第2話 10月13日(火曜日)
ーー15年後ーー
「いらっしゃいませー。」
駅前の通りから少し外れたコンビニエンスストア。
悟はそこでアルバイトとして働いていた。
「赤マルひとつ。」
無愛想な男が言った。
「こちらでよろしいでしょうか?」
「おう。」
(ちっ。ありがとうも言えねえのかよ)
悟は内心苛つきながらもこんなことは日常茶飯事だから気にしたら負けだと思っている。
現在24歳、周りは大学も卒業し正社員として働き出している。
もちろん悟も正社員として働いてたことがあったがものの見事なブラック企業で入社して一年で退職した。
(まあ、あんなとこに戻るよりかマシか)
そう自分に言い聞かせ、休憩に入った。
「ん?美里か。」
スマホの着信履歴には大野美里。悟の交際している彼女だ。これでも高校から付き合って6年にもなる彼女だ。
「もしもし?美里?」
「もしもし、ごめんバイト中だった?」
「うん、どうした?」
「今度高校のグループで飲み会するんだけど悟ももちろん行くよね?」
「おお、久しぶりだな。誰が来るの?」
「ヨシロウとモエとシンゴとミズキかな。ミズキの家でやることになったよ。」
「ぐっ…そうか。」
「どうした?」
悟は正直乗り気ではなかった。自分だけがフリーターであり、どうせ周りに小馬鹿にされるオチに決まってる。
それにミズキだ。あいつとは毎日小さなことで言い争っていた。シンプルに苦手なのだ。
だが、久しぶりにみんなに会いたい。
「まあ行くよ!いつごろ?」
「来週の金曜日!みんな19:30頃来るのかな?私は仕事が終わり次第向かうからね!あ、シンゴも仕事終わってからだって!じゃあがんばってね!」
「了解、ありがとう。」
ツーツー。
まあ、ちょっと楽しみにしとくか。
悟は少しニヤつきを抑え休憩を終え、フロアに戻った。
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