第9話 激闘
番屋の中から二匹の鬼が出て来た。大福を食べていない鬼だろう。外に出て、二匹の鬼が倒れているのを見て、周りを見渡した。その時、俺と生成は走って行き、それぞれの鬼に一撃を食らわせた。
出て来た鬼は、青鬼と黄鬼だった。俺は黄鬼の頭を木刀で叩いた。黄鬼はよろめいたが、金棒をブンと振ってきた。かわして突きを出す。すると、番屋からもう一匹、赤鬼が出て来た。大福を食わなかった鬼がもう一匹いたのか!
「生成、気を付けろ!もう一匹いるぞ!」
俺は生成に向かってそう言った。俺は、番屋の机や柱、屋根を伝い、足で蹴って高いところまで跳躍した。そして、黄鬼の頭上に木刀を振り下ろした。黄鬼は倒れたが、赤鬼の金棒が降って来た。かわしたつもりだったが、かわし切れず左腕を金棒で叩かれた。金棒には突起がたくさんついていて、その突起で腕を傷つけられ、燃えるような痛みが走った。
「くっそ。」
生成が青鬼を襲撃しているが、なかなか勝負がつかないようだ。こっちの赤鬼は狂暴で、少しでかい。俺は力を振り絞って、もう一度高く飛んだが、頭への一撃は金棒で阻止されてしまった。金棒を打ってしまったので、木刀を持つ手がしびれた。打つ手がないのか。どうすれば。
「朱李!」
青竹が俺を呼んだ。見ると、金棒を手にした青竹が立っていた。
「青竹!」
「俺は弱いけど、加勢するよ!」
青竹の声は少し震えていた。青竹が金棒を持っていたので、赤鬼は俺ではなく、青竹の方に向き直った。そして、青竹に襲い掛かった。
「とりゃー!」
その瞬間、俺は高く飛び、赤鬼の後ろから頭を木刀で打った。
「うぎゃっ。」
赤鬼が叫んだ。そして、よろめいて片膝を地面についた。
「とりゃあ!」
そこへ、青竹が金棒でもう一発、赤鬼の頭を打ち付けた。赤鬼は後ろへどうっと倒れた。見ると、青鬼も、生成にやられて伸びていた。
「ふー、何とかなったな。」
「よし、進もう!」
俺と生成が言い、千草をおんぶして、走り抜けた。また一つ、関所を越える事が出来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます