうやることがなくなっちゃった。
改めて部屋を見回しても、これといって面白そうなものがない。
もう一度、あの絵とか見に行こうかな? と思ったけど、食後だしあまり動きたくはない。かと言って寝たいわけでもないし……。
「魔法……」
魔法の先生が来るって言ってたし、予習とか……? 何をやるのかは分かってるから、その内容で予習とかかな?
それと一緒に、礼儀作法の方の予習も? でも、言葉遣いとか振る舞いとか、分からないしなぁ。
とりあえず、魔法の方をやろうかな。そっちの方が楽しそうだし。
えーっと、授業内容はっと。……ふむふむ、まずは魔力の感知、ですか。
「むむむ……」
ちょこっと集中してみる……なんだか、体の中に、なにかがあるような……。
うん。ごめんなさい嘘つきました、なにも感じません。
そもそも魔力ってなんだろ? 魔法の先生が教えてくれるって言うことは魔法関係のはずで、となるとその魔法に使うもの?
魔法といえば……生け贄? 儀式かな。魔力を生け贄にして魔法を行使するのかな。
魔力って、たしかマジックポイントだっけ。MP、これを使えば魔法が使える?
「魔法!」
……いや、まあ、さすがに、魔法!って言うだけだと、なにかが起きるわけ無いかぁ。
魔法にも種類はありそうだし……私の使いたい魔法をイメージして魔法!って言えば出来るかな?
使いたい魔法だと……魂関係? 魂魔法、とかあるのかな? あ、あとは、回復とかかな。治療、治癒魔法かな?
んー、まってまって、もともとやろうとしてたことから逸れてるかも?
うん、魔力を感知する、いやでも、全然分からないし。次の授業をちらっと……魔力を操作しよう、ですか。……ですか。
「魔力を感知できないと詰むのかー」
どうしよう? 第六感的な、あー、第六感は霊感だっけ。それじゃあ第七感? 第三の目とか? どうやったら出来るんだろ。
いま考え付くのだと……瞑想、滝にうたれる、悟りを開く? え、お寺で出来ることばっかり。
もしかして、お寺でやることはすべて、魔力を感じられるようにするためだった……!
まあないかな。
とりあえず目を閉じて、ゆっくり深呼吸、すー、はー。すー、はー。
あ、なにかつかめた気がする。
もやもや? はっきりしないなぁ。あ、わからなくなっちゃった。うーん、今のが魔力かな?
もやもやで、ぼんやりとしてて、むわわわって感じで……語彙力うぅぅ。
でも、今ので大体わかったし、もう少し頑張れば……
「きた……ふふふ」
きた、できてしまった。魔力を、感じた! はいそこ、笑い方変とか言わない!
ふふふっ、なんだろうこの全・能・感!
ああ、やばいやばい、変なテンションになってる。
でも、なっちゃうくらい、には、なんか、もうなんか!
「すごい……」
「どうされましたか?」
「ひうっ!」
み、みられた!? は、恥ずかしいいぃぃ。
う、耳が熱い、顔が熱い、首も熱いぃぃ。
「お嬢様、どうされましたか?」
「い、いえっ、なんでもありません!」
「…………そうですか」
間が怖い! いや、なにもやましいことはしてないんだけど、それ以上に恥ずかしいことをしてるんだけど!
「め、めいどさんこそっ、どうしたんですか……?」
「はい。旦那様と奥様が、予定より早くお帰りになられるそうです。三日後ということです」
三日後……少し早くなった? でもどうしよう。顔とか分からないし、どうやって接すればいいんだろ?
特に父親は、接し方がわからないし……。
はぁ、嫌な思い出。忘れないと。
「……失礼しました」
綺麗なお辞儀をしてから、部屋から出ていってしまった。
……あの綺麗なお辞儀は、お手本になるかな?
魔力の感知は出来たし、というか今でも感じられるし……いつか気になってきそう。
まあいいや。えーと、礼儀作法の最初の授業は、立ち方……? え、立ち方? 公爵令嬢になると、立ち方にも指導が入るんだ。
うわー、めんどくさい。でも、面白そう。
あ、日がくれてきた。
もうすぐで夕食かな。そういえば、なんだか良い匂いがする気がする……さすがに気のせいかな。
う~ん、今日のお夕飯はなんだろな~。
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