激走

氷菓子

第1話 プロローグ

※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


「シンゴ、タッチ!」

「うわ〜捕まっちまった〜」

夕暮れの団地、小さい子供たちが遊んでいる。

彼らがしているのは通称ケイドロ、地方によっては呼び方がドロケイだったりする。

警泥、その名の通り警察と泥棒に分かれて行う鬼ごっこのようなものだ。

「悟の奴まだ逃げてんのか?」

先ほど捕まった園田シンゴが言った。

残りは悟だけという状況に警察役総出で捜し出している。牢屋はガラ空きだ。

「助けに来たぞ、シンゴ」

悟が息切れしながらシンゴにタッチした。

「さすがだな!悟!」

ケイドロは捕まっていないドロボウが牢屋のドロボウをタッチすると開放できるというルールがあるのだ。

「よし!このまま5時のチャイムがなるまで逃げ続けるぞ!」

悟は小学生ながら追い込まれるというスリルがたまらなくて仕方がなかった。

ずっとこのまま続けばいいのにな。と


夕暮れの中2人は公園を駆け抜けて行った。


しかし十数年後、悟にとって史上最悪なケイドロが始まろうとはこの時は思ってもいなかった。




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