3人目、女

 自分の恋愛欲が、抑えられなかった。


 好きになると、どうしようもなくなる。周りが見えなくなる。身体が。火照って。抑えられない。


 今まで好きになった人の数は、4人。ふたりは男性で。ひとりは、親友で、女。


 親友には、何度も何度も、迷惑をかけた。それでも、どうしても、別れられない男性が、ふたり。ひとりはやさしい人で。もうひとりは、かっこいい人。


 逢うべきではない。なのに。身体は、どうしようもなく、求めてしまう。


「だめ」


 自分の肚を自分の拳で殴って。むりやり痛みで欲望を押さえつける。親友に、やめろと言われた癖。


 親友のことが、好きだった。でも、それは、果たされない。親友は女で。わたしも、女だから。


「だめ」


 だからといって。


 押さえつけた欲望を。


 男性で満たすなんて。


 許されない。


 わたしと一緒にいてくれる男性は、ふたりとも。わたしの親友が好きなひと、なのに。親友が、そのふたりのなかから、どちらか、おそらく生涯の伴侶を選ぶのだろう。


 自分は。


 自分には。


 そういう生き方は、許されない。親友の男と、逢ってしまう女なんか。


「しんでしまえ」


 声は、ひとりの部屋で。


 反響もせず、かぼそく、消えた。


 電話。


 わたしが好きな、四人目から。

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