(2)SFディストピア篇
終電に乗って帰宅中、突然、変な音と共に電車が止まった。
『異常を確認しましたので、急停車いたしました。申し訳ございませんが、しばらくお待ち下さい。詳しい状況が判り次第、運転再開の見込み時間を連絡いたします』
車内放送が、そう告げた。
明日は休日で助かった。連日、深夜まで残業なのに、仕事の前の日に寝る時間が更に遅くなったら、洒落にならない。
「申し訳ありません。お客様の中に、昼間に当社から連絡してもよろしい方は居らっしゃいますでしょうか?」
車掌が、この車両にやって来てそう言った。
「事故ですか?」
私は車掌に、そう聞いた。
「ええ……人身のようで……」
「めずらしいですね……えっ? 人身って言いました?」
「ええ、まだ、地下に生き残りが居るみたいで……」
最終戦争から三〇年も経つのに、まだ、しぶとく人間どもは生き残っているのか。
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